表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金色の九尾  作者: ブレイブ
四章三部妖狐族の里2
139/335

二話

妖狐族の里

神狐は天上神となって百年経っていた

「姉さんただいま」

「あら、おかえり」

譲羽は人間で言えば三十歳位の姿をしている、だが神狐は二十歳になった時からその姿は変わらない

「今日はどうしたの?お仕事は?」

「終わらせて来たわ、旦那さんは?」

譲羽は結婚しており、一人の息子、一人の娘がいる

「子供達を連れて遊びに行ったわ」

「そう、美鈴ちゃん可愛いから会うの楽しみだわ」

神狐は美鈴に会うのを本当に楽しみにしているようだ

「で?あんた結婚しないの?」

「結婚して良いと思える人が居ないのよ」

神狐は結局これから二万年と数百年結婚しないのだが

「理想高過ぎじゃない?」

「良いの、私がかっこいいと本当に思える人と結婚するんだから」

神狐がそう言うと子ども達と譲羽の夫である那月が帰ってきた

「神狐さんよく来てくれたね、ほらお前達も挨拶だ」

「お姉ちゃんこんにちわー」

子供達は神狐を囲む、美鈴が近寄って来て神狐の膝の上に座った

「ふふふ、美鈴ちゃんこんにちは、生意気坊主も大きくなったわね」

「神様だからって偉そうにすんな」

翔は本当に生意気そうだ

「あーら、随分と威勢が良いじゃない、美鈴ちゃんはこんなに良い子なのにねー」

「ねー」

神狐は翔は小馬鹿にする

「チッ、母さん飯になったら呼んでくれ」

「分かったわ」

翔は肩を怒らせながら部屋に戻って行った

「もう!桔梗はいつも翔をからかうんだから!」

「だってあの位の歳の男の子ってからかうと面白いんですもの」

神狐は反省しない

「はぁもう良いわ、美鈴の相手をしてて、あなたは夕飯の準備を手伝って」

「分かった、神狐様、娘を頼むよ?」

神狐は頷く

「任せなさい、さて美鈴ちゃん何して遊ぼっか?」

「うーん、おままごと!」

それから神狐は美鈴の遊びに付き合った



神狐の館

神狐は夕飯を食べると天上界の館に戻って来ていた

「ふーう、美鈴ちゃん可愛かったわね」

そう言いながら、尻尾の毛を整えている

「私も産むのなら女の子ね」

神狐はそう言うとうんうんと頷いている

「さて寝ましょうか」

神狐はそう言うと部屋の明かりを消し眠った


二万年後

更に長い月日が経ち神狐はこの日も早く仕事を終わらせて椅子をグラグラとさせている、机には劣化防止の魔法がかけられた譲羽とその夫と子供達の写真が飾ってある

神狐が、さて何処かに遊びにでも行くかな?と思った所で館のドアがノックされた

「うーむ?誰じゃ?」

神狐はそう言うと椅子から立ち上がり玄関に行くとドアを開けた

「何の用かぇ?」

「玲狐と申します、これからあなたのお世話はさせて頂くことになりました、よろしくお願いしますね?」

神狐はそう言えばそんな事を里の者に言われていたなと思い出した

「お主が里の長が言っていた、優秀な妖狐か、歳は幾つなのかぇ?」

「今年で十五歳になりました」

玲狐は、若干十五歳で八尾にまでなった秀才だ、族長はそんな優秀な玲狐を神狐のお付きとして送る事で神狐の中の自分の里の印象を良くしようと思ったのだ

「ほーう若いのぅ、そんな優秀なお主がワシの世話をするなど少し勿体無い気がするのぅ」

「そんな事はないです、私は元からあなた様に憧れ小さい頃からあなたのお付きになりたいと思っていましたから」

玲狐は嬉しそうにそう言う

「むぅ、まぁ良いじゃろう」

神狐は本人がそう言うのならまぁ良いかと思った

「まず何をすれば良いのでしょうか?」

「そうじゃのう・・・掃除も洗濯も何もかも今日はやってしもうた、夕飯を作ってくれないか?」

神狐は今まで一人でこの屋敷の家事をやっていたのでこの日も全てこなしてしまっていた、なので夕飯位しか任せられる仕事が無いのだ

「分かりました、えっと厨房はどちらでしょうか?」

「こっちじゃ」

玲狐が厨房の場所を聞いて来たので神狐は案内する

「器具の場所は適当に棚を開けて何処に何があるのか確認してくれ、全部綺麗にしてあるからのぅ、場所は好きに変えてくれても構わん、ワシは部屋におるからのぅ、二階の突き当たりの部屋じゃ」

「分かりました」

神狐は玲狐が頷いたのを見ると厨房から出て自分の部屋に戻った

「随分と可愛らしい子じゃ、姉さんに似ているかもしれんな」

神狐はそう言うと寂しそうに机の上の写真の姉を見る

「やはり寂しいのぅ、分かっていた筈なのにな」

神狐はそう言うと写真を取り胸に抱いた

「だが姉さんは最後まで幸せそうじゃった、最後までワシの心配をしてくれて、結婚しないの?が、口癖だったのぅ」

神狐は胸に抱いた写真を見ると何かを決意したようだ

「よし!ワシもそろそろ結婚相手を探すとするかの!」

神狐がそう言った所で玲狐が部屋に入ってきた

「神狐様夕飯が出来ました、口に合うか分かりませんが、どうぞお召し上がりください」

「うむ頂こう」

この後神狐は玲狐の料理の美味しさに感動し一生ワシの家にいるのじゃ!と叫んだそうだ



七尾までの妖狐には例外無く寿命があります、八尾からの妖狐は神と人の間の存在になり、そしてその間にいる妖狐の中から神になる者が現れるのです

譲羽は六尾で妖狐族としては長生きし、五百歳近くまで家族に囲まれ幸せに暮らしました



譲羽と桔梗のお話はまた別の機会に書く予定です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