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いっしょのご飯

 いつもの時間に、スズとランが迎えに店へやってきた。

 

 二人は扉を開けるなり、ふわりと漂う油揚げの匂いに目を輝かせた。だが、つい先ほど来店された狐崎様に、油揚げも厚揚げも稲荷寿司もすべてお出ししてしまい、今この店には、油揚げが一枚も残っていなかった。


「キュウ様、お迎えに参りました。……いい匂いですね、油揚げの」

 

「来たよ~。油揚げの香り~!」


「スズ、ラン、ごめんなさい。実は……さっきのお客さまに、全部出してしまったの。油揚げ、もう残っていないのです」


「えっ」と目をまんまるにするスズと、よだれを垂らしたランに申し訳なく思い。近くのコンビニへ買いに行こうと、財布を手に取った。


 だが。


「キュウ様? ぼくは大丈夫です」

「外、危ない。ダメ」


「でも、すぐそこなんですよ? ほんの二、三分です」


 そう言っても、スズとランは店の出入口に立ちふさがり、首をブンブンと振って通してくれない。


(これは困りましたね……。厚揚げなしのおでん、油揚げなしの、天かすをのせたたぬきうどん――なら、作れますが)


「それじゃあ、店にあるもので作ってもいいかな?」


「はい。ぼくは、キュウ様と一緒にご飯を食べられるのがいちばん嬉しいです。それに、キュウ様の料理と、作っているところを見るのが大好きなんです」


「うん、うん!」


 ――胸が、あたたかくなるような言葉だ。


「ありがとう。じゃあ、一緒にご飯を食べて帰ろうか」


「お手伝いします!」

「する!」


 ――私も、スズとランと一緒に食べるご飯が、大好きですよ。

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