--+Sixth+--
着いた場所は綺麗な湖だった。服は整えられ,おめかしをされている。
「よくおいでなさった。ムイよ。」
「貴方,誰?」
「我は知の神。
その探究心,その頭脳。人間の寿命で腐らせるのは惜しい。わが図書館の司書となり,永遠の命を手に入れるのだ。そうすることにより,そなたの願いは叶えられ,我も満足する。」
やれやれ。しかしこんなことまでバレているのか。
「残念ながら,貴方のスカウトお断り致しますわ。」
「何故だ。」
「私の頭の辞書には“言いなりになる”というと言葉はないの。それに相手が悪いわね。」
私の後ろから影が神に剣を向ける。
「私には,もう婚約者がいるの。」
「探瞬間移動の呪文。助かった。」
「うん。参考書,気づいていたんだね。」
「っ!ふざけるな!神に歯向かうなどっ!!」
「じゃぁ,私は神々の手駒でも道具でもないわ。
私は私。それ以外何者でもないもの。」
“神々への(ディファンス)反逆”
「知の神,その論理構成,三千年前から更新されてないわよ。古すぎて欠陥だらけだわ。」
そうして,私たちは助かった。
その事件はまだ続いていたのを知らずに,次の日を迎えると,フィアとディオンがいないのだ。
「えー…。」
めんどくさい…。
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「みてみて!ディオン様!このソファ学園のものよりもふかふかですわ!!あの…お茶のおかわりをくださいませんか?」
目の前の神は呆れてため息をつく。
「何故私を恐れない…?!私の重圧が効かないだと!?」
フィアはもう楽しんでいる。というか,神を「ただのホスト(もてなし役)」扱いしてるだろ。
俺は剣を取られてしまった。 クソッッ。
「ムイに笑うような醜態は見せられん!!」
そう言いながら,ディオンは少しづつ無理をしながら自食をし始めた。
けれども,いつの間にか神はそこに潜んでいた。
「いけないじゃないか。」
『 断罪の天秤』
片方に自分の「神威」,もう片方に相手の「魂」
を乗せ,不釣り合いな重圧で相手を押し潰す。
「フィアちゃんは寝ちゃったよ。あの子の“神すらも恐れず受け流す無垢な魂”と君の“まっすぐで熱烈な聖騎士の魂”が欲しいんだよね…。標本にして美しく飾りたいんだ…♡」
此奴…狂っていやがる!クソッ,動けねぇ。
“神罰返し(リバース)”
「っ!ムイ!!」
「ん。闇魔法も慣れてきたわね。小癪じゃない?神器を使うのは。」
その声とともに,神が消えかかる。
「別に?貴方が支配する「規則」をハッキングして書き換え,「神をただの不法侵入者」として判断させただけよ。あと,30秒したら地上に叩き落とされるわ。」
じゃあね。というと叫びながらその姿を消していった。
身体が少しづつ透け始めている。きっと副作用だ。
その後ろで何かを感じ取る。ディオンは前にいってフィアを起こしている。仕方がないと思い,1言零すことにした。
「何?知の神が。」
「私が君を連れ去ろうとしたのは,独占欲だけじゃないんだ。……『あの方』が動き出した。君の中にある純粋な闇に,あの方が『共鳴』してしまったんだよ」
「それは,冥府の神様でしょうか?」
冥界の王『 ハデス・ヴォイド 』
世界の底,死者すら忘却する「真の無」を統べる王。ムイの「後遺症(透ける体)」は,実は冥界の王が彼女を「自分の半身(后)」として引き寄せるための「引力」だった
「彼の目的は君の知性と闇を喰らい,世界を「完全な静寂(死)」で上書きすることだ。これだけは私達もどうすることができない。」
「冥界の王? 私の知識を奪うつもりなら,返り討ちにしてその『死の理』ごと解体してあげるわ」
「気をつけるんだ。きっと彼は貴方にとって一生の脅威となる。」
「えぇ,わかった。ありがとう。たまに図書館行く。知らない本たくさんだったし。」
