八話
地下
明日奈達は地下二階に降りてきた、地下一階には武器庫があり、明日奈が持つ魔法銃より更に高性能な銃もあった
「さっきの武器、やっぱり戦争が起こった時に使うんだろうね」
「あぁ、この下に居る奴を止めたら応援を呼んで回収しないといけないな」
回収せずにそのまま放置すれば、黒龍団の構成員達が来て回収されてしまうだろう
「まぁそれは後だ、着いたぞ」
三人は地下二階に降りて来た、降りた先には大きな鉄製の扉があり、脇のコンソールを操作すれば扉が開きそうだ
「そんじゃ開けるぜ」
ギルダーツはそう言うとスイッチを押す、すると扉は真ん中から左右に開いた、扉の先は一面の白い壁、白い床、外側は銀色だった扉も内側は白色になっており明るい
「居た」
その部屋の真ん中に白い髪と赤い目を持ち白い剣を持った少女が立っている、その瞳は何の感情も写していない
「・・・敵を確認排除します」
少女はそう言うといきなりこちらに突っ込んで来た、明日奈がまずそれを受け止めるが
「くっ!」
その細い外見からは想像出来ない力で少女はこちらを押し込んで来る、このままでは押し込まれると判断した明日奈は身体強化で腕の力を上げ少女の剣を振り払った後飛び下がる
「ミランダさん気を付けて、あの子の力凄く強いよ」
明日奈は同じく接近戦が主のミランダに注意する
「そのようだな」
ミランダはそう言うと地面に槍を突き刺すそして雷撃を流す、仲間二人はいつもの事なので飛んでやり過ごして居るが
「・・・」
少女にはかわしてすらいない、どうやら雷撃が効いていないようだ、ミランダは大抵の者は一撃で気絶する程の雷撃を流したのにだ
「・・・」
少女は雷撃が収まると、ミランダに向け駆け出した、白い剣を振りかざすとミランダの槍に向け打ち付ける
「ッ!」
たった一撃の攻撃でミランダの足が浮いた、少女はすかさず蹴りを放つが
「フッ!」
少女の蹴りがミランダに当たる前に明日奈が蹴りを放ちミランダには当たることは無かったが、明日奈は力負けしミランダの変わりに壁に向け吹っ飛んだ
「明日奈!大丈夫か!?」
ミランダは自分を庇い吹っ飛ばされた明日奈を心配し駆け寄る
「うん大丈夫、来るよ!」
少女は既にこちらに向け接近して来ている、ギルダーツはそれを横から銃を撃つ事で妨害した
「お前らが力負けしまくるの初めて見たぞ?」
「うん、私もこんなに力負けしたの初めて」
明日奈はそう言うと立ち上がり尻尾九本を出した後、剣を構える
「・・・」
少女は腕をかざしている何か撃つつもりのようだ
「ホワイトローズ、シールド!」
『Yes、ホーリーシールド』
嫌な予感がした明日奈は仲間達を覆うようにシールドを張る、張った所で少女の左手から高出力のレーザーが放たれる
「100%のホーリーシールドがこんなにボロボロになるなんてね」
ホーリーシールドは少女のレーザーを防ぎ切ったがヒビが入ったり所々割れてしまっている
「もう撃たせる訳にはいかねぇな」
ギルダーツはそう言うと風の属性を加えスピードを上げた弾丸を放った、その弾丸は明日奈とミランダでも見えない程速い
「・・・!」
少女も見えなかったようで腕に命中するが、弾は貫通することは無く当たった部分が赤く腫れる位のダメージのようだ
「当たりはするがあの程度のダメージか」
「皮膚も強化されてるんだね!」
明日奈はそう言うと駆け出したミランダも続く、ギルダーツは先程と同じ弾丸を足に撃ち込み少女の行動を妨害する
「・・・少し痛いけど我慢してね」
明日奈はそう言うと少女を斬り付ける、少女は反応し剣で受け止めたが、今度は明日奈が押し負ける事は無かった
「身体強化よ!」
明日奈はそう言うと少女に押し勝ち、すぐに横に避ける、後ろから続いて来ていたミランダが槍を振るい、槍は少女に命中した
「・・・」
