片想い
「別れることがなければめぐり逢うことはできない」
誰かが言ったこの言葉は、確かに合っていると思う。
あの日、付き合っていた人に別れを告げられ悲しみで涙を流していたとき、「もっと良い人はいるよ」と慰めてくれたあの人。
優しくて、親切でかっこいいあの人に恋をするのに、時間はかからなかった。
でも、あの人には彼女がいる。可愛くて、優しくて、みんなに好かれている彼女が。
彼女に敵わないと知っていても、あの人のことが好きで諦められないほど好きが溢れてる。
あの人と一緒になりたい。でも、あの人が幸せになれるのなら私じゃなくて彼女とでもいい。とにかく幸せになってほしい。
この想いは、あの人に伝わらなくていい。
自分が傷つかないためにも、諦めるしかない。
そんなとき、恋愛ソングを聴いた。
その曲は、たまたま片想いの曲で、切なくて、苦しい想いが共感できた。思わず涙が出た。
こんなにも好きなのに言えないこの気持ちを……。一緒にいたくて、本当は諦められないこの想いを――。
伝えなきゃいけないって、思ったから。
想いが叶わなくたって、気持ちを伝えなきゃ進めないって学んだから。
「あとでいっぱい話を聞くから、今は自分の気持ちを素直に伝えてこい!」
そっと背中を押してくれた親友に感謝するために。
今、想いを伝えにいく。この想いを全て言葉に表すことはできないけど、 「好きだ」と言うことはできるから。
精一杯の好きという気持ちをあなたへ。
――「好きです」
答えはもちろん「No」だった。
でも、気持ちを伝えられてすっきりした。
あの人と一緒になることはできなかったけど、親友との絆は、強くなった。
まだ完全には吹っ切れてないけど、どうか幸せになってください――。