一話王都の妖狐1
グラン王都
三日後明日奈達はグラン王都に着いた
「凄いわね!城壁がこんなに大きいなんて!」
「ああすげーだろ?俺の家もここに有るんだ、まず中に入ったら俺の実家に案内するよ」
「クリスティさんの実家ですか、楽しみです」
明日奈達は城下町に入る為の検問に並んでいる、怪しい者を入れない為の検問である
「随分と長いわね、いつもこんな感じなの?」
「ああ中々入らないんだ、行商人とか色々な奴等が来るんだ」
確かに行商人、旅芸人達、など様々な物達がいる
「ふーんパレードとか色々楽しめそうね」
「パレードですか、面白そうです」
そう話してるうちに明日奈達の順番が来た
「お前達、身分証明書を見せろ」
「はい、どうぞ」
三人はギルドカードを見せた
「ランクFの明日奈久城、鈴孤月、クリスティローグ、間違いないな?」
「ええ間違いないわ」
兵士は頷くと
「よし良いぞ入れ」
検問を終え明日奈達はグラン城下町入った
グラン城下町
グラン城下町は他の国の出入り口である、様々な国から物や人が訪れる、それでも妖狐族は少ないのだが
「凄いわ!こんなに人がいるなんて!見て鈴!あれ美味しそう!」
「そうですね!明日奈さん、見て下さい、あっちでパレードやってますよ!」
明日奈と鈴は大はしゃぎである
「お前ら後にしようぜ、取り敢えず俺の家に行こうぜ」
クリスティの家は上流区の三番地にある有名な冒険者一家なのだ
「そうね行きましょう」
明日奈達は城下町を歩く、だが明日奈は他の町や村で感じなかった視線を感じていた
「ねぇクリスティ、何かやたら見られてるんだけど?」
「そりゃ、妖狐族なんて王都でも全く見ないからな皆珍しいんだよ、つかお前気付いて無かったのか?結構他の町や村でも目立ってたぞ?」
明日奈は驚いた様子だ
「へっ?私って目立ってたの?鈴は気付いてた?」
「私もあまり意識しませんし気付いてませんでした・・・」
クリスティは注意する
「お前らなぁ・・・気を付けろよ?妖狐族は珍しいから奴隷商人とかが狙ってるかもしれねぇ、捕まったら奴隷として売られちまうぞ」
「うっ分かった」
「気を付けます」
さっきのハイテンションが嘘のように二人は落ち込んでしまった、耳と尻尾はペタンとなっている
「まぁ他の国の話さ、この国は奴隷禁止だからな、でも他の国から来て狙ってる奴等がいるから気を付けろよ?」
「はぁい・・・ありがとう先輩」
「参考になりますクリスティさん」
上流区
上流区ここは貴族や一部の大金持ちが住んでいる場所である、平民で済んでいるのは大商人か有名な冒険者一家である
「ねぇクリスティあんたこんな所に済んでたの?」
「大きなお家ばっかりです」
「俺の家は先祖代々冒険者でさ、皆Sランク以上の冒険者だったんだ、凄いんだぜ?皆バケモンだからな」
そしてクリスティはとある家の前で止まる
「ここが俺の家だ」
クリスティの家は一言で言うと、豪邸である、物凄く広い
「ねぇあんたもしかしなくてもお坊ちゃん?」
「まぁそうだな」
クリスティの家
ドアノッカーを叩くと一人の執事が出てきた
「おお、クリスティお坊ちゃんお久しぶりです」
「ハワード久しぶりだな、お袋達はいるのか?」
ハワードはザッ執事と言う格好をしている
「はい、いらっしゃりますよ、そちらの方々は?」
「俺のパーティメンバーなんだ、名前は明日奈と鈴」
ハワードは一例し自己紹介する
「そうですか、始めまして私はこのローグ家で執事をさせて頂いていますハワードと申します、以後お見知り置きを」
「ええよろしく、ハワードさん」
「よろしくお願いします、ハワードさん」
挨拶が終わると三人はハワードに案内される
「さて客室はこちらです、お三人とも暫くは王都に滞在されるのですか?」
「ああ、暫くは王都に滞在して、そのあとはこの国の南部に向かう予定だ」
