一話
第一世界ワールドセイバー本部
明日奈が眠そうにホットドッグ屋の店主にホットドッグを注文しているのと同時刻、佐藤は重要な会議に向かっていた
「明日奈君が私に教えてくれた情報は上層部に充分な警戒を与えましたよね?」
「そうだな、俺達が何度もあの組織は危険だ、と言っても受け入れてくれなかったのにな」
佐藤ともう一人の男工藤は随分前からワールドセイバーの事を調べその危険性に気付いていた、だが何回も上告したが上層部はその危険性を中々理解してくれなかったのだ、二人にとっては明日奈のもたらした情報は自分達が正しかったと証明する物だった
「本当あの子が来てくれて助かりました、これであの組織を止める事が出来る」
「だな、何としても邪神の復活は止めなくては」
二人はそう言いながら廊下を進む
「そう言えば明日奈君と言えばあの子は本当に神なのか?ワトソンからの報告によれば確かに強いが神と呼べるほどの力は無いと書いてあったが」
工藤は佐藤から聞いた明日奈の話でずっと聞きたかったことを聞いた
「うちの組織に参加してくれている神達に聞いたところ、あぁそれはまだ半覚醒だと全員に言われました」
「そうか、お前もマメだな全員に聞かなくても良く無いか?」
工藤はそんな事をしなくても一人に聞くだけで充分だと思った
「工藤さんは実際にあの子の力を見てないからそんな事を言えるんです」
「そんなに凄いのか?」
佐藤は頷く
「はい、私が見たのはデスイーターの幹部と戦っている所でした、あの子は女幹部を圧倒し撤退させると宙に浮かび城塞都市の火を全て消しましたからね」
「ほぉ、凄いな」
工藤は明日奈の力に感心する
「でもこの前会った時は始めてあの子を見た時の神々しさと言う物がなく、少し気が強そうな普通の女の子でした、その時に思いましたよ、本当にまだ半覚醒なんだなって」
「ふむ、今は普通の九尾と言うことか・・・」
工藤のこの言葉に佐藤は頷く
「はい、ゆっくりと神の力に目覚めてくれれば良いと思います」
「だな、焦らせる必要は無い」
二人はそう言うと会議室の前に着いた
「さて着いたな、行くぞ!」
「はい!」
二人は会議室に入って行った
ワールドセイバー地球支部
佐藤は会議が終わり工藤と共に地球支部に戻って来ていた
「私達にとってはもう喜ぶしか無いって感じの会議でしたね」
「あぁ奴等に対する充分な戦力と対策を本部が練ってくれているそうだからな」
今回の会議は二人にとっては本当に喜ばしい物だった、上層部がデスイーターに対する充分な警戒を確実に約束してくれたからだ
「さて、もっと忙しくなるな」
「ですね」
二人がそう言ってると、金色の尻尾をゆらゆらと揺らしながら歩いて行く妖狐が目に入った
「噂をすればと言う奴だな、俺達の最大の功労者だ」
「話しますか?工藤さんもあの子と話がしたいんでしょう?」
佐藤は先程の工藤との話を思い出し明日奈と話さないのか?と聞いてみる
「よし話してみよう」
「分かりました」
二人は明日奈に近付いて行った
明日奈は昼食を組織の女性陣と取り、職場に戻ろうとしていた
「今日は任務無いみたいだし、これから多分パトロールね」
明日奈はそう言うとエレベーターに向かう
「おい!明日奈君、ちょっと待ってくれ!」
明日奈は呼び止められたので振り返る
「あっ、えっと・・・佐藤さん、何か用?」
佐藤は名前を思い出すのに時間がかかった明日奈に少し落ち込んだが気にしないことにした
「いや、君と話したいと言う人がいてね」
「初めましてだな、久城明日奈君」
工藤は明日奈に挨拶する
「初めまして、えっと?」
明日奈は挨拶するが名前が分からないので戸惑う
「あぁすまない、俺は工藤泰彦だ、君や佐藤と同じく日本出身だ」
工藤はそれを見て自己紹介する
「えっ?二人とも日本人なの?でもこの世界には魔法は無いんじゃ?」
明日奈は魔法が無いこの世界で何故ワールドセイバーに入れたのか疑問に思ったので聞いてみる
「私は陰陽師の家出身でね、魔力では無く法力を使う」
「俺もそうだ」
この世界には魔力は無いが、陰陽師の家など特殊な家系にはそう言う超常的な力があるのだ
「へぇ、陰陽師って昔は妖怪退治とかしてたの?」
「まぁそうだな、君も退治されてみるか?」
佐藤は冗談を言ってみる
「ふふふ良いわよ?でもタダで済むとは思わないでね?」
明日奈も乗る、微かに魔力を発散させる
「何をふざけているんだ、さて明日奈君このワールドセイバーでの仕事はどうだ?」
「楽しいわ、皆色々な事を教えてくれるしそれを覚えて行くのが楽しいの」
明日奈はそう嬉しそうに言う
「そうか、君は神の資格を持っているそうだが本当か?」
工藤は本題に入る
「あら?佐藤さんに聞いたの?この前お母さんに聞いてみたんだけど、私は時の神みたいよ、まだ半覚醒だけどね」
「君のお母さんと言うのは?」
工藤はやはり半覚醒なのかと思うと明日奈の母親の事を聞いてみる
「玉藻神狐、全ての神の長よ」
二人はこれには驚いた、まさかそんな最上位の神の娘だとは思ってなかったのだ
「そ、そうか、だから君の事を聞いた神達は合わせろ!としつこかったのか・・・」
佐藤が神に明日奈の名前を出した所、全員に何?合わせろ!と言われたので不思議に思っていたのだが、それが何故なのか理解した
「私の事って何よ」
明日奈は明らかに警戒した目で二人を見る
「君の神の力の事について聞いて回っていたんだ、不快にさせたのなら謝ろう」
佐藤はすぐに頭を下げる
「あぁそう言うことね、それなら別に良いわ」
「そうか、ありがとう」
佐藤は許してくれた事に礼を言う
「しかし最上位神の娘か・・・俺達は君をどう呼んだら良い?姫様か?」
「別に今のままで良いわよ、私はそんな事気にしないわ」
明日奈は何で皆姫様になるのよ!と思いながら、そう言った
「そうか、ではこれからも明日奈君と呼ばせて貰おう、それでは俺達は仕事があるのでな、機会があったらまた話そう」
「ええ、またね?次お話出来るのを楽しみにしているわ」
三人はそう言うと別れた




