四話
牢屋
明日奈は男に答えを聞いていた
「さぁ、話してくれるのかしら?」
「だ、誰が話すかよ!」
男は怯えながらもそう言う
「へぇ、それじゃ死にたいんだ?」
明日奈は男に近付くと首にナイフを突き付ける
「本当にやるのか?」
「ええ」
男の問いに明日奈は頷く
「・・・分かった、分かったよ俺の負けだ話すよ、あんたよりは監獄の方が数倍マシだ」
「それじゃ早く言いなさい」
男はアジトの場所を話し始めた
とある貴族の屋敷
ここに住んでいる、太った男はデミールはかなりイラついていた
「まだあの小娘は生きているのか!」
この男デミールが殺し屋に依頼し、ナターリアの命を狙っていたのである
「申し訳ない、あちらも中々強い駒を持っているようなのだ」
殺し屋を束ねるリーダーは頭を下げる
「それをどうにかするのが貴様らだろう!」
デミールは唾を飛ばしながら叫ぶ
「へぇ、私達をどうにかするつもりなの?」
「誰だ!」
デミールはこえがした方向に向かって叫ぶ
「ワールドセイバー、エージェントNo.265久城明日奈よ」
「同じくワールドセイバー、エージェントNo.259ウィリアムパーキンズだ」
誰だと聞かれたので二人は自己紹介する
「ワールドセイバーだと・・・」
「ええちゃーんとさっきのその黒い服を着たお兄さんとのお話聞かせてもらったわよ?それにちゃんと録音もさせてもらったわ」
明日奈は端末を取り出しデミールに見せる
「つまり貴様らを逃がしたら儂は、捕まると言う事か」
「そうなるわね、そこのお兄さんのお仲間からも沢山の証言を聞いたしね」
リーダーがピクリと反応する
「俺の仲間が消えたと思ったら貴様らに捕まっていたのか」
「そうだ、もう監獄の中さ」
最初に捕まえた男は既にワトソンに頼み、監獄に送っている
「俺たちは逮捕されるしか無いって事か」
「ええ、逃げたら世界中のワールドセイバーのメンバーが追いかけて来るわよ、逃げ切れる自信があるのなら逃げても良いわよ?」
言わば世界を跨いだ指名手配である
「儂はそれでも逃げるぞ!お主は足止めしろ!」
デミールはそう言うと走って行った
「・・・逃げたわね」
「馬鹿だな、この屋敷は包囲されてるのにな」
既に地球支部の面々が屋敷の周りの森などに隠れこの家を包囲している、どの方向に逃げても必ず捕まるのだ
「で?あんたはどうするの?あなたの仲間も既に私達の仲間が逮捕している頃よ」
「ふん逃げはせんよ、無駄だと分かってるからな、だが抵抗はさせて貰う」
男はそう言うと剣を構える、明日奈が腰のホワイトローズを抜こうとするがウィリアムが遮る
「俺がやる」
「分かった」
ウィリアムはそう言うと背中の剣を二本抜くと構える、ウィリアムは双剣を使って戦うのだ
「双剣使いか」
「へへっ!俺は強いぜ?」
ウィリアムはそう言うと一気に突っ込んだ、右の剣で鍔競り合いに持ち込むと左の剣で男の体を斬ろうとするが男は宙返りしてかわした
「厄介だな、手数が多い」
「だろ?その変わり防御力は低いけどな!」
ウィリアムはまた突っ込む、男はかわしながら隙を狙う作戦に入ったようだ
「残念ながら、隙は見せないぜ」
ウィリアムはそう言うと、片方の剣を男に向けて投げた
「くっ!」
男は剣を投げるとは思っていなかったようで怯んだ
「チェックメイトだ!」
ウィリアムは左手に持った剣で男の剣を落とさせると、首に突き付けた
「俺の勝ちだ」
「ああ・・・俺の負けだ」
男は手を上げ降参のポーズを作った
「任務完了ね」
「おう」
二人は男に手錠をかけるとハイタッチした
「さてウィリアム、後は頼める?私はちょっと用があるから」
「あの子の所に行くのか?」
ウィリアムの問いに明日奈は頷く
「ええ」
明日奈はそう言うとナターリアに会いに行った
ナターリアの部屋
明日奈はナターリアの部屋の前に立つとノックする
「誰?」
「私よ」
明日奈の声を聞いたナターリアがすぐに出て来た
「明日奈、終わりましたの?」
「ええ」
明日奈がそう答えるとナターリアはホッと溜息を吐く
「中に入って下さいまし、あなたに聞きたいことがありますの」
「私に?」
ナターリアは部屋の中に入るとベットに座り明日奈に隣に座るように指し示す
「何が聞きたいの?」
「あなたが何故そんなに強いのかその理由を知りたいのです」
ナターリアは明日奈が戦っている姿を見てからずっと明日奈が何故そんなに強いのか?聞きたかったのだ
「私には大切なお友達が沢山居るの」
「お友達ですか」
ナターリアはいまいち分からないようだ
「そうお友達、仲間とも言うわ、私の凍っていた心を溶かしてくれた、本当にね?大切なお友達、私は少し前にその人達に救われたの」
「救われた・・・」
ナターリアはそう呟く
「そう、私は一度闇に堕ちていたの」
「明日奈が闇に?」
ナターリアは意外そうだ
「私はね?昔酷い虐めにあっていたの、そして私はいつしか人間が憎くて憎くて仕方なくなってしまっていた、そして私は皆が手を伸ばしていてくれていたのにその手を取らずに私の心の闇を受け入れてしまった」
「そうなんですの」
明日奈は頷くと更に続ける
「私はその手を伸ばしてくれていた、皆に沢山酷いことをしたわ、だって私は皆も憎んでたから、でもね?皆は私を諦めてくれなかったの、諦めずに私の心を救ってくれた、私の凍って居た心を暖かくしてくれたの」
明日奈は胸に手を当てている
「だからね?私は皆が何よりも大切らこの暖かい心がある限り私は何処までも強くなれるの」
「大切な人ですか」
明日奈は頷く
「そう大切な人、ナターリアもこんな事聞いて来るのなら強くなりたいんでしょう?」
「はい、私はお父様の会社を継がなくてはなりません、ですから強くならないといけないのです」
ナターリアの瞳には強い決意が見える
「そっか、あなたには大切な人居る?」
「はい、沢山」
ナターリアは笑顔でそう言う
「そうそれなら、その人達を大切にしなさい」
「はい!」
明日奈はナターリアの頭を撫でる
「立派な社長になってね?もしあなたが立派な社長に慣れたら会いに来るわ」
「待っていて下さい、私は絶対にお父様の後を継ぎますから」
明日奈はナターリアを抱き締めると離し立ち上がる
「それじゃさようなら、ナターリア」
「さようなら明日奈、私の新しいお友達」
明日奈は部屋を出て転移した
数年後
この数年後ナターリアは父の後を無事に継ぎ社長になる、明日奈の元に来た写真には沢山の人々に囲まれたナターリアが写っていた
「ねぇとっても良い写真ね?」
明日奈は隣に座るとある人物にそう話しかけた
「あぁ、そうだね明日奈」
その人物は明日奈を抱き寄せる、その指には指輪がある
「ふふふ、約束通り会いに行って来るわね?あなた」
「あぁ、行ってらっしゃい明日奈」
すると明日奈はその人物を愛おしそうに見た後転移した
次回から四章三部妖狐族の里2開始です




