十話
第四層
ケルベロスがこちらに近付いて来る、鈴が足を撃ち動きを封じようとするが効いていないようだ
「効きませんね」
「毛に秘密があるのかもね!」
明日奈はそう言うとケルベロスの顎を蹴り上げる、が
「グルア!」
ケルベロスは前足を振り上げると明日奈に向け振り下ろし、蹴り上げた後で宙に浮いていた明日奈はかわす事が出来ずに壁まで吹っ飛んだ
「明日奈!」
「クリスティ!来るぞ!」
ケルベロスは男二人に向け駆けて来る、クリスティはかわし胴を殴ってみるが余り効果はなさそうだ、フォードは足を斬り付けるが少し痛そうにしただけだ
「物凄く硬いな」
「そうね、それに攻撃力もかなりの物よ」
立ち上がった明日奈は前衛の二人の元に向かう、対したダメージは無さそうだが服は所々破れている
「当たった本人が言うと説得力があるな」
「うむ、かわせなくても防御は取らないとな」
そこまで三人が言った所でケルベロスの三つの首が何か魔法の準備をする
「何か撃つつもりね、皆、私の側に来て!」
「はい!」
距離を取っていた鈴もすぐに明日奈の後ろに来る
「ホワイトローズ、ホーリーシールド行くよ!」
『Yes、ホーリーシールド出力100%』
シールドを張り終えた所でそれぞれの頭が四人に向け巨大な火の玉を放って来た
「クゥゥ!」
火の玉は着弾すると爆発し、煙が晴れた後通路はボロボロになっておりシールドも少し割れていた
「ホーリーシールドにヒビを入れたのこいつが初めてよ・・・」
「マジヤバイな・・・」
ケルベロスは煙が晴れ敵が生きているのを確認すると今度は接近し一人ずつその命を奪おうとする
「ホワイトローズ!ブレイカーモード!」
『Yes、そして身体強化力を80%上げます!』
明日奈は尻尾を九本出し、ホワイトローズをブレイカーモードに変形させるとケルベロスの爪を受け止める
「インフェルノスラッシュ!」
明日奈はケルベロスを押し返すと燃え盛る大剣をケルベロスに打ち付けた
「グルルル・・・」
ケルベロスはそれなりのダメージを受けたようで怯む
「やるな!行くぜ、火龍拳」
クリスティの拳が龍の形をした炎に包まれる、クリスティはそれをケルベロスに打ち込んだ
「皆さん!流石です!メガニードルショット!」
鈴はそう言うと、ケルベロスの三つのうちの二つの頭の目を全て撃ち抜くと足に向け高威力の球を撃つ
「良いぞ!鈴!」
ケルベロスは二つの頭と右足に球が貫通した痛みに苦しんでいる
「トドメだ!喰らいたまえ」
フォードは大剣をケルベロスに突き刺すと
「中から焼いてやろう、烈火鳳凰斬」
燃え盛る炎でケルベロスの体の中から焼き、ケルベロスは体の中から焼け死んだ
「流石にヤバかったな」
ケルベロスを倒すとコロシアムの出口と階段に通じる入り口の壁が下がり五層に行けるようになった
「五層に行けるようになったけどどうする?」
「帰ろう、流石に魔力を使い過ぎた」
「俺もだ」
皆限界のようだ
「そうね、私もしんどいし帰りましょう」
四人は引き返し遺跡の外に向かって歩き始めた
グラン王都ギルド
明日奈達は戻って来るとポータルに乗りギルドに戻って来た
「しかしあのケルベロス本当に強かったわね」
「おう、取れた毛皮や爪も高く売れたな」
ケルベロスの皮や爪は通算して300000Gで売れた、ケルベロスはかなり高位にランクされている魔物なので取れる素材も高く買い取ってくれるのだ
「そうね、それじゃ私は帰るわね?」
「うむ、また一緒に仕事をしよう、明日奈」
それを聞いた明日奈は頷く
「ええ、また」
明日奈はそう言い笑顔を見せると自宅に向け転移した
「また明日奈の笑顔を見れるようになるとはな」
「はい、嬉しいです、前一緒に旅をしていた時明日奈さんは途中から殆ど笑ってくれなくなりましたから」
「もう明日奈が闇に堕ちる事なんて無いさ」
三人はそう言うとギルドを出て宿に向かった
明日奈の自宅
明日奈は持って行っていたデジカメをバックパックから取り出すとパソコンに繋ぐ
「印刷っと」
とある写真を印刷すると写真立てに入れる
「ふふふ、私の服がちょっと破れているのがイマイチね」
その写真には遺跡の前で撮った四人の笑顔が写っていた




