十五話二つ目の鍵の遺跡6
七回戦
「ウォォォン!」
とホワイトウルフは雄叫びを上げると、自身の周りに氷の槍を造形すると明日奈達に向けて飛ばして来る
明日奈とウィリアムが前に出て槍を斬り落とす、槍は斬り落とした二人の手が痺れてしまうほど硬かった
そしてミランダも続き三人は接近戦を仕掛ける、残り二人はいつも通り援護だ
「グルル!」
ホワイトウルフは接近して来た明日奈に向けて爪を伸ばした前足を振り下ろす、明日奈はそれを飛んでかわすと、その上に乗り駆け上がり背中に乗ると斬り付ける
「相変わらず身軽だな!」
ウィリアムはそう言うと彼はホワイトウルフの下に入り込み、下から斬り上げる、ミランダも同様に下に入り込み槍を突き刺す
「ガァァ!」
三人のホワイトウルフは怒りを見せた、接近戦を仕掛けた三人の周りに無数の槍が集まり三人は囲まれてしまう
「クッ!」
明日奈は飛び上がってかわそうとするが、その頭の上にも槍が形成され逃げれない、槍はそれなりに固そうで壊しているうちに刺されてしまうだろう、このままではシールドを張れる明日奈ともかく、ウィリアムとミランダは大怪我をしてしまう
「響!逃げ道を作ってやるぞ!」
「あぁ!」
それを見た、響とギルダーツは三人の周りを囲んでいる氷の槍を一部をいつもより魔力を込めた魔法と魔法弾で破壊したそれでも数発撃ち込まないと破壊出来ない、そして接近戦を仕掛けた三人はその部分から慌てて逃げた所で囲んでいた氷の槍が全て地面に突き刺さる
「ありがとう!ギル、響!」
明日奈はお礼を言うと、ホワイトウルフに向けて弾を撃ち込み、命中する
「グァァ!ガルル!」
弾を撃ち込まれたホワイトウルフは一瞬痛がるがすぐに持ち直し、尻尾を明日奈に叩きつける、長い尻尾は鞭のようである
「ッ!」
明日奈は剣で受け止めたが尻尾は魔力を張っているのか、剣で受け止めても斬れる事は無く、明日奈は吹っ飛ばされる
「明日奈が剣で受け止めても、吹っ飛ばされるのかよ!」
ウィリアムはそう言うと、吹っ飛んだ明日奈の後ろに回り込み、彼女を受け止める
「あ、ありがと」
受け止められた明日奈は少し照れた様子だ
「良いさ、来るぜ!」
ホワイトウルフはそんな二人を狙い接近して来る
「させないよ!」
響はホワイトウルフの目の前に先程よりは小さいが当たれば十分な威力があるプロミネンスボムを放った、ホワイトウルフは勘で当たればマズイと判断し前足でブレーキし急停止した、それを見た明日奈とウィリアムは離れると体制を立て直す
「止まったな?」
ミランダはそう言うと、槍に雷撃を纏わせ、左前足に突き刺す、足を潰せば動きが止まる、それを狙った攻撃だ
「良いぞ!ミランダ!」
ギルダーツはホワイトウルフの両方の目を狙い撃つ、ウルフは反応するが前の片方の足が動かず動きが鈍い、彼は一発の弾はかわせず片方の目に当たり、もう一発は何とかかわし外れる
「キャイン・・・」
と悲痛な声を漏らしたホワイトウルフは、目を潰した張本人であるギルダーツの周りに先程明日奈達を囲んだ氷の槍と比べても多過ぎる程の氷の槍を造形する
「ヤベェ・・・」
それを見た明日奈は先程のお返しとして
「ホーリーブラスター!」
『Yes、マスター』
ホーリーブラスターを撃つ、ホーリーブラスターは槍を消滅させながらギルダーツの体スレスレを通り、ギルダーツは当たればかなりのダメージを喰らうレーザーの恐怖を味わった、ギルダーツは槍の包囲網から逃げ出す
「殺すきかぁ!?」
ギルダーツは涙目で叫ぶ
「?」
そしてそれを聞いた明日奈は少しわざとらしく首を傾げていた
「グルァ!」
ホワイトウルフはまだ目を潰した相手であるギルダーツを狙っている、残った三本の足で踏ん張るとギルダーツの頭を食い千切ろうと歯を剥き出しにしながら突っ込んでくる
「させん!」
ミランダは飛び上がりホワイトウルフの上を取ると、槍をウルフの頭に叩き付ける、ホワイトウルフは叩き落とされる
「グルァ!」
叩き落とされれたホワイトウルフはこのコロシアムを覆うように氷の槍を造形して行く、その数は物凄く多い、例え一箇所だけを破壊しても、他の槍に突き刺されてしまうだろう
「ヤバイ・・・明日奈頼む!」
「分かってる!ホワイトローズ?ライトニングブラスター、フルで行くよ!」
『Yesライトニングブラスター、出力100%』
ホワイトローズはそう言うと魔力チャージを始める、ホワイトローズのチャージが速いか、ホワイトウルフの造形が全て完了するか、速い方の勝利である
『マスター!チャージ完了です!』
「よし!ライトニングブラスター!」
ライトニングブラスターの方がチャージが速かった、だがホワイトウルフも造形が終わり、全ての槍が明日奈達を襲う
「クッ!」
だが槍が当たる前にライトニングブラスターがホワイトウルフに炸裂した、ホワイトウルフは暫くは体を保って居たが消滅した、主を失った槍は勢いを失い地面に落ちる
「ヒュー!ありがとう!お嬢さん、俺にも当たる所だったぜ!」
と言うピエロの頭には実は一本槍が突き刺さっている、明日奈達は何か可哀想になったので見なかった事にする
「それじゃ引き続き行くぜ?次の相手はこいつだ!」
ピエロはまた指を鳴らす、現れたのは大量の岩だ
「ヒュー!九回戦に行きたかったら耐え切ってみな!」
ピエロがそう言うと岩が落ちて来た
八回戦
「皆!私の周りに!」
明日奈の言葉を聞いた、仲間達は明日奈の周りに集まる、明日奈は仲間達が集まったのを確認すると、仲間達を覆うようにシールドを張る
「ホーリーシールド!」
『Yes、出力56%』
ホワイトローズは岩の重さをサーチすると明日奈の魔力消費を考え、シールドの強度を岩の衝撃に耐え切れるギリギリに設定する、ホワイトローズの見立て通りホーリーシールドは岩の衝撃に耐える
それから岩は三十分近く降り注ぎ続けた
三十分後
岩はようやく降り止み、明日奈はシールドを解くと両手を地面に付き肩で息をする、幾らそんなに出力が高くないとは言え、三十分と言う時間は長過ぎる、明日奈の残り魔力はフル出力のホーリーブラスターを一発撃てたら良い所である
「大丈夫か?明日奈、ほら飲め」
ギルダーツはそう言うと魔力回復薬を取り出し渡そうとするが
「何!?」
魔力回復薬は消えた
「残念ながらここでは回復薬は使えないぜ?」
「なんだと!?」
回復薬が使えないと言う事はチームの中で一番の攻撃力である明日奈の砲撃は後一撃しか撃てないと言うことだ
「ハァハァ・・・クッ、大丈夫だよギル、ブラスターを使わないのならまだ戦えるよ」
明日奈はそう言うと立ち上がり笑顔を見せるが、肩で息をしておりどう見ても辛そうである
「分かった・・・」
ギルダーツはこう言うしか無かった
「さ〜て、次の相手はこいつだ!」
そして次の相手が現れた
 




