一話
明日奈の自宅
邪神の城には簡単に入り込めない事が分かり明日奈は普段通りの仕事に戻っていた、この日は休日、掃除洗濯を終えた明日奈はのんびりとコーヒーを飲んでいた
「鍵探しは本部の仕事かぁ・・・私も探したいなぁ、面白そうだし、ねぇ?ホワイトローズ?」
『はい、確かに色々な遺跡を回れるでしょうし、面白いでしょうね』
ホワイトローズも明日奈と同じく冒険が好きなのだ
「そうよねぇ私も行きたいなぁ・・・」
「上層部が決めた事なんでしょう?諦めなさいよ、そんな事よりあんたのご飯が食べたいわ」
明日奈は急に声がしたので振り返る、そこには愛奈と飛鳥が居た、恐らく転移して直接入り込んで来たのだろう
「はぁ・・・転移して来るのは良いのよ?でもさぁ玄関から入って来てくれないかしら?」
「嫌よ、なんで転移すれば直接入れるのに、わざわざ玄関から入らないと行けないのよ」
愛奈は手間を増やすのを嫌がるのだ
「・・・良いよもう、それで?何食べるの?」
「そうですね・・・パスタでお願いします!」
今まで会話に入って来なかった飛鳥が食べ物の話になると急に参加して来てパスタを食べたいと言った
「分かった、待ってて」
明日奈はそう言うとキッチンに向かい、パスタを作り始めた
パスタを作り終え、明日奈は椅子に座りリビングにある机の上に置いたパスタを食べる二人を頬杖を付きながら眺める
「美味しい?」
「はい!美味いっす!最高っす!」
飛鳥はかなり喜んでいるようだ
「かなり美味しいわよ、ありがとうね?明日奈」
「どういたしまして、それで?今日はどうするの?泊まって行く?」
泊まって行くのなら、布団を干さないと行けないのだ
「えぇ泊まって行くわ」
「分かった」
明日奈はそう言うと来客用の布団一式を取り出すと、ベランダに運んで行った
「なぁ愛奈、明日奈さんって絶対良い奥さんになるよな」
「そうね」
二人は明日奈の揺れる金色の髪を見ながらそう言った
バスルーム
明日奈は三人でご飯を食べて二人を先に風呂に入らせると最後に自分が風呂に入っていた
「やっぱり湯船に浸かりたいわね」
明日奈は日本で育った、だから出来れば湯船に浸かりたいのだ
「さてこの尻尾用シャンプー、本当に毛がサラサラになるのかしら?」
明日奈の手には頭を洗うシャンプーとは別のシャンプーがある、最近地球支部の女性陣と昼食を取っていたら、同じ妖狐の女性職員にオススメされたのだ
「まぁ物は試しね」
そう言うとシャンプーを手に取り、九本ある尻尾を一本づつ洗い始めた
リビング
愛奈と飛鳥は明日奈が淹れてあげたコーヒーを飲んでいる
「相変わらず時間かかるのね?」
「まぁね、九本もあったら時間がかかるよ」
明日奈はそう言うと尻尾をゆらゆらと揺らす
「それよりもさ!オススメされた尻尾用のシャンプー使って見たの、どう?」
明日奈はそう言うと愛奈と飛鳥に尻尾を見せる
「確かにいつもよりツヤツヤしてるわね、でもあんまり変わりないわよ?だってあんたの尻尾普段から綺麗ですもの」
「確かにいつもよりはツヤツヤしてますけど、明日奈さんの尻尾は元から綺麗ですからね、そこまでの変化はないっすね」
それを聞いた明日奈は少し落ち込む、耳はペタンとなっており尻尾は下がっている
「何よ、あんまり意味無いって事?」
「まぁそうね」
愛奈は頷いた
「そう・・・でもいい匂いだしこれからも使おっと」
明日奈はあまり効果は無いが匂いが気に入ったようなので使う事にしたようだ
「ねぇ、明日奈」
自分の分のコーヒーを淹れている明日奈に愛奈が話しかける
「何?」
「あんた好きな人でもいるの?」
淹れたコーヒーを飲んでいた明日奈がそれを聞いて噎せる
「ゲホッゲホッ、いきなり何よ」
「何となくよ、で?どうなの?」
明日奈は思ったこういう時の愛奈は全てお見通しなのだ、嘘を付けば弄り倒される
「居るわよ」
「ふーん、あの響って人?」
明日奈は響の名前を聞いてあの時の事を思い出す
「そうよ」
「へぇ!告白したんですか?」
聞いていた飛鳥も明日奈弄りに参加する
「してない、恥ずかしくて出来ないわよ」
明日奈はそう言うと頬を赤くして俯く
「ふーん、で?キスとかしたんでしょう?私、知ってるのよ?」
「へっ!?なんで知ってるの?あそこには誰も居なかった筈よ?」
明日奈は俯いていた顔を上げ驚いた表情を作る
「プッふふふ、そう言う所あんたは相変わらずよね、知ってる筈が無いじゃない」
愛奈はそう言うと笑い始める、明日奈はまたやってしまったと思ったが言ってしまった物は仕方ないと思った
「へぇ!キスしたんですか!何処にです?」
「・・・頬に」
そう言うとまた顔を赤くして俯く
「ふーん何でキスしたのよ?」
「べ、別に、良いじゃない、私の勝手じゃない!」
明日奈はそう言うとコーヒーを一気飲みし、ベットに入った
「あらら、恥ずかしさがオーバーフローしちゃったのね」
布団に潜っていた明日奈はそれを聞くとガバッと体を起こし
「違うんだから!」
と叫んだ




