十六話
盗賊退治に向かう三人だが?
店を追い出された後、明日奈はちょっと剣振ってくると言い、一人村の外に出ていた
「ふっ、セイ!・・・さすがね振りやすいわ」
その後も突きや回転切りなど様々な動きを試す
「うん、大体分かった、村に戻らなきゃね」
そう言うと明日奈は村に戻った
村の門の前で明日奈を待っていた二人と合流し、クリスティは早速剣の事を聞いた
「どうだった?その剣は?」
「良過ぎる位ね」
明日奈の腰には早速新しい剣が刺してある、前の剣は予備用の剣として持っておく事にした
「それじゃ村長の家に行きましょう、盗賊退治に行くことを知らせなきゃね」
「はい、そうですね、クリスティさん案内お願いします」
三人はクリスティの案内で村長の家に向かった
トントン、村長の家の前クリスティはノックした
「なんじゃ?」
村長らしき人物が出てきた、見た感じ初老のおじいさんである
「あぁ、村で盗賊の噂を聞いてさ、俺達で退治しようと思ってここに来たんだ、盗賊退治にも許可がいるだろ?」
「奴等を退治してくれるのか!そうか・・・まぁ入りなさい」
村長は中で話をしたいようだ
「まず自己紹介だ、ワシはこの村の村長のシンと言うよろしくのぅ」
三人も自己紹介する
「私は明日奈久城よ」
「私は鈴孤月です」
「俺はクリスティローグだ」
自己紹介が終わると早速本題に入る
「早速だが、お前達は奴等の事をちゃんと調べておるのか?」
「えぇこの村の近くの森に隠れ家があって、戦力は五人、でもこの村には戦える者と冒険者があまりいないからどうしようも無かった、そうでしょう?」
村長は頷く
「よく調べておるのぅ、そうじゃ今は王国の建設事業に人手がいるとかで、男共が出ていてのぅ、どうしようも無かった、あんたらがやってくれると言うのなら、大歓迎なのじゃ」
「ああ任せてくれ、奴等のアジトの場所だけがわからないんだ、あんた知ってるか?」
クリスティが盗賊の居場所を聞く
「うむ、今から書こう、村の子供が奴等を付けて行った事があってのぅ、その子は親にかなり怒られていたがおかけで奴等の場所が分かった」
村長は盗賊の大体の居場所を紙に書いてくれるようだ
「ありがとうございます村長さん、絶対に退治してみせますね?」
「無事に帰って来たら報酬を払おう、だが無茶はするでは無いぞ!」
森盗賊の隠れ家の近くの茂み
「あれが隠れ家ねどうする?ふふふ、燃やす?」
「燃やしちゃ駄目です、水を叩き込みましょう、窓からぶち込んだら行けると思います」
鈴は戦闘に関しては結構強引なのである
「お前ら奴等を殺す気か?捕まえるのが俺達の目標だぞ!」
「分かってるわよ冗談よ、ねっ鈴?」
「えっぶち込まないんですか!?あっその・・・冗談です・・・」
慌てて誤魔化したがやはり強引なようだ
そしてクリスティが作戦を言う
「奴等隠れ家の中にいるみたいだからなしかも、あれを見ろ窓空いてるぜ、だから中にこれを投げる」
そう言ってクリスティが取り出したのは睡眠玉、投げたら破裂し中から睡眠薬入りの煙が出る仕組みだ
「ふーん地味ね、でもその作戦なら誰も怪我せずに済みそうね、で?誰が投げる入れるの?」
「俺がやる、お前らはこう言うこと初めてだろうし、ミスっちまいそうだからな」
そう言うとクリスティは背を低くしながら隠れ家に近付いて行く
「大丈夫でしょうか?」
「多分ね、任せましょう」
クリスティは隠れ家の空いてる窓の下に辿り着いた、隠れている明日奈達に合図すると、睡眠玉を投げ入れた!
クリスティは投げ入れると、素早く茂みに戻って来た
「おまえら頭低くしろ、出てくる奴がいるかもしれねぇ」
三人は頭を低くして様子を伺う、中から叫び声が聞こえたがやがて静かになり、盗賊達は眠ったようだ
「声しなくなったわね?上手く行ったのかな?」
「わかりません、クリスティさんどうしますか?」
「行ってみよう」
三人は隠れ家に近付いて行く、ドアの前で耳をすまして中で物音がしないか聴く
「どうだ?二人とも物音するか?」
二人の狐娘は耳をピクピクさせながら中の音を聞いている
「聞こえない」
「聞こえません」
二人の反応をみたクリスティは
「よし入るぞ」
中に入る事にしたようだ
隠れ家の中には情報通り五人の男が倒れていた、何人かは顔面から倒れたのか、鼻血を出している
「眠ってるわね、縛って門番さんが待ってる所まで運びましょう」
明日奈がそう言うと三人は持ってきた縄で盗賊達を縛り、引きづりながら門番の元まで運ぶ
少し進むと門番が荷車と一緒に待っていた
「すげぇなあんたらマジで捕まえたのかよ!」
門番は怪我をした青年である、荷車を引っ張る事位は出来るが、激しい運動は出来ない、荷車はクリスティと一緒に引っ張るのだ
「まぁな睡眠玉を買っておいたんだ、これが無かったらもっと時間がかかったよ、さぁ村に戻ろうぜ」
「そうね・・・!?何この気配」
明日奈が急に周りを見渡す、どうやら嫌な気配を感じたようだ
「どうしたんですか明日奈さん?」
「何か嫌な気配がするの、ザワザワする」
明日奈がそう言うと茂みから真っ黒な騎士が現れた
「我に気付くとはさすが玉藻神弧の娘だな、見込みがある」
「あんたなんなの?」
黒い騎士が答える
「そうだなお前の敵だと言っておこう!」
そう言うと黒い騎士はクリスティと鈴に黒い魔法弾を放つ、避けれずに命中した二人は気絶してしまった
「二人とも!っ、門番さん逃げて!」
「は、はい!」
門番を逃がした明日奈に黒い騎士は感心したようだ
「ほう、的確な判断だ、奴が執着するだけはある」
「二人に何をしたの?」
明日奈は剣を抜きながら二人の心配をする
「ふん、なに眠らせただけだ、お前以外と話すつもりは無いからな」
「へぇそう二人は無事なのね」
明日奈は二人が無事な事を確認すると黒い騎士に向かってかける
キン!つば競り合いが始まった
「あんたは私の仲間を傷付けた覚悟しろ!」
「ふん良い目だ!かかって来い!」
黒い騎士は強い明日奈は必死に付いて行くが、何とか体に当たってないだけで完全に押されている
「どうした?仲間を傷付けた俺を許さないんじゃ無かったのか?」
「くっ、うるさい!」
下から剣を振り上げる、だがかわされる、次は突きを放つが蹴りを喰らう、それでも怯まずに向かって行く
「エンチャント!サンダーソード!」
雷を剣に纏わせる、雷属性の効果で動きが早くなる効果を利用するつもりだ
だがそれでも軽くいなされるだけだ、体を捻り、自分でも最速の剣速を誇る攻撃をしても、相手は余裕でかわすのだ
「ふん、まだその程度かもういい、これで終わりだ」
黒い騎士の剣に闇のオーラが集まる、そして一気に明日奈に近付き技を放つ
「ダークソード」
明日奈は何とか剣で防いだが吹っ飛ばされ木に当たりようやく止まった
「ふん、殺せるうちに殺しておくか」
そう言うと黒い騎士はゆっくりと明日奈に近付いてくる
そして明日奈の側に来ると剣を突き刺した
「あっ・・・」
明日奈は胸に刺された剣に絶望するしか無く、そのまま意識を失った
そして黒い騎士は立ち去ろうとしたが、後ろに立ち上がる気配がしたので振り返る
「なんだと!」
そこには髪が銀色になり、瞳が赤く、九本の尻尾を生やし、黒いドレスを着た明日奈が立っていた
「ふふふ、よくもやってくれたわねぇ、かなり痛かったわよ」
「痛いで済む筈が無い、心臓を刺した筈だ!」
銀色の明日奈が答える
「あなた馬鹿なの?私の尻尾の数をよく見て?ふふふ、九本あるわねぇ、金色の私はそりゃ心臓を刺されたら死ぬだろうけど、私は神よ?死ぬ訳無いじゃ無い」
「心臓を一瞬で治したのか・・・それよりも気になることがある、貴様何者だ!」
黒い騎士が銀色の明日奈の正体を聞く
「私?私は明日奈よ?ただ私の目的は復讐、全ての人間を闇に葬り去る事だけどね」
銀色の明日奈はさらに続ける
「さぁあまり時間が無いの、金色の私が目覚めたら、私はまた戻なくちゃ行けないの、さっさと殺し合いましょう」
そう言うと銀色の明日奈は黒い騎士に一瞬で近付くと蹴り飛ばす
第二ラウンドが始まった




