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人徳スキルしか持たない俺が、 英雄だらけの大陸で覇王にまつりあげられる話 〜戦えないのに、人が集まりすぎて困ってます〜  作者: 山奥たける


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第57話 利用される象徴

 最初に違和感を覚えたのは、

 戦況図だった。


「……動きが、

 妙です」


 セレナが、

 地図を指す。


 赤と青の部隊配置。


 どちらも、

 第三の線を“避けている”。


 だが――

 利用している。


「……第三を、

 盾にしている」


 口に出すと、

 はっきりする。


 赤の部隊は、

 第三の線の近くで

 進軍を止めている。


 青の部隊も、

 同様だ。


「……理由は」


「第三が、

 動かないと分かっているからです」


 セレナの声は、

 低い。


「衝突が起きても、

 第三が責任を負う」


「そう考えています」


 胸が、

 重くなる。


 昼。


 赤の使者が来る。


 以前より、

 態度が柔らかい。


「……第三の判断に、

 感謝します」


 感謝。


 その言葉が、

 気味が悪い。


「判断は、

 出していない」


 そう言うと、

 使者は微笑んだ。


「ええ」


「だからこそ、

 助かっています」


 逃げ場が、

 消える音がした。


 青の使者も、

 同じことを言う。


「第三が、

 動かないと分かっているから」


「市場は、

 安心して動けます」


 安心。


 その裏で、

 血が流れている。


「……俺は、

 何も約束していない」


「承知しています」


「ですが、

 “これまで通り”という判断は、

 大きな価値があります」


 言葉が、

 すり抜ける。


 夜。


 評議体でも、

 同じ空気が漂う。


「……第三が、

 動かないから、

 戦線が安定している」


「だから、

 余計に被害が外に出ている」


 誰も、

 間違っていない。


「……止めるには」


 誰かが言う。


 全員が、

 俺を見る。


「……止めるには、

 俺が動くしかない」


 言葉が、

 重く落ちる。


「だが、

 動けば」


「誰かを、

 直接切ることになります」


 セレナが、

 補足する。


 沈黙。


 それが、

 答えだった。


 俺は、

 焚き火の前で、

 一人になる。


 火は、

 いつも通り。


「……象徴は、

 便利だな」


 呟く。


 命令しなくても、

 責任を負わされる。


 動かなくても、

 前提にされる。


「……利用されている」


 だが、

 否定できない。


 利用される理由が、

 ここにある。


 俺は、

 焚き火を見つめながら、

 静かに思う。


 象徴は、

 自分の意志とは無関係に

 使われる。


 そして――

 使われ始めた象徴は、

 もう消せない。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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