少女の体は少しの間宙を浮く、ギルダーツはその隙を見逃さず、弾を撃ち込む弾は全て命中するがやはりあまり効かない
「セィ!」
明日奈は少女の上を取り上から剣を打ち付けた
「!」
少女の体は地面に打ち付けられた、かなりダメージが溜まって来ているようではあるが、立ち上がる
「・・・これで終わりにしよう」
明日奈はそう言うとホワイトローズをブラスターモードに変形させる、少女は恐らく敵を全て排除するまで止まれない、なら動けなくするしか無いのだ
『ホーリーブラスター出力100%』
「ホーリーブラスター!」
明日奈はホーリーブラスターを少女に向け放った、それを見た少女は自分も先程放ったレーザーを放つ、お互いのレーザーはぶつかり合い、この建物だけでは無く辺り一体を揺らす
「ハァァァァァァ!」
明日奈は更に魔力を使いホーリーブラスターの威力を上げる、やがてレーザーがぶつかり合う地点は少女に近付いて行き、ホーリーブラスターが打ち勝った
「・・・」
明日奈は煙が晴れるのを待つ、そして煙が晴れると少女が倒れて行く所であった
「ッ!」
明日奈は少女に駆け寄り抱き抱える
「ごめん、ごめんね・・・痛かったよね、でも私には貴女を止める方法はこれしか思いつかなかったから、許して」
明日奈はそう言うと少女を強く抱き締める
「くっ!」
そこで明日奈が抱きしめている少女の手が明日奈の腹を貫通する、少女は立てなくなるまで傷付いても敵を倒すように命令されているのだ
「うぅ・・・」
「明日奈!」
それを見たギルダーツは明日奈に駆け寄る
「大丈夫だよ・・・ギル、だってこんな風に改造されたこの子の心の方が痛いよ、だから私は痛く無いよ」
明日奈はそう言うと少女の手が更に腹に食い込むのに更に強く少女を抱き締める
「もう良いの、良いんだよ?戦わなくても」
明日奈がそう言った所で明日奈の体から何か温かい光が漏れ出した、その光は明日奈の背中に集まり翼のようになる
「大丈夫だからね?」
そうして光の翼は少女を包み込んだ、光は弾けこの白い空間を金色に染める
「温かい光だな」
「あぁ」
やがて光はそれを見ていた二人が何も見えなくなるほど輝き、そしてやがて収まった
「金色の九尾か・・・」
光が晴れるとそこには意思の灯った目をした白い少女が明日奈に抱きしめられ泣いている
「ほら、大丈夫だったでしょ?」
「うん、ありがとうお姉さん!」
少女のお礼を聞いた明日奈は笑顔を見せると倒れた、腹に突き刺さっていた手は既に抜けている
「お姉さん!」
「明日奈!」
ギルダーツは倒れた明日奈を抱き抱え、急いでワールドセイバー地球支部に転移した
ワールドセイバー地球支部病室
明日奈が少女を救い倒れてから三日が経った、明日奈を病室に運びそして彼女の命の無事を確認したギルダーツはアメリア国首都に戻り大統領に危機は去ったと報告し任務は完了した、だが黒龍団の脅威は消えて居ないので別チームのエージェントが常に警護に付くことになったそうだ
そして明日奈が救った少女の名前はレビィと言い、数ヶ月前村が黒龍団に襲われた時にさらわれて改造されたそうだ、さらわれて改造される寸前までの記憶は覚えているがその後の記憶は一切無いようだ
「う、うーん?」
金色の少女が目を覚ます
「お姉さん!」
レビィは目を覚ました明日奈に抱き付く、明日奈は視界が戻るまで抱きついて来た少女が誰なのか分からなかったが、視界が戻るとすぐに強く抱き締める
「ふふふ、お姉さんちょっとキツイよ、でも嬉しい!」
「私も嬉しいよ!あなた名前はなんて言うの?」
明日奈はまだ知らない白い少女の名前を尋ねる、ちなみにレビィの目は青色になっており髪の色もどちらかと言うと銀色だ
「私の名前はレビィだよ!」
レビィは嬉しそうにそして笑顔で自分の名前を言う
「そう私は明日奈よ、よろしくね?レビィちゃん」
明日奈はそう言うとまたレビィを強く抱き締めた
 




