一話
アースフィリアの妖狐族の里
あたりは暗い、桔梗と譲羽は族長の家に向かっている
「ねぇ姉様、本当に私が天上神にならないといけないの?」
「あら?なりたく無いの?」
譲羽は桔梗の顔を見る
「うん」
「でもね、あなたには神格があるわ、あなたは神になる運命なの、それはとても誇らしいことだわ」
譲羽は本当は寂しい親は五大陸の戦争で亡くなり、まだ幼いかった桔梗を自分が手塩にかけて育てたからだ
「私姉さんと離れたく無いわ」
「それは私もよ、でもあなたが立派な神に慣れたらいつでも会えるようになるわそれまで我慢しなさい」
寂しそうに尻尾を下げる妹の頭を撫でながら譲羽はそう言う
「・・・」
「でもね、本当に嫌になったのなら戻って来なさい、この里があなたの家なのだから」
譲羽の尻尾も下がっている
「うん我慢する」
「良い子ね、さぁ付いたわよ」
桔梗と譲羽は族長の家に入った
姉と妹は族長の家に入り暫しの別れを告げていた
「ふふふ桔梗?」
「何よ?」
譲羽はニヤニヤとしている
「久しぶりに姉さんと呼んでくれたわね、嬉しいわ」
「なっ!」
そう言われた桔梗は顔を真っ赤にする、寂しさのあまり今では呼び捨てにしていた姉を姉さんと呼んでしまっていたのだ
「ふふふ顔を真っ赤にしちゃって可愛いんだから、さぁ行って来なさい」
「何よ!・・・行って来ます」
桔梗は天上界に転移した
「頑張りなさいね桔梗、私の大切な妹・・・」
姉はそう言うと族長に挨拶し家に戻って行った
天上界
天上界は過去も未来も変わらず広大な草原が広がっている、まだ少し幼い桔梗は早速この広さを見て帰りたくなった
「うう・・・広い、帰ろうかな」
だが桔梗は首を振る
「姉さんと約束したんだよね、我慢するって、行かなきゃ」
桔梗はそう言うと歩き始めた、暫くするとポツンと看板が立っていた
「天上神様の家はあっちね」
桔梗はそう言うとその方向に歩き出すが、看板が喋り出した
『へーい!可愛い子ちゃん、天上神様に会いに行くのかい?』
「へっ?看板が喋ってる!?べ、紅桜!」
喋る看板に驚いた桔梗は紅桜と自らが名付けた刀を召喚すると、看板君零号機を斬り伏せた
『まだ何も言えてないぜ・・・』
看板君零号機は辛うじて残っている部分でそう表示した
「何だったのかしら?」
桔梗はそう言うと今度こそ天上神の家に向かって歩き始めた
先代天上神の家
桔梗は天上神の館に着いた、その館を涙目で見上げている
「着いちゃった・・・」
桔梗の頭の中には帰ろうと言う桔梗と、姉との約束はどうしたの!と言う桔梗が戦っている
「あのぅ桔梗です、天上神様はいらっしゃいますか?」
どうやら勝利したのは姉との約束派の桔梗のようだ、桔梗は玄関の前で中に呼びかけてみる
「居ないのかな?」
桔梗がそう言うと中から女性が出て来た
「居るわよ、あなたが私の後継者ね?これからよろしく」
出て来た女は人間族の女、赤い着物をを着ている
「これからよろしくお願いします!私の名前は桔梗です!」
「ふふふ、そんな硬くならなくても良いのよ、私の名前は神羅よ」
神羅はそう言うと桔梗の頭を撫でた
「さぁ入りなさい、まずはあなたに神名を付けないとね」
「はい・・・」
桔梗は遂に神としての名前が付けられるのかと思うと不安になった
「そんな顔をしなくても大丈夫、これまでのあなたが居なくなるわけじゃ無いのだからね?」
神羅はそう言うと自分の寝室に桔梗を連れて行った
「さて早速あなたに神名を付けましょう、うーんあなたは妖狐族だから、そうね神狐にしましょう!」
「神狐・・・」
桔梗は新しい名前をポツリと呟く
「そうあなたは神狐、これから色々な事を教えてあげるから頑張りましょうね?」
「はい」
神狐は頷いた
それから神狐は神羅に様々な事を教えられているうちに二年と言う歳月が過ぎていた
「本当立派な神になったわね神狐、あなたにそろそろ天上神としての座を譲っても良いと思っているわ」
神羅は神狐を見てそう言う
「明日あなたを次代の天上神として任命します、覚悟は良いわね?」
「・・・はい」
神狐は不安そうな顔をしている
「ふふふ、大丈夫あなたは既に私を超えているわ」
「本当ですか?」
そう尋ねる神狐の頬に神羅は触れる
「ええ」
「・・・ 私頑張ります!お師匠様!」
この次の日神狐は新しい天上神になった




