七話
アメリア国首都、工業区
三軒目の隠れ家にはまた敵は居なかったなので三人は四軒目の隠れ家がある、工業区にやって来た
「隠れ家と言うか」
「基地だな」
四軒目の隠れ家は大きな施設であり、十階建てである、地下もある可能性があるので内部にはかなりの数の敵が居そうだ、先に周りを見渡して見たが正面の入り口以外には入れる所は無く、正面から堂々と侵入するしか無さそうだ
「明日奈、内部の敵の数を調べてくれ」
「分かった、ホワイトローズ、お願い」
『Yesサーチ開始』
明日奈がサーチを依頼し、ホワイトローズが建物のサーチを始めた
『敵の数は一階から十階までで六十二、地下にも階層が有るみたいなのですが、強力な妨害魔法か装置がかけられておりサーチ不可能です』
「分かったありがと」
明日奈はホワイトローズにお礼を言うとギルダーツ達に敵の数を報告する
「敵は一階から十階までで六十二、地下にも階層が有るみたいだけどサーチ不可能みたい」
「分かった、ほれっ飲んどけ」
ギルダーツは明日奈に向けて瓶を投げる、明日奈はそれを受け取りラベルを見ると魔力回復剤と書いてあった
「サーチは燃費悪いんだろ?お前が魔力切れで戦えないとなると俺達はかなり困るからな、飲んどけよ」
「うん」
明日奈はギルダーツにお礼を言うと、回復剤を飲む
「うぇ・・・苦い」
明日奈は余りの薬の苦さに顔を顰める
「良薬口に苦しってやつさ、さて明日奈の魔力も回復したし行くぞ」
「はーい」
「あぁ」
三人は施設の中に入った
黒龍団の施設
三人が扉を開けて堂々と施設の中に入ると、全員が武装してこちらを見ていた、その数は十二人である
「あら、準備万端って感じね」
「だな」
黒龍団のメンバー達は武器を抜き戦闘準備を始める、そして全員が斬りかかって来た
「死ねぇ!」
男はそう叫びながら明日奈に斬りかかって来る、明日奈はその剣をホワイトローズで受け流しその後ろに居る男の両足を撃ちまず一人行動不能にする
「流石だ!明日奈!」
ミランダはそう言うと、リーチの長い槍を横振りに振るい一気に三人の意識を奪う、明日奈はすかさず怯んだ二人の男を鞘に入ったホワイトローズで殴り気絶させた
「ほら催眠弾だ」
ギルダーツは確実に催眠弾を当てて残りの男達を眠らせた
「一階は終わりだね」
「おう、次は二階だな」
十階
それから九階までは大した敵は居らず、明日奈達は何の問題も無く登る事が出来た、これまでに気絶またはギルダーツが眠らせた敵は六十一、よってホワイトローズのサーチが有っているのなら十階に居る敵は一人だけである
「最上階ね」
「あぁ、そいつを倒したら次は地下だな」
三人は十階に続く階段を登り終えた、階段を登った先には扉が一つ十階にはどうやら部屋は一つしか無いようだ
「迷っても仕方ないし開けるね?」
明日奈はそう言うと扉を開ける、部屋の奥には一人の女性が居る
「随分と早かったのね?」
窓から外を眺めて居た女は振り返るなり話しかけて来た
「まぁね、それで?あんたは何?」
明日奈が女の素性を伺う
「私?私は黒龍団の幹部の一人よお嬢ちゃん、ねぇ私は出来れば貴女とだけ戦いたいのだけれど」
女はどうやら明日奈とだけ戦いたいようだ
「私は良いけど・・・」
明日奈はそう言うと仲間二人の顔を見る、すると二人は頷いている、どうやら一人で戦う事を許可してくれているようだ
「良いよ一対一でやりましょう」
明日奈はそう言うと剣を鞘から抜き、左手でホルスターから銃を抜く
「うふふありがとう」
女も剣を抜いた
「ハッ!」
「セェイ!」
二人は同時に駆け出し金色の髪を持つ少女と、銀色の髪を持つ女の剣がぶつかり合った
キン!キン!と剣がぶつかり合う音が響き、ギギギと鍔競り合いをする音がする
