六話
ラビッツ宝石店
明日奈は次第に悪くなって行く視界の中バナダの気配を探る、犬人族の耳はかなり良いのでこう言う時に役立つ
「ホワイトローズサーチお願い!」
『Yes、マスター』
明日奈はホワイトローズにサーチを頼むと耳を澄ます
『マスター!奴は既に店内に侵入しています!』
「分かった!」
明日奈はそう言うと店内に入る、響も着いて行く
「奴はどっち?」
『斜め右3mです』
明日奈はそれに従い、バナダの接近すると腕を掴む
「こんにちは、バナダさん?」
「な、何故だ、見えない筈だ!」
確かに彼の言う通りこの視界がほぼ無い中捕まえるのは困難だろう
「そうね見えないわよ?でも私の剣にはサーチ機能があるのよねー」
「クソっ!捕まってたまるか!」
バナダはそう言うと明日奈を思いっきり押す
「キャッ!」
少し油断していた明日奈はバナダに押されて尻餅をつく、バナダはその隙をつき逃げ出した
「待て!」
響がバナダを追いかけ始める、明日奈も立ち上がると追う
バナダは外に出ると路地裏に入り込んだ、入り組んだ道を曲がりまくり追っ手を突き放すつもりのようだ
「待ちなさい!」
「誰が待つか!」
バナダは曲がり角にあった、鉄パイプなどを転がす、明日奈はそのうち一本を拾うと彼に向かって投げた
「当たるかよ!」
バナダは身を屈めてかわした
「外れたか・・・撃っちゃおうかしら」
明日奈はそう言うと走りながら腰のホルスターに手を伸ばす
「嫌、それは不味いからね?明日奈」
響は一応止める
「それならこうする!身体強化」
『Yes、走力に40%』
明日奈は速くなった足でバナダに追い付くとその背中を蹴り飛ばした
「グヘッ!」
バナダは勢いが付いて居たため、空中で一回転した後地面に体を打ち付けた
「フゥ、もう逃がさなからね!」
「クソッ!こうなったら!」
バナダは剣を抜くとこちらに向けて駆け出す、明日奈が応戦しようとするが
「ちょっと響?」
「僕がやるよ」
響が応戦するつもりのようだ、響は剣でバナダの剣を受け止める
「君は足は速いようだけど、剣の腕はイマイチだね」
響はそう言うとバナダを押し返し、速い斬撃で彼をどんどん追い詰めて行く、そしてバナダの剣から剣を落とさせると彼の首に彼の首に剣を突き付ける
「まだやるかい?」
「降参だ・・・」
バナダを手を上げ降参した
「・・・かっこいい所見せてくれるじゃない」
明日奈はそんな彼の姿を見て小声でこう言った
ラビッツ宝石店
二人はバナダに手錠をかけワールドセイバーに送ると報告の為宝石店に戻って来た
「奴はどうなった?」
ダグが期待を込めた目で聞いてくる
「ふふふ捕まえたわよ、彼がね」
明日奈は響を指差す
「そうか!今度正式にワールドセイバーに感謝状と報酬を送るよ!ありがとうな!響君!」
ダグはそう言うと嬉しそうに響の肩を叩く
「いえ、仕事ですから、それではまた」
「おう!またな!」
響と明日奈はダグに背を向け歩き出す
「明日奈」
「何?」
明日奈は響に話しかけられたので彼の顔を見る
「人に感謝されると言うのはこんなに嬉しい物なんだね」
響は嬉しそうにそう言う
「そうでしょう?人に感謝されるのはとても嬉しい事」
明日奈はそこまで言うと響の前に行って振り返る
「とっても嬉しくてね?幸せな事なのよ?」
そう言うと明日奈は響に笑顔を見せた
「そうだね」
響は頷く
「それじゃ帰ろっか?響」
「あぁ」
二人は地球支部に向けて転移して行った




