八話
第26世界インラーシダ
明日奈は一人の男を尾行していた
「対象は第四地区の商業区を歩いてるわ」
『うむ、そのまま人混みに紛れて対象を尾行しろ』
今、明日奈が付けているのは地球支部の上層部が目星を付けた人物の一人である、尾行するのは表立った所で接触し、騒ぎになると対象のマフィアが地下に潜ってしまう可能性があるからだ
「分かったわ」
明日奈は対象から十メートル離れた位置で着いて行く、暫くすると男はとある店に入った
「宝石店ね」
『奴が出て来るまで入り口を監視しろ』
明日奈は言われた通り店の入り口から死角になっている路地裏に入ると入り口を監視する
「あいつ、何をしてるのかしら?」
『さぁな、入って何をしているのか、見てみるか?』
ワトソンは明日奈の呟きに茶々を入れる
「店の中で暴れても良いならやっちゃうわよ?壊した物の弁償は部長に押し付けるからね!」
明日奈は責任を取るつもりは全く無い
『冗談だ、本気にするな』
「分かってるわよ、ちょっと乗ってあげただけよ」
明日奈はそう言うと視線を宝石店の入り口に戻した
十五分後
明日奈が尻尾の手入れでもしようかと思い出した頃男がようやく宝石店から出て来た
「出て来たわ、追跡再開ね」
『うむ』
男は暫く街を歩き、路地裏に入って行った
「路地裏に入ったわ接触する、良いわよね?」
明日奈はワトソンに接触して良いか確認する
『構わん』
明日奈はワトソンの許可が出たので路地裏に入り対象に接触する
「お兄さんこんにちは」
「誰だ、お前は?」
男は振り返り明日奈を見る
「お兄さんはブラックキャットのメンバー?」
明日奈はマフィアの組織名を言い男の反応を見る
「何だよ?ブラックキャットって?」
男は何の事か分からないと言う様子だ
「本当?」
「あぁ」
明日奈は暫く男の目を見る、明日奈は目を見た結果これは違うなと思うと男に謝った
「ごめんなさい、違うのなら良いの」
明日奈はそう言うと帰ろうとする、だが男は明日奈の肩を掴むと
「いや待てよ、よく見たらあんた良い女じゃねーか、一緒に遊ばねぇか?」
そのまま肩を組むとナンパする
「断るわ」
明日奈は勿論拒否する
「そんな事言わないでくれよ、あんたみたいなぁ良い女なんてさぁ、滅多に居ないんだぜ?俺とちょっと付き合ってくれよ」
「そんな事俺等が許すと思ってんのか?」
そこで男の声がした
「誰だテメェ」
「俺か?俺はウィリアムだ!」
ウィリアムはそう言うと男を殴り飛ばした
「グェ!」
男はウィリアムに殴られると吹っ飛び気絶した
「・・・私が殴ろうと思ってたのに」
明日奈は密かに上げていた拳を下げるとウィリアムとギルダーツを恨めしそうに見る
「ふん、うちのお姫様は気がお強いねぇ」
ギルダーツはそう言うと明日奈の肩をポンポンと叩く
「・・・こいつも違ったわね」
明日奈はギルダーツを無視すると今回のターゲットを見る
「無視かよ・・・帰ってまた会議だな、帰るぞ」
三人は地球支部に向かって転移した