「セィ!」
この鍔競り合いは明日奈が勝利し体勢が崩れた女に明日奈は弾を撃ち込む
「フフフ」
女は薄く笑うと弾を斬り、明日奈の懐に飛び込んで来た、明日奈はそれを左に体を捻りかわすと左足を狙いまた弾を撃ち込む
「甘いわよ!」
女は左足を引くだけで弾をかわすと、引いた左足で蹴りを放って来た、明日奈はしゃがんでそれをかわすとそのまま足払いをする
「ッ!」
蹴りを放った時に軸にしていた右足を払われ女は転けた、明日奈は倒れた女に向け剣を突き刺すが、女は左手をかざし火の玉を明日奈の顔目掛け撃って来た、明日奈は慌てて後方に飛び退きそれをかわす
「フゥお嬢ちゃん強いわね」
「お姉さんも強いね、さっきの火の玉は当たればかなりヤバかったよ?」
お互いニコニコしながらの会話である
「ヤバイで済むのね」
「うん」
明日奈は身を低くし剣を構え銃をホルスターに仕舞う、そして一気に駆け出す
「速い!」
女は明日奈が自分の剣のリーチに入った所で剣を振るうが明日奈はそれを上に飛び上がりかわすと、両手で剣を持ち頭上に構えると女の剣に打ち付けた
「クッ!重い!」
明日奈の両手を使った渾身の一撃は女を数メートル後退させる程の威力であった、明日奈はホルスターから再び銃を抜くと大きく隙が出来た女に数発撃ち込む
「チッ!」
女は舌打ちを打ち体を剣を振るった、二発は斬り落としたが、一発は腕を掠った
「えぇー・・・掠るだけって・・・」
「そりゃ当たれば痛いものかわすわよ」
女はそう言うと剣をこちらに駆け寄って来る、明日奈は一度だけ剣を振るってから駆け出す
「ハァア!」
「セィヤ!」
再び剣がぶつかり合う音が響き、二人の体は大きく仰け反るそして二人は同時に剣に魔力を回し、技の準備をする
「バーニングブレイド!」
「ホーリーブレイド!」
二人の技はぶつかり合う、その衝撃はこの施設を揺らす程だ
「なっ!?」
二人のは暫く技をぶつけ合っていたが、明日奈はいきなり力を緩めた横に飛び退いた、女はそのまま剣を地面に打ち付けてしまう
「私の勝ちね」
明日奈は女に後ろから近付くと腕を回し首に剣を突き付けるそして左手の銃は頭に突き付けた
「えぇ・・・私の負けね」
女はそう言うと剣を離し、手を上げ降参した
戦いが終わり明日奈は女を拘束した、そしてギルダーツが地下の事について尋ねる
「さて地下には何が居るんだ?」
「地下には強化人間と言われる兵器が居るわ」
女は正直に答えた
「強化人間とはなんだ?」
「黒龍団が開発した、薬や手術、そして魔法を使って強化した人間よ、意識も思考も洗脳によって奪われているわ、そしてその性能は十人居れば二百人殺せる程の戦闘能力がある」
明日奈はそれを聞いて眉を顰める、人を兵器のように改造し戦力にされた人はとても可哀想だと思った
「何人いる?」
「一人よ」
どうやら地下に居るのは一人だけのようだ
「分かった」
ギルダーツはそう言うと女に手錠をかけ、ワールドセイバーに送った
「ねぇギル、私・・・」
「分かってるさ、地下に居る強化人間にされた奴を、助けてやりたいんだろ?」
明日奈は頷き、そして少し目に涙を浮かべながらその思いを話す
「だって可哀想だもん、自分の意思を奪われて兵器のように扱われるなんて可哀想だよ、ワールドセイバーの医療班なら洗脳や改造から解放してあげれるよね?」
「あぁ、命さえ無事なら無くした腕すら生やしちまううちの医療班なら出来るさ」
ギルダーツはそう言うと、明日奈の頭をグシャグシャと撫でる
「なら行こう、そして止めてあげよう」
ギルダーツの言葉を聞いた明日奈は目の涙を拭いグシャグシャにされた髪を整えると、笑顔を見せ地下に行こうと言う
「おう!」
三人は階段を降りて地下に向かって行った
 