明日奈達はこのグラン王都を色々観光するつもりなのだ
「そうですか、それでは部屋を用意しておきますね」
客間
「それではお荷物を預かります」
「ああすまんなハワード」
クリスティがそう言うと三人はそれぞれ荷物を渡しハワードが預かる
「それでは奥様がお越しになられるまで暫くお待ちください」
ハワードが出て行く
「それにしても広いわねぇ、じじいの家位に広いわ」
「本当に広いですね」
「慣れたらあんまり広く感じないんだぜ?」
明日奈はこの言葉にムッとした
「何よそれ、自慢?」
「ああ自慢だ」
そんな話をしているとクリスティの母親が来たようだ
「クリスティ!久しぶりね!元気にしてた?」
「ああ母さん、元気だよ」
「本当に?あなた無茶してない?怪我は?」
「してないよ」
クリスティは母親に抱き締められ質問責めに合っている、そしてようやく明日奈達に気付いたようだ
「あらごめんなさい、クリスティに会うのは随分と久しぶりだったのよ、私はクリスローグ、クリスティの母親よ、妖狐族が人里に降りてくるのは珍しいわね?」
「はじめましてクリスさん、私は明日奈久城です」
「私は鈴孤月ですよろしくお願いします、やっぱり妖狐族って珍しいんですね」
クリスは頬に手を当てながら答える
「ええ彼等は滅多に各国にある里からは降りて来ないわ、一部の物好きが旅をしている位かしら」
「へぇやっぱりそうなんだ、そう言えば鈴はどうなの?氷河に弟子入りする前は何処かの里にいたの?」
鈴が明日奈の質問に答える
「いえ、私は天上界にある町でお母さんと暮らしてました、下界の里にはお母さんがたまに行っていたみたいですけど、私は行ったことは無いんです」
「へぇ天上界にも町が有るのね」
天上界には妖狐族が暮らしている町がある、そこに住んでいる者達は天上神孤達のお世話をするのが仕事である
「あら、天上界?それって何処にあるの?確か神が住んでいるのは天界の筈よね?」
「ええっと地上の人達には伝えられて無いんですが、天界の上にある世界が天上界って言うんです、そこに住んでいる天上神孤達は全ての世界を作った存在なのです、あっこれは他の人には話さないで下さいね?」
クリスティが驚いた顔で話す
「つかお前らそんな所から来たのか?」
「はい、私は天上界の出身です、でも明日奈さんはもっと凄いんですよ?なんと天上神狐の娘なんですから」
「私はそんな凄く無いわよ、だって私は異世界の孤児院で育ったんだから、しかも私は玉藻神孤の事なんて母親だなんて思って無いもの!」
クリスティはこっちにも驚く
「おまえそんな偉そうな奴の娘でしかも異世界から来たのかよ!」
「ええそうよ」
明日奈は若干怒ったように話す玉藻の話をするのは良い気分では無いのだ
ハワードが入って来た
「お部屋の準備が出来ました、ご案内したいのですが」
「ええ少し話し過ぎたわね、また後でお話しましょう」
クリスがそう言うとこの場は解散となった
明日奈は案内された部屋で一人考えていた
(私はお母さんに捨てられた、どんな理由が有ったってこれは変わらない、クリスティも鈴も親がいる、さっきクリスさんに抱き締められたクリスティは恥ずかしそうだったけど幸せそうだった、でも私はお母さんにもお父さんにも抱き締められた事なんて無い、鈴だってお母さんの話をする時は幸せそうだわ、でも私は何も話せない、どんな理由が有ったって私はお母さんに側にいて欲しかった、ふふ私って馬鹿ねこんな事考えても何もならないじゃない!)
そう思うと明日奈は立ち上がり
「お風呂に入ろう!」
そう言うと備え付けの風呂場に向かった
数年後の明日奈
「そうねこの頃の私はこう考えれた、私は私、他人は他人って、でも今は・・・」
そう言う数年後の明日奈の手は真っ赤に染まり、周りは血で濡れていた




