九話
明日奈の自宅
朝、金色の少女はムクリと身を起こすと顔を洗いに行く、そして朝食を作り始める
「フンフフーン」
機嫌が良さそうに尻尾を揺らしながら食パンをトースターに入れると、ヤカンに水を入れ温める
「ふふふ、ほら朝ごはん出来るわよ?起きなさい?」
明日奈は数日前からこのアパートで暮らし始めた銀色の少女を起こしにかかった
数日前
明日奈は目が覚めてから三日後医務室から出た、その足でまずチーム29の部屋に向かう
「みんなおはよう」
明日奈は朝の挨拶をしながら部屋の中に入る
「おう、明日奈おはよう、体は大丈夫か?」
珍しく早く出勤して来て居た、ギルダーツが挨拶を返して来るのと同時に怪我は大丈夫かと聞いてくる
「うん大丈夫よ」
明日奈がギルダーツに大丈夫と言った所でワトソンが部屋に入って来た
「明日奈おはよう」
「部長、おはようございます」
明日奈は部長に挨拶をする
「うむ、言っておくが今日はお前は休みだぞ?」
「うん聞いてるけど、一様元気な顔を見せた方が良いかなって思ったの」
明日奈はそのまま家に帰っても良かったのだが、仲間達が心配しているだろうと思い職場に顔を出したのだ
「うむ良い心がけだ」
明日奈の言葉を聞いたワトソンはうんうんと頷いている
「ねぇ部長、レビィちゃんがどうなったのか知ってる?」
明日奈は職場に顔を出したもう一つの理由を聞く
「あの銀色の少女か、それなら受付に聞けば分かるだろう」
「そっか、ありがと」
明日奈はワトソンにお礼を言うと、一階に降りて行った
二十五階
そして受け付けでレビィの事を聞き明日奈はレビィが保護されている部屋がある、二十五階に来た
「あの、ここにレビィちゃんが居るって聞いたんだけど」
明日奈は二十五階の保護施設の受け付けにレビィの事を聞く
「はい居ますよ、案内しましょうか?」
「お願い」
案内しましょうかと聞かれた明日奈は素直に案内を頼む
「では、こちらです」
明日奈は前を歩く受け付けに続いてレビィが保護されている部屋に向かった
「ここです」
受け付けは少し進んだ所にある、部屋の前で止まる、どうやらレビィはここに居るようだ
「ありがと」
明日奈は受け付けにお礼を言うと、扉を開けて部屋に入った
明日奈が部屋に入るとレビィは何か机の上の本を読んでいる所であった、机の上には他に湯気が立ったカップがある
「もうお昼ご飯ですか?」
レビィはそう言いながら振り返り、入って来た者の顔を見て一瞬行動が止まるがすぐに笑顔を見せると明日奈に抱き付く
「明日奈さん!退院出来たんだね!」
「うん、ごめんね?早く会いに来れなくてさ」
明日奈は抱き付いて来たレビィの頭を撫でながら、三日も会いに来れなかった事を謝る
「ううん良いの、会いに来てくれただけでも嬉しい!」
そう言ってレビィはまた笑顔を見せる、明日奈はこの笑顔を見て、内心何なの?この可愛い生物と思っていた
「ねぇレビィちゃん、聞いたんだけど体元に戻さないんだね?」
明日奈はここに来るまでの間受け付けにこの三日間のレビィの様子を聞いていた、その話の中の一つにレビィの体の事もあったのだ
「うん、昨日お医者さんが来て、手術すれば元の体にすぐに戻せるって言われたの、でも」
レビィはそこで一度話を切り、また話し始める
「私ね?明日奈さん、パパやママを殺した黒龍団の人達を自分で捕まえたい、そして裁きを受けて欲しい、だからこの力が必要だと思ったの」
そう言うレビィの瞳には強い意思が宿っている、明日奈はその瞳を見てこの子ならあの強い力を間違った事には使わないだろうと思った
「そっか、なら私も黒龍団の奴等を捕まえるの手伝ってあげる」
そして明日奈はこの子に手を貸してあげようと思った
「ありがとう!明日奈さん!」
レビィは元気良くお礼を言う
「別に良いのよ、それでレビィちゃん、どっか行きたい所はある?」
「行きたい所・・・なら・・・」
明日奈に行きたい所はないかと聞かれたレビィは暫く迷って居たが話し始めた
第二十五世界、レビィの故郷
レビィは村に行きたいと言った、なので明日奈は受け付けに許可を取り、レビィと一緒にこの村にやって来た
「・・・」
村の家はその殆どが焼けており、残っている家は殆ど無い、明日奈はレビィの表情を伺う、レビィは泣きそうになるのを堪えている様子だ
「あっ・・・」
明日奈はそんなレビィに何か言葉をかけようとしたが、明日奈が話しかける前に歩き始めた、明日奈は着いて行く
「ここが、私の家なんだ」
レビィはとある家の前で立ち止まると指をさす、その家は酷く焼き焦げており残っているのは一階の一部だけだ
「そう・・・」
明日奈はそう言うとレビィの後ろに立ちその肩に手を置く
「私ね、この村には早く来ようと思ってたの、受け付けのお姉さんが出ちゃ駄目って言うから来れなかったけどね」
そう言うレビィの体は少し震えている
「来れて良かったと思う、この光景を見て絶対にあいつら全員を捕まえてやろうと思えたから」
レビィはそう言うと明日奈の方を見て笑顔を見せた
「連れて来てくれてありがとう、明日奈さん」
「お礼なんかいいよ、私があなたに出来ることはこんな事しか無いし」
明日奈はそう言うとレビィの頭を撫でる
「でも、やっぱりパパとママにもう会えないのは寂しいなぁ」
レビィはそう言うと泣き始めた
「グスッグス、何でこの村だったの?あいつらが来なかったら私は一人ぼっちにならなかったのに」
レビィはそう言うとそれ以上何も言わずに泣き続ける、明日奈は暫く泣くレビィを後ろから抱き締めて居たが、ある事を思い立つとレビィの前にしゃがみ込み、そのまだ幼い顔を見る
「レビィちゃん聞いてくれる?」
「?」
レビィは首を傾げる
「私にはね?あなたを救った責任があるの」
明日奈は泣くレビィの頭を撫でながら話す
「だからね?、私はその責任を果たす為にあなたの家族になってあげる」
「本当?」
レビィは明日奈に本当かと尋ねる
「うん本当、だから一人ぼっちなんて言わないの、私が居てあげるから、泣きたくなったらいつでも抱き締めてあげるからね?」
「約束だよ?」
レビィはそう言うと小指を出す
「うん約束」
指切りげんまん嘘付いたら針千本飲ーます
「指切った」
レビィは最後にそう言うと
「ありがとう、明日奈さん」
と言い笑顔を見せた
明日奈の自宅
明日奈はレビィと約束した後、地球支部に戻ると受け付けにレビィを引き取る事を報告した、それを聞いた受け付けはレビィに本当に良いの?と聞き、 レビィは頷いた、それを見た受け付けは分かりましたと言い、色々な手続きは私がやりましょうと言った
数日後明日奈の自宅に資料が来て、明日奈とレビィは晴れて家族となった、そしてレビィの名前は久城 レビィとなった
「ほら起きなさい」
「うーん・・・」
レビィは目をこすりながら起き上がる
「はい、おはよう」
「あーい、おはよう明日奈さん」
明日奈はレビィが起きたのを確認すると皿を出しパンを載せ、カップにコーヒーを淹れる
「はい、いただきます」
「うー、いただきます」
明日奈のはっきりとした、いただきますとレビィの眠たそうな、いただきますが部屋に響いた
ちなみにレビィは十三歳です
 




