十一話
第二十五世界ラタナーシュ王国南部砂漠
明日奈は前日と同じメンバーでまたこの南部砂漠にやって来ていた、今回は南部砂漠の中部を探索する予定だ
「暑い・・・」
「死ぬ・・・」
現在探索を始めて二十分、暑さに強くない種族な二人は前日同様既にダレている
「お姉ちゃん、ウィリアムさん、まだ二十分程度しか時間が経ってないんだし、休むのは駄目だよ?」
大して時間が経っていないのに休んでいたら、永遠に探索は進まないので、レビィは二人に休むのはまだまだ駄目だと注意する
「うんそうね、ごめんね?レビィ、それじゃ取り敢えずここから北にまずは行ってみましょう、それで一時間進んで何も無かったら違う方向に進む、良い?」
「良いぜ、行こう」
「うん、良いよ」
明日奈達は北に向かって歩き始めた、北の方角はずっとなだらかな砂漠が続いている
三人は暫く歩いていると遺跡の入り口らしき建築物が見えたので近付いてみる
遺跡の中を覗いてみる三人、中は広い広場になっており大勢の人々がいる、どうやらこの遺跡は旅の行商人達の休息所として使われているようである、実際中はかなり涼しい
「休息所みたいね」
「そうだな、取り敢えず話し聞いてみようぜ」
三人は中に入り話を聞き始めた、一番最初に話を聞いたのは大柄な男だ
「こんにちは、少しお話し聞かせてもらえないかしら?」
「良いぜ、何が知りたい?」
明日奈が話しかけると男は何を知りたい?と聞いてきた、明日奈は聞きたいことを話す
「この砂漠に黒龍団の本部があるって聞いて探しに来たの、何か知らない?」
「黒龍団の本部ねぇ、奴等が色んな悪さをしているのは知ってるが本部の事は聞いた事無いな、スマン」
どうやら男は黒龍団のアジトの事に付いては知らないようである
「そう、ありがとう」
「良いさ、またな」
明日奈は男に手を振ると男から離れ広場に居る者達に話を聞いて回った
そして遺跡を出て暑い砂漠を三人は歩く、すると明日奈とウィリアムの耳がピクリと反応した、明日奈の後ろを歩いていたレビィはそれを見て姉にどうしたのか聞く
「お姉ちゃん、何か聞こえた?」
「えぇ、何か来るわよ」
「あぁ、武器抜いとけ」
三人は武器を構えて背中合わせになり周囲に注意を払う
「さーて、何処から来るのかしら」
「さぁな?下じゃね?」
ウィリアムが下と言った途端、地面揺れ始めた、下から何か飛び出して来ると判断した明日奈はレビィを脇に抱え、全力で後ろに飛ぶ、ウィリアムも同様に後ろに飛んでいた
明日奈とウィリアムが後ろに飛んだ瞬間地面から巨大な魚が飛び出して来た、飛び出して来た魚は砂から巨体を出し終えると四本の足で砂の上に立つ
「足が生えた巨大砂漠鮫?」
「それ以外のなんだよあれ・・・」
普通の砂漠鮫には足は生えて居らず、海に居る鮫とあまり変わらない姿をしているが、この巨大砂漠鮫には足が生えている、そして物凄くデカイ
「お姉ちゃん・・・あんなの倒せるの?後、降ろして?」
未だに明日奈の脇に抱えられていたレビィは明日奈に巨大砂漠鮫を倒せるのかと明日奈に聞いたついでに降ろして欲しいと言う
「あら、ごめん、うーんやってみないと分からないわ」
明日奈はレビィを降ろした後、やってみないと分からないとレビィに言う
「そっか、でもやるなら負けない、だよね?」
「勿論、行くわよレビィ、ウィリアム、でっかい砂漠鮫狩よ」
「おう!」
明日奈達三人と巨大砂漠鮫の戦いが始まった
近接戦闘主体な三人は取り敢えず巨大砂漠鮫に接近する、ウィリアムが戦闘でレビィがその後ろ、そして明日奈は何かあった時にレビィを守る為、レビィの後ろを走っている
「それじゃ、こいつの背中の上に登る、明日奈とレビィちゃんはこいつの足、潰してくれ!」
「分かった!」
ウィリアムは明日奈の返事に頷くと飛び上がり巨大砂漠鮫に張り付くとうぉぉ!と叫びながら気合で登って行き下からはその様子は見えなくなった、明日奈とレビィはウィリアムを見送った後、まずは左前足を狙う
「ハッ!」
「ヤッ!」
明日奈とレビィは同時に足を攻撃する、攻撃は通じ斬れはするが、足も巨大な為、一気に斬り裂いてしまわないと意味がなさそうだ
「レビィ!鱗が飛んで来てるよ!」
「うん!」
数回足を斬り付けていると、明日奈達が居る所であろう場所を適当に狙ったらしい鱗がこちらに飛んで来た、鱗一つ一つが巨大な為、当たればかなり不味そうだ
明日奈とレビィはかわせるものはかわし当たる軌道の物は武器で弾き、鱗の発射が終わるとまた足を斬り付ける
「倒せそうだね?」
「そうね」
二人がそう言っていると巨大砂漠鮫は上空に飛び上がったかと思うと地面に頭から突っ込み地面に潜った
「うぉぉぉぉぉ!?」
そして、巨大砂漠鮫を追うようにウィリアムが落ちて来た、ウィリアムは頭から地面に刺さる
「ウィリアム、大丈夫?」
明日奈は頭から行ったのを見たので心配になりウィリアムに大丈夫か聞く
「ゲボッゲホ!うん、大丈夫、そんな事よりもまた下から来るぜ」
どうやら口や鼻に砂が入って咳をしているが大丈夫なようだ、そしてウィリアムの言う通りまた巨大鮫は地面から飛び出して来た、明日奈はまたレビィを抱えて飛び下がる
「ホワイトローズ、ライトニングブラスター!」
『Yes、ライトニングブラスター』
明日奈はチャージしていない威力が低いライトニングブラスターを放つ、チャージしていないとは言え十分な太さのレーザーが発射された
ライトニングブラスターは巨大砂漠鮫が地面に足を付ける前に命中し、巨大砂漠鮫はその巨体を砂の上に横たえる
「ウィリアム、レビィ、次はフルチャージのホーリーブラスター撃つからあいつをあそこで固定して!」
「うん!」
「分かった!」
二人は明日奈のホワイトローズがチャージを終えるまでの時間稼ぎをする
「行くぜ、ファイアーダブルファング!」
ウィリアムのファイアーダブルファングは砂漠鮫の巨大に大きな傷を作り
「ライトニングダガー!」
レビィの全力の一撃は同じく巨大砂漠鮫の体に大きな傷を付けた、巨大砂漠鮫は二人の攻撃に動く事が出来ずその場に留まっている
「二人とも離れて!ホーリーブラスター!」
ドッ!と音と共に先程のライトニングブラスターよりも明らかに大きなレーザーが放たれ、巨大砂漠鮫を巻き込んだ、レーザーの照射が終わり砂煙が消えると巨大砂漠鮫は居らずどうやら消し飛んでしまったようだ
「何とかなったね」
「フゥ、そうね、さぁ探索再開よ」
明日奈達はこの後も砂漠の探索を続ける




