十一話
神狐の館
神狐は明日奈が泣き止んだのを確認すると話しかける
「大丈夫かえ?」
「うん、ありがとうお母さん」
明日奈は母の胸から顔を上げる
「何かあったのか?」
「私ね任務の途中で撃たれて気絶したのその気絶している間に見た夢があの時の夢でね、それで思ったの私って本当に変われたのかなって」
神狐はそれを聞いて首を振る
「お主は変わっておるよ、前のお主は人間を許そうとなど全く思わなかったのじゃろう?」
「うん」
明日奈は頷く
「そして今のお主は人間を許そうと努力しておる、それは大きな変化じゃろう、時間がかかってもいい、ゆっくりと人間を許して行けば良いんじゃよ?」
神狐はそう言うと明日奈の頭を撫でた
「そうだね、ゆっくりと許して行けば良いんだよね・・・」
明日奈はそう言うと母に甘えるようにまた抱き付いた
「・・・忘れて」
「ククク、わしに甘えて来るお主はかなり可愛かったぞ?」
明日奈は顔を真っ赤にしている
「お主はわしの娘なんじゃもっと甘えても良かろうて」
「慣れてないのよ」
そう言われた明日奈はそっぽを向く
「ククク、それじゃあこれから慣れればよかろう」
「・・・そのつもりよ」
明日奈はそう小さく呟いた
「なんじゃ?聞こえんかったが?」
「何でもない!ねぇお母さんいっぱい泣いたらお腹空いちゃった、玲狐さんにご飯作って貰おうよ」
明日奈はそう言うと神狐の後ろに回り背中を押す
「さっき何を言ったのか教えてくりゃれ?」
「嫌よ、ほら!早く行こ?お母さん」
明日奈は母を急かし食堂に向かった
食堂
親子は食堂に降りて来ると丁度帰って来ていた玲狐に晩御飯を頼んでいた
「そう言えば、お父さんは?」
「部屋で寝とるんじゃろう、あやつは仕事が無いとだらしなくなるからのう」
実際アシュレイは日課の朝の鍛錬以外はダラダラして過ごしている
「私、起こして来るわ」
「うむ」
明日奈はアシュレイを起こしに二階に登りアシュレイの部屋のドアをノックする
「お父さん、起きてるの?」
ノックしても返事が来ないので明日奈はドアを開けて入る、そこにはベットの上で大の字になって寝ているアシュレイがいた
「はぁ、やっぱり寝てるんだ、ほら起きてよお父さん、晩御飯よ」
「うーむ?」
明日奈に体を揺すられたアシュレイはうっすらと目を覚ます、そして明日奈を見た
「おーう、神狐じゃねーか、可愛いなぁこいつめ」
そう言うと明日奈を抱き締めた
「 ひゃっ!」
そうしてアシュレイは暫く明日奈を抱き締めていたのだが神狐とは少し違う事に気付いた
「・・・」
アシュレイはそーと、抱き締めている者の顔を見る、そこには満面の笑みを浮かべた明日奈がいた
「お、おう明日奈おはよう」
「ええ、お・は・よ・う・ご・ざ・い・ま・す、お父様」
アシュレイは明らかに起こっている様子の明日奈に冷や汗を流す
「いやすまん、怒るなよ明日奈」
「この馬鹿親父!」
明日奈を身体強化を施した右ストレートを彼の腹に放った
「ぐぉ!」
アシュレイの体は天井にぶち当たり落ちた
「ご飯だから降りて来てね!」
明日奈はそう言うと部屋を出て行った
「本当神狐に負けず劣らずの凶暴さだな・・・」
アシュレイは腹を摩りながらそう言った
寝室
風呂に入り神狐と一緒に寝るつもりの明日奈は母に髪をといで貰っていた
「お主の髪は相変わらず綺麗じゃのう」
「ありがと」
鏡に写っている明日奈の顔は嬉しそうだ
「尻尾も綺麗じゃのう」
「うん、何か本能的に綺麗にしなきゃ気が済まないんだけど、妖狐ってそんな物なの?」
明日奈は気になっていたので聞いてみる
「まぁのう、ワシも暇な時は手入れをしておるしそんな物なんじゃろうて」
神狐は自分の行動を思い出しながらそう言った
「さて、寝るとするか」
「うん」
神狐と明日奈は暫く話した後明かりを消し眠った




