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人徳スキルしか持たない俺が、 英雄だらけの大陸で覇王にまつりあげられる話 〜戦えないのに、人が集まりすぎて困ってます〜  作者: 山奥たける


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第32話 一人ではない

 朝、天幕の中に人が集まっていた。


 昨日の使者の件が、

 すでに広がっている。


 噂は、

 速い。


「……整理が必要です」


 セレナが、

 静かに言った。


「このままでは、

 判断があなたに集中しすぎる」


 誰も反論しない。


 それが、

 答えだった。


 集まっていたのは、

 六人。


 配給担当。

 見張りの責任者。

 交渉役。

 記録官。

 外部折衝に詳しい者。


 そして――

 俺。


「提案があります」


 セレナが、

 紙を広げる。


「仮の評議体を作ります」


 その言葉に、

 空気が少し緩む。


「判断を分けるためです」


 良い提案だ。


 理屈も、

 現実も。


「役割を、

 明確にします」


「配給は、

 配給担当が」


「警備は、

 警備責任者が」


「交渉は、

 交渉役が」


 次々と、

 名前が挙がる。


 人が、

 責任を引き受ける。


 それだけで、

 場の空気が変わる。


「……俺は?」


 気づけば、

 そう聞いていた。


 全員の視線が、

 集まる。


 一瞬。


「最終確認者です」


 セレナが、

 はっきり言った。


 逃げ道のない言葉。


「拒否します」


 即答だった。


「それでは、

 意味がない」


「意味はあります」


 彼女は、

 引かない。


「あなたがいないと、

 決定が止まる」


 昨日と、

 同じ言葉だ。


「……最終確認は、

 必要ありません」


「各自、

 判断していい」


 ざわめきが起きる。


 不安と、

 期待。


「問題が起きたら?」


 誰かが聞いた。


「俺が出る」


 即答だった。


 それで、

 全てが静まった。


 昼。


 評議体は、

 動き始めた。


 配給の判断が、

 速くなる。


 警備の配置が、

 整理される。


 俺の指示は、

 減った。


 ……だが。


 夕方、

 報告が重なる。


「通行の件で、

 揉めています」


「外の商会が、

 保証を求めています」


「境界線の扱いについて、

 問い合わせが」


 全部、

 最後は俺のところに来る。


「……分かっている」


 小さく、

 呟く。


 分担しても、

 象徴は分担できない。


 夜。


 セレナが、

 隣に座る。


「少しは、

 楽になりましたか」


「判断は、

 減った」


「では?」


「……責任は、

 減ってない」


 彼女は、

 小さく笑った。


「それで、

 正しいのだと思います」


「俺は、

 一人じゃない」


 そう言うと、

 言葉が少し重くなる。


「だが、

 独りだ」


 矛盾している。


 だが、

 正確だった。


 焚き火を見つめながら、

 思う。


 人がいる。

 支えてくれる。


 それでも、

 線の上に立つのは、

 俺だけだ。


 俺は、

 小さく息を吐いた。


 逃げない。


 だが、

 独りで背負い込まない。


 その二つを、

 同時に守る。


 それが、

 今の俺の立ち位置だ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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