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中央都市,ある叫びが聞こえる。
「……おい,闇の神よ! 私の光などいくらでもくれてやる。その代わり,ムイを,彼女の『存在』を繋ぎ止める闇の鎖を貸せ!!」
冥界の王の脅威を聞いたディオンは,一人で闇魔法の神の下へと現れたのだ。
それを聞いた闇魔法の神は嘲笑する。
「光の騎士が,泥を啜るか。面白い。お前の『誇り』を喰らう代わりに,ムイに触れる冥界の重力を中和する力を授けよう」
それはとても世間的に冷たい眼を向けられるもの。彼は自分の誇りを捨て,愛する人を護ることを決めたのだ。
『 漆黒の(ダーク)聖域』
魔法を使うたびに透けていくムイの体を,ディオンの闇が「影の鎖」となって物理的にこの世界に縛り付ける。光と闇が混ざり合った,歪で強力な守護魔法だ。
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「おはよ…。ってディオン……その魔力,まさか?!何てことしたのよ!」
「何?どうされたのですか?!」
ムイは魔力ですぐに気づいたがフィアも他の人も気づいた。何故なら,あの美しい白髪が“黒髪”になっていたのだから。
「……ふん,貴様の計算ミスを私が埋めてやっているだけだ,感謝しろ。」
そして,新たな事件が音を立てずに訪れる。
「誰か,フィアさんを見た者は居ないかい?」
そんな中,ムイが寒気を感じる。もし,神々にさらわれていたとしたら?あの子は魔力も魔術もそこまで長けていない。狙われている可能性として一番高いのは間違えなくフィアだ。
「ディオン!」
「あぁ。許可は取った。重圧がフィアの部屋に残っていた。犯人は,天界でも保守的で傲慢な「秩序の神・ゼノス」だ。」
きっと,「神の威圧が効かないフィア」を,地上のバグ(汚れ)を浄化するための「聖なる器(生贄の花嫁)」として無理やり天界へ連れ去ったのだろう。
「盲点だった。」
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「あー,可愛いのぉ。」
「…。」
フィアは白いドレスを着せられ,感情を封印する『沈黙のヴェール』を被せられている。
きっと自分が今何をされているのかも把握してないだろう。
「豪華でいい結婚式にしようなぁ。参列も豪華にした。知の神や力の神。色々な神々を呼んだ。そして夜も楽しく“アツく”過ごそうではないか♡」
「うぇ,気持ち悪。」
「な?!」
『 知識の(ライブラリ)暴走』
「フィアに結婚なんて早すぎる。……それに,彼女の笑顔を消すような『秩序』なんて,私がこの手で[バグ(不具合)]として消去する。」
身体が透ける後遺症をあえて加速させ,[「半神状態」]となって式場のドアを力技でこじ開ける。まさに後遺症の利用だ。親友を奪われたムイの探究心は,いまや「救出のための計算」へと全振りされている。
「えぇい!!お前等,彼奴等を殺れ!!」
「はぁ。そんなもので俺等が倒されるとでも?」
『 闇に染まった聖騎士 』は闇の神から借りた力を全開放し,フィアを連れ去った神の軍勢をなぎ倒す。
『 宵闇の天罰』
それはフィアの目の前にへと落ちた。
その時,フィアに笑顔が戻る。
「……もう! 待ち時間長すぎてお腹空いたわ! ムイ様,ディオン様,帰りに美味しいもの食べさせてください!」
「神の封印を…空腹感で破ったというのか?!」
何やら焦っているようだが関係ない。ダッシュで知の神が来てくれた。ちなみにこの事を教えてくれたのも知の神だ。
「……手遅れだ。あの門をあんなに激しくこじ開けたせいで,その『振動』が冥界の底まで届いてしまった。」
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