十七話
神狐の館の裏庭
明日奈は久しぶりに母と手合わせをしていた
「ねぇ、そう言えばお父さんは?」
「あやつなら今は街に出かけておる、そのうち帰って来るじゃろう」
どうやらアシュレイは街に出かけて居るようだ
「ふーん、また冒険者の仕事に出かけて行方不明になっちゃったのかと思ったわ」
「暫くは休業するそうじゃからそれは無いじゃろう、また再開したら確実に行方不明になるじゃろうがな」
アシュレイは旅立つと頼りを寄越さない為、確実に行方不明になるのだ
「まぁ仕方ないね、お父さんだしね」
「じゃな、さてそろそろかかって来い!明日奈」
「うん!」
明日奈は神狐のこの言葉と共に尻尾を九本出し能力をフルに使えるようにする、言わば本気の戦闘モードだ
「行くよ!」
「来い!」
明日奈は神狐に一気に近付くと右ストレートを放つ、神狐はそれを左手で受け止め明日奈を投げようとするが、明日奈は左足で神狐を蹴り飛ばした
「ふん!剣を抜かんのか!舐めるなよ!」
神狐は尻尾を脇から前に突き出すとそれぞれから様々な属性の魔法弾を撃った
「ちょっとそれは洒落にならないわよ!」
明日奈は剣を抜くとホワイトローズに最強の属性である聖属性の魔力を流す
「エンチャント、ホーリーソード!」
光り輝く剣で回転斬りをし、迫り来る魔法弾を全て撃ち落とした
「聖属性か、いつから使えるようになった?」
「皆が私を救ってくれたすぐ後からかな」
あの時の明日奈は実は時の神に擬似覚醒していたのだが本人は気付いていない、今はその力は眠っているが聖属性が使えるようになった
「フッ、面白い!」
神狐はフッと笑うと一気に接近して来た、明日奈は縦回転の回し蹴りを神狐が接近して来るタイミングに合わせて放ったがかわされる
「甘いわ!」
明日奈の蹴りをかわした神狐は明日奈のすぐ後ろに着地すると、斬り付ける
「ホーリーシールド!」
光り輝く魔法の盾で何とか防いだが、慌てて張った為簡単に破られる
「くっ!ホーリーソード!」
光り輝く剣で何とか神狐の剣を防ぐが腹がガラ空きだったので蹴り飛ばされた
「あぅ!」
明日奈は立ち上がろうとするが、神狐の剣が首に突き付けられており、勝ち目が無いので素直に負けを認めた
「まだまだワシには勝てんがそれは仕方ないことじゃ、その強さなら大抵の者には負けんじゃろう良くそこまで強くなったのう明日奈よ、流石は我が娘じゃ」
「えへへ、お母さんに褒められると嬉しいな」
明日奈は尻尾をパタパタと振りながら喜ぶ
「愛い奴じゃのう、さて稽古は終わりじゃ、街におるアシュレイを迎えに行ってくれんか?ワシは玲狐に頼んで飯を作って貰っておく」
「うん分かった、行って来るわね?お母さん」
明日奈は差し出された神狐の手を取ると立ち上がり、アシュレイを迎えに天上界の街に向かった
天上界草原
明日奈は玄関の前で手を振っている神狐に手を振り返すと前を向き歩き始める
「さーて、お父さんを迎えに行きましょう、お母さんの話通りなら酒場に居るみたいだし、探す必要が無いから楽ね」
そう言いながら歩いて居ると明日奈の背丈より少しデカイロボットが降りてきた、その体の中心には何が何処にあるのかを示したモニターがある
「久しぶりだな嬢ちゃん、看板君MK-10だ」
「・・・」
明日奈は正直呆れ果てた何故ロボットになって居るのかと
「何だ驚き過ぎて何も言えないのかい?」
「呆れ果ててよ、何よあんた看板じゃ無いの?何でロボットになってんのよ!」
明日奈がそう言うと腹のモニターに!と表示された、どうやら製作者も看板君も本来の目的をまた忘れていたようだ
「ふふふ、あんたに勝ちたいが為にまた本来の目的を忘れてたぜぇ・・・」
「馬鹿じゃ無いの?ホーリーレイ」
明日奈は尻尾を九本出すと、聖なるレーザーを看板君MK-10に撃った
「ちょっま」
ドカーン!看板君MK-10は明日奈のレーザーに巻き込まれ蒸発した
「・・・、笑って良いのかしら?」
明日奈はそう言うと再び街に向けて歩き始めた
看板君MK-10
全長190センチメートル、体重350キロ、背中のバックパックで飛行が可能
武装
背中に二本装備したビームサーベル、腕が引っ込み出てくるビーム砲、腹のモニターが引っ込み出てくる腹ビーム、背中から迫り出して来るメガビームキャノン
必殺技
全ての砲門を撃ちまくるメガファイア
既に本来の目的は何処かに吹っ飛んでいる




