十四話
十階
カプセルの中の少女は静かに眠っている、他のカプセルにも様々な若い男女が眠っている
明日奈はカプセルの周りを周りどうにかして少女を外に出してやれないか見て回ってみたが、カプセルにはアクセス出来る端末が付いていないので出来なさそうだ
外に出したいのならこのカプセルを管理しているコンピュータを探す必要があるだろう
「驚いたかい?」
明日奈がウィリアムとレビィにカプセルを管理しているコンピュータを探してみましょうと言いかけた時、何処からか男の声がした
「誰!?」
明日奈は左右を見渡し声の主を探す、すると一人の白衣の男がカプセルの陰から現れこちらに近付いて来る、男はとあるスイッチをポケットから出すと押した後反応が無いのを理解すると明日奈達に聞こえない程度の声でこう言った
「ふむ、再洗脳装置は外されているのか、まぁいい、No.041は確かに最高傑作の一つだが、もうすく最高の素材が手に入るしね」
と
「何なの?そのスイッチは?」
「なんでもないさ、それで君達は何故ここに来たんだい?」
男は何故明日奈達がここに来たのか聞いて来る
「レビィの家族を殺し村滅ぼすように命令した奴を探す為よ、あんた知らない?」
「レビィ?あぁNo.041の事か、勿論知っているよ?」
どうやら男はレビィの家族を殺し村を殺し滅ぼすよう命令した人物を知っているようだ
「誰なの?」
明日奈はそれが一体誰なのか男に聞く
「No.041の村を襲うように命令し、そしてその村に住む子供達を拉致するように命令したのは私だ、No.041が居た村に住む子供達は中々良い素材でね、私の研究に多いに役立ったよ、まぁ強化に耐えれたのはそこに居るNo.041だけだがね」
男は顔に笑みを浮かべながらこう言った、そしてこの男がレビィの両親の仇のようだ
「何でなの?なんでそんな事をするの?」
レビィは瞳に涙を浮かべながら男に理由を聞く
「何故かって?勿論研究の為さ、最強の強化人間を作る事が私の目標だからね、その為なら素材の命などどうでも良い」
「・・・それじゃ何でパパとママと村の人達まで殺したの?」
レビィは今度は自分の両親と村の人々を殺した理由を聞く
「有る程度歳を取った素材は使い物にならないからさ」
「使い物にならないからってパパとママを殺したの?」
そう言うレビィの瞳からはいつしか涙は止まっていた、そしてその瞳には不穏な色が見え始める
「そうだ」
「ッ!」
そしてレビィは男に飛びかかろうとしたが明日奈が後ろから抱き締め止めた、そしてレビィの顔を見ると
「復讐しようとするのなら止めるって言ったでしょ?」
と言った、明日奈は再び目に涙を溜め泣き始めたレビィの頭を撫でると男から離れた場所に連れて行く
「レビィ、あなたがあんな奴の血で手を汚す事は無いの」
明日奈はレビィを抱き締めながらレビィにこう言った後、離れてレビィに背を向ける
「私がやる」
「お姉ちゃん・・・」
明日奈はそう言うと男の目の前に歩いて行く
「ククク、どうするつもりだい?」
「こうするの!」
どうするつもりかとニヤニヤしながら男は明日奈に聞いて来た、明日奈はそれに拳で答えた、明日奈の渾身の右ストレートは男の顔に当たり男は数メートル吹っ飛ぶ
「あんたみたいな最低野郎に剣なんていらないわ!拳で十分!」
「い、痛いじゃ無いか!おい!」
明日奈に殴られた男は何かを呼んだようだ、男に呼ばれた者は剣を振り上げ明日奈に飛びかかって来る
だが明日奈は剣を余裕でかわすと、飛びかかって来た者の顔を蹴り上げ一撃で気絶させた
「な、なんだと!?強化人間が一撃で気絶!?」
「そうね、なんでかしら?」
明日奈もまさか一撃で倒せるとは思わなかったようである
何故明日奈が飛びかかって来た強化人間の男を一撃で気絶させれたかと言うと、明日奈は男に対して明日奈は今かなり怒っている、その感情の高ぶりのおかけで神の力のリミッターのような物が外れ力が使えているようである、本人は今の力が神の力だと自覚していないのだが
「まぁ良いわ、それであんた名前は?」
「わ、私の名前は扇だ」
明日奈に名前を聞かれた男は素直に答えた
「そう、扇さん、レビィの家族や村を殺させた事、たっぷり私の拳で後悔させてあげるわ!」
明日奈は男に向け走る
明日奈は走って男に接近すると今度は左ストレートを喰らわせようとする、だが明日奈がさっき気絶させた強化人間とは別の少女が扇を守った、この少女以外にもぞろぞろと強化人間達がカプセルから出て来る
「ふん、私に殴られるのが怖いの?」
「ふん!流石に今の君でもこの数はどうしようも無いだろう?」
男はざっと見て四十人は居る強化人間達を見て流石にこの数には明日奈は勝てないだろうと思ったのだろう、自信有り気である
「さーて?どうかしらね?・・・こうかな?」
明日奈は頭に浮かんだ力の力の使い方を試してみる、すると背中から翼が現れた、明日奈の背中の翼はどんどん大きくなり、部屋を覆い、四十人居る、強化人間達を包んだ
「何をしている?」
「見れば分かるわ」
明日奈はそう言うと光の翼をしまった、するとそこには明らかに正気を取り戻した様子の四十人の少年少女達が居た、彼等は何が起こったのか分からない様子でキョトンとしている
「なっ!?洗脳を解いたのか!」
「そうみたいね」
少年少女達の洗脳を解いたのは明日奈なのだが、何処か他人事である、何故他人事なのかと言うと、何故か出来てしまうので自分がやった気がしないのである
「くっ!」
扇はポケットから再洗脳装置の端末を取り出しボタンを押すが効果は無い
「何してるのか知らないけど無駄だと思うわ」
「くそっ!くそっ!何故だ!」
扇は必死になってスイッチを押し続ける、明日奈は扇の前に近付くとスイッチを無理矢理奪い取りブーツで踏み付け壊した
「だって、多分あんたはもうあの子達の時間には干渉出来ないから」
明日奈はそう言うと男の腹に拳を入れる
「グフゥ」
と声を漏らしながら扇は気絶した
「沢山の人の命を弄んだ罪、ワールドセイバーの牢屋で償いなさいね」
明日奈はそう言った後、自分も倒れた
二十分後
二十分後、明日奈は目を覚ました、どうやらレビィに膝枕されているようである
「お姉ちゃん、ありがとう」
「んー?何を?」
明日奈は何故レビィが自分にお礼を言うのか聞く
「私があいつを殺そうとしたのを止めてくれて」
そのあいつは今も気絶している、どうやら明日奈の拳がかなり効いたようだ
「ふふふ、だから言ったじゃない、私が止めるってさ」
「うん」
うぅ、と声が聞こえるどうやら扇が起きたようである、それに気付いたレビィは扇に近付いて行く、明日奈はそれを黙って見守る
「扇、私はあなたを逮捕します」
レビィはそう言うと手錠を取り出す
「貴様ら絶対に許さんぞ、覚えておけ!」
「・・・」
絶対に許さんと言う男の手首にレビィは無言で手錠をかけた、男がワールドセイバーに送られたのを見たレビィはペタンと座る
「パパ、ママ、これで良いよね?」
レビィは天を見上げるとこう呟き涙を流した
 




