表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

た行

た行は奇妙な集団であった。というのは同じ行にいながら”ち”と”つ”のように性質の異なる面々が同居していたからである。例えば”た”はポジティブ思考だが乱暴者で困りものであったが、”ち”は心の細い愚痴屋であった。”て”は暴力に走る傾向が強く、あのか行さえも彼を怯えていた。”く”が”て”と一緒に「てくてく」歩いたとき、アクセントが”て”に置かれたように、あの狂った”く”が目立たなくなっていた。”て”が彼を殴るからだ。怖くて身を縮めていたのだ。だが、彼は小文字になることはできない。”と”は乱暴さはそこまでなくひょうきんであったが、実直で行動的であったので、間を取り次ぐ役、すなわち助詞の仕事をしていた。「魚と人」みたいに。


さて、特筆しておくべきは”つ”である。彼は数少ない小文字になれる才覚があった。彼は一見平常に見えたが、嫌がらせが大好きであった。例えば”あ”に対し、身を潜めて「あっ」と突っかけて転ばすのが日ごろの趣味であった。


”た”、”て”、”と”は濁音になると”だ”、”で”、”ど”とより乱暴になるだけであったが、”ち”、”つ”は濁音になると”ぢ”、”づ”とさ行の”じ”、”ず”のごとく毒々しい攻撃性を帯びていた。だが、彼らが濁音になったところであまり見向きもされず、なに”じ”、”ず”の真似をしているだとあざ笑われるだけで、それが”ち”と”つ”の密やかなコンプレックスでもあった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