十四話
シバダの部屋
明日奈とアリシアが睨み合っていた
「やっと会えたわね明日奈」
「私は全く会いたく無かったんだけどね」
明日奈は既に剣に手をかけている
「あなたは本当に人を憎んでいるの?」
「当たり前でしょ、私があいつらに何をされたのか、どうせ聞いてるんだろ?」
アリシアはクリスティ達から明日奈の過去の経験を聞いている
「ええ聞いているわ」
「それなら分かるでしょ、私は人間が憎くて憎くて仕方ない絶対に許さない、アリシアさんはエルフだから正直どうでもいい、でもふふふ邪魔するのなら殺してやる」
アリシアは思ったこの子を救う事が本当に出来るのかと、それほど明日奈は人間を憎んでいる
「明日奈あの子達にも言われたでしょうけどあなたは間違ってる、罪の無い人間まで殺すのは違う、そうでしょう?」
「罪の無い?私だってそうだった、あいつらは普通に学校に通ってただけの私を虐めた暴力を振るった、それを大人に言っても誰も助けてくれなかった!」
明日奈は憎しみのこもった声でそう叫んだ
「だからって関係ない人を殺すのは間違ってる」
「あんたも同じね、私を助けてくれなかった大人達と同じ」
アリシアは首を振る
「違うわ、私達はあなたを思ってる」
「思ってるだけで何も分かってないじゃない」
アリシアは言う
「今からでも遅く無いわ、今からでもあなたの心を私達は助けてあげれるわ」
「遅いよ、私は二年前にあなた達に助けを求めるのを諦めたの無駄な事はもうしない」
明日奈そう言うと剣を抜いた
「もう私はあんた達と話す事なんて何も無いんだよ」
「あなたがそう言っても私達にはあるわ!」
アリシアも剣を抜く
「うっとおしい、本当に目障り!」
明日奈はそう言うとアリシアに向けて駆け出した
「やるしか無いわね!」
アリシアと明日奈の戦いが始まった
明日奈はアリシアに一気に接近すると、思いっきり蹴飛ばすと、アリシアごと壁をぶち破り、中庭に出た
「さっすがハイエルフ、そんなに効いてないね」
「確かに余り痛くは無いわね」
明日奈は銃を抜くと数発、発射する
「当たったら駄目ねこれは」
アリシアはシールドで球を防いだ
「凄ーい、防いだんだーさっすがアリシアさん」
明日奈はそう馬鹿にしたように言うと、剣を腰に構えて、思いっきり斬り付ける
「よっと」
アリシアは体を逸らすとそれをかわし、明日奈に蹴りを放った
「くっ」
明日奈は左腕で防ぐと、その反動を活かし回転切りを放つ
「チィ!」
アリシアは剣で何とか防ぐが体が浮いてしまい、そこに明日奈の蹴りを喰らってしまう
「くぁっ」
アリシアは壁に叩きつけられた
「ふん、弱いねアリシアさん、その程度で私を助ける気でいるんだね、何なの?ギャグ?」
明日奈は完全に馬鹿にしたように笑っている
「本気であの子達も私もあなたを助ける気でいるわ!」
「無駄だと思うなぁ、だって私は全くその気は無いんだもん」
明日奈はそう言うと、アリシアの太ももに剣を突き刺した
「クゥゥゥ!」
「ふふふ、痛い?もっと痛くしてあげる、エンチャントファイア」
明日奈は突き刺した剣に炎を纏わせ、アリシアの太ももを中から焼く
「アァァァァァァ」
「あははは!痛そう、私を救うなんて馬鹿みたいな事を言って私を怒らせるから悪いんだよ!ほら!もっと鳴け!」
明日奈は燃え盛る剣をグリクリと動かす
「痛いわ、本当に痛い、でもあなたの心はもっと痛いのでしょう?ねぇ明日奈?」
「まだそんな事言えるんだ、もっと熱くしよっと」
明日奈は更に魔力を送り込み炎の威力を上げた
「うぅぅ・・・明日奈、大丈夫よあなたは私達が助けてあげる、何度あなたに拒否されたって助けてあげる、その為ならこんな痛みなんて事は無いわ」
「何なの?痛い筈でしょ!?」
剣から出る炎に足の中から焼かれていると言うのにアリシアは立ち上がる、明日奈は思わず太ももから剣を抜き、後ずさる
「こんな怪我なんてね、ヒール、ほら?治ったでしょう?、でもあなたの心の傷は治らないのよね、辛かったわよね、誰も助けてくれないのは」
「何でそこまでするの?」
明日奈は困惑した顔でアリシアから後ずさる
「それはあなたの事が大切だからよ、あなたは大切な私達の仲間、友達だから」
アリシアはそう言うと明日奈を抱き締めた
「あなたの傷は絶対に私達が治してあげるだから戻って来なさい、明日奈」
「・・・さい」
アリシアに抱き締められる明日奈は俯いている
「明日奈?」
「うるさいって言ってるんだよ!」
明日奈はそう叫ぶとアリシアを突き飛ばした
「あんたに何が分かるんだ!私の気持ちなんて誰にも分かるわけ無い、他人のあんたに何が分かるんだ!」
「分からないからこそ話すんでしょ?」
アリシアはもう一度明日奈に近付こうとする
「来るな!」
明日奈はアリシアの前に炎を放った
「何回でも言ってやる、お前達の元になんて二度と戻らない!」
明日奈はそう言うとリナ達の元に戻り転移した
「泣いてたわねあの子・・・はぁどうしたら良いのかしらね」
アリシアはそう言うと城に戻って行った




