黒姫高原
黒姫高原に行ってきた。学会に参加するためである。
・長野県信濃町にある「黒姫童話館」という施設で、二日間を過ごした。黒姫童話館は、ミヒャエル・エンデの貴重な資料を収蔵していたり、松谷みよこの展示や岩崎ちひろのアトリエを公開していたりとすごく面白い場所だ。
・とにかく場所が素敵。黒姫高原の山道を車で登っていくと、パン屋さんとかカフェとか別荘っぽい建物がいくつも見えて、だんだん道が細くて急になっていっても構わずどんどん進んでいくと、終着点に童話館が待っている。童話館の目の前には、草スキーにぴったりの広くてわりと急な坂があり、その向こうにでっかい山がどーんとそびえている。
童話館の周りには森もある。森の中に入っていくと、やがて湖かってぐらい大きな池に辿り着く。熊に注意だけど、今回は幸い出会わなかった。
時期のせいかもしれないけれど、童話館の周りは静まり返っていた。何の自然音も聞こえず、歩いてる人たちの会話の声も遠い。すごく不思議な気分になる場所だった。
・ミヒャエル・エンデと縁が深い施設なので、喫茶店が「時間どろぼう」という名前だったり、エンデの児童書を売っていたり(どこでも見たことがない、エンデの伝記漫画まである)、常設展をやっている。また、エンデに関するドイツ語の記事や資料も保管されていて、事前に予約すれば閲覧することもできる。
・童話館で二日間開催された「エンデ学会」に参加した。学会と言っても、専門家が集まって研究の成果を発表する学会とはちょっと違う。ミヒャエル・エンデが好きな人や興味がある人、友達に誘われた人などが、エンデの研究者の講座を受けたり、まったり交流する催しである。
・去年初めて参加して、楽しかったので今年も参加したのだが、何故か今年はしゃべる側になった。自分はエンデを研究しているわけではなくて、たたエンデの作品が好きなだけの人だけど、90分でエンデの話とワークショップをした。
・ワークショップは、「自由に物語を作ってみよう」というもの。物語を作るのって楽しいので、参加された皆にやってもらった。私がしたことといえば、大好きな小説「ジム・ボタンの機関車大旅行」の話をして、お題箱(エンデにちなんで「メモ箱」と名づけた。)を用意したぐらい。後は皆がそれぞれお話を作ってくれた。一部だけ読ませてもらったけど、どれもめっちゃ良かった。
ご安心ください、私ごときが創作論をぶったりはしてないです。
・しゃべるのめっちゃ緊張した!! 練習したはずなのにいざ始まると頭の中からぼろぼろと文がこぼれていって、それを必死に拾い集めてる感じだった。もっとたくさん練習すればよかった(涙)
・エンデ学会は、すごく楽しかった。実生活でエンデやファンタジーの話ができることってないから、こういう場はとても嬉しい。研究者の方の講義も含蓄があった。あと、非日常感でストレスがかなり解消された。
エンデがお好きな方は、ぜひ来年参加してみてね。




