五話
明日奈の自宅
朝、明日奈は布団からもぞもぞと這い出る
「・・・眠い」
目を擦りながら近くの机に置いてあるコップを取ると水を飲む
「美味し」
顔を洗い目を覚ますと、キッチンに向かい朝食を作る
「今日はパンと目玉焼きにしましょう」
そう言うと冷蔵庫から卵を出し、フライパンをコンロに置くと火を付ける、そしてトースターでパンを焼く
「卵ちゃん、美味しくなってね」
充分フライパンが温まると卵を投入する
そして両方出来上がると目玉焼きは皿に盛り、パンもバターを塗り同じ皿に載せる
「頂きまーす」
明日奈はそう言うと目玉焼きに胡椒をかけ、食べ始める、食べながらスマートフォンを確認する
「何も無しか」
明日奈はそう言うとスマートフォンを机の上に置くと朝食の残りを全て食べた
天上界
明日奈は服を着替え髪を整えるとツインテールにし天上界に転移した、そしてそのまま神狐の家に向かう
「ただいま!」
玄関に入りそう言うと、玲狐が出て来た
「お帰りなさい明日奈様」
「うん、ただいま玲狐さん、お母さんとお父さんは?」
明日奈は出迎えてくれた玲狐に挨拶すると両親の事を聞く
「お二人ともいらっしゃりますよ、それと・・・」
「そう、ありがとね?玲狐さん」
明日奈は玲狐が何か言い終わる前にお礼を言うと尻尾とツインテールを揺らしながら階段を登った
「あらら、行ってしまわれましたね・・・まぁ良いでしょう」
玲狐はそう言うと掃除に戻った
神狐の部屋
明日奈は神狐の部屋に向かうと扉を開けて中に入る
「お母さん、ただいま!」
「うむお帰り」
明日奈は神狐に挨拶すると母に抱き付く
「ククク、いつも抱き付いて来よって、可愛いのぅお主は」
神狐はそう言うと明日奈の頭を撫でる
「良いじゃない別に」
明日奈は少し頬を赤くしながらそう言う
「まぁ確かにの、それで?今日の目的はこれか?」
「うん」
明日奈はすぐに頷いた
「そうか、お主は相変わらず甘えん坊で寂しがり屋じゃのう」
「お母さんにだけにしか見せてないわよ」
明日奈は更に顔を赤くしてそう言った
明日奈は暫く母に抱き付いていたが離れると椅子に座る
「ねぇお母さん」
「何じゃ?明日奈」
神狐は尻尾の毛を整えながら明日奈を見る
「お父さんは?」
「アシュレイか?あやつならいつも通り部屋で寝ておるのじゃろう」
神狐は少し呆れた様子でそう言った
「そっか、なら私が起こして来るね?」
「うむ、行って来い、少し寝過ぎじゃからの」
明日奈はアシュレイの部屋に向かうと部屋に入る、アシュレイは大の字で寝ている
「お父さん?起きて」
明日奈は父に近づくとその体を揺する
「うーん?おお明日奈かお帰り」
「うんただいま、今日はあっさりと起きるんだね?」
明日奈はそう言うと首を傾げる
「ま、まぁな」
(また寝ボケて抱きしめちまったら、また殴られるからな・・・)
アシュレイはそう思いながら体を起こすと明日奈の頭を撫でる
「それにしてもますます神狐に似て来たな」
「そう?」
明日奈はまた首を傾げる
「おう、違うのは尻尾の毛並み位だな」
「ふーん」
明日奈は自分の尻尾を前に持ってくると眺める
「毎日手入れしてるんだろ?」
「うん、手入れしないと落ち着かないし」
手入れをしないとソワソワして来るのだ
「大変だな、俺なんてもし妖狐だったら数日放置だぜ?」
「お父さんが妖狐だったらそんな感じだろうね」
明日奈はそう言うと立ち上がる
「それじゃお父さん、もうそろそろお昼ご飯だし、降りて来てね?私もお母さんと一緒に行くから」
「おう、分かった」
明日奈は父の返答を聞くと部屋を出た
食堂
明日奈は食堂に降り、昼食をとり一息ついていると玲狐が話しかけて来た
「明日奈様、ちょっとお話があるのですが」
「どうしたの?玲狐さん」
明日奈は玲狐を見るとどうしたのか聞く
「私の娘、鈴の事です」
「鈴がどうかしたの?」
明日奈が鈴がどうかしたのか?と尋ねると玲狐が話し始める
「はい、鈴をそろそろ正式に明日奈様のお付きとしたいのです」
「そう言えば鈴から聞いていたけど、いつかは鈴は私のお付きになるのだったわね」
明日奈は昔鈴から聞いた話を思い出す
「はい、ですので明日奈様がよろしければ鈴を明日奈様のお付きにしたいのですが」
「私は良いけど、鈴に自由はあるの?」
もし鈴の自由が無くなるのなら明日奈は即拒否するつもりだ
「はい、明日奈様がそうしたいのでしたら」
「そう・・・それなら良いわ、鈴を私お付きにします」
明日奈は鈴を自分のお付きする事を承諾した
「ありがとうございます明日奈様、鈴?入って来なさい」
「はい、お母様」
鈴は部屋に入って来ると明日奈に礼をする
「明日奈さん、承諾してくれてありがとうございます、私はずっと夢だったんですお母さんみたいに神様のお付きになることが」
「そう、お付きと言っても今まで通りで良いからね?」
明日奈は鈴の手に触れるとそう言う
「分かってます、私と明日奈さんはお友達ですから」
鈴も明日奈の手に触れるとそう言った
「ふふふ、もし私が誰かと結婚してお腹に赤ちゃんが出来たら、あなたの力を借りる事になるだろうからその時はお願いするわね?」
「はい!でもたまには私に明日奈さんのお世話をさせて下さいね?」
鈴は嬉しそうに頷いた後そう言った
「そうね、たまにね?」
「はい、たまにです」
二人はそう言うと笑い合った
鈴が正式に明日奈のお付きになるお話でした




