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200万ゴールドの杖



「はあ? 今度は杖だって?」



「ああ。 魔力が増えてきてボウガンで狩るよりも魔法で倒す方が楽になったから、魔力が上がる杖が欲しいんだ」



そう言って俺はむりやり詰め込んできたゴールドをそっくりそのまま、おばさんに渡して見せる。



「予算は50万ゴールドだ」



「冷やかしじゃないみたいだね」



「ああ、その杖で下級ダンジョンを攻略しようと思ってるんだ」



「バカ言いな、まだお前は冒険者初心者じゃないか。レベルも強さも、全然足りないに決まってるよ」



「そうなのか? 今の相手ならもうオーバーキルすぎて余裕なくらいなんだ。」



「いうてそんなに簡単にレベルが上がるわけないだろう? 低レベルでもせいぜい1000体倒して1上がればいい方だよ」



「は? 何言ってるんだ? そんなわけ…」



「おぬし、そういえばもうレベル4くらいには上がったのか? まあそれでも上げ過ぎな気はするがねえ」



「18だが?」



俺が当たり前のようにそういうと、おばさんの頭の上にハテナが浮かんだ。



「嘘をつくな、18なんて、上級ダンジョンに潜れるほどの強さだよ? 全く…お前の話は本当と嘘が混ざっていて、わかりにくいったらありゃしないよ!」



「嘘じゃない、なんならこのカードを見るといい」



そう言ってカードを見せる。





ノエル LV18



冒険者レベル1



体力 420/420


魔力ポイント117/117



攻撃力 152


魔法攻撃力 185


防御力 135


俊敏 150



「ほ、本当なのかい?  5万体倒したとしてもこんなには上がらないとおもうが…」



「なに? それは妙だな…」



思い当たる節が一つあるとすれば、それは経験値の取得方法だろう。



ゲームの中にはパーティーで経験値を割る、というシステムを採用しているゲームがある。



このシステムの場合だと、10人のパーティーと1人のパーティーの場合、10倍の経験値の差が出るというわけだ。



俺は確かに範囲攻撃を持っているし、

ソロ狩りと相性がいい装備を金で手に入れた。



おばさんのいうことが正しいのなら、こういうことだろう。



ソロ狩りがリスクも高いが、効率も高いってわけだ。



だとすればパーティーなんてやってられないわけになる。



パーティーは強いが、守るべきものもまた増えるのも事実だ。



コマンドバトルならともかく、現実戦闘でやるには仲間というのは不利な側面も多い。



「てっきり三日坊主だと思っていたが、もうこんなに成長したとはね…人生ってのはつくづくおもしろいもんだね」



「いや、たまたま俺に適性があっただけなんだがな」




それは才能なんかじゃなくて、

まあつまり、楽しいと思えるものに出会ったって言う意味だがな。



まあ、魔法ガチャに関してはかなりの当たりを引いている自信はあるが、

しかしそれも周りの冒険者と比べているわけじゃない。



しかし俺はもう上級ダンジョンで通用する強さなのか…

いやいや、それはパーティでの話だろう。



個人戦力で考えれば、俺はまだまだ強くなっておかなきゃいけないはずだ。



魔力ポイントと魔力が上がりすぎて、今の状況だと

フリーズを連発するだけで戦闘が終わるんだ。



しかし相手が強くなればそうはいかないだろうし、

そうならなかった場合、一人で戦ってる俺は、間違いなく弱いのだからな。



とにかくレベル上げと、素材稼ぎで手数を増やさなければならない。



「ほう、そうじゃなあ…それならこの、ミスリルでできたこいつはどうだろう? こいつは30年ほど前とある上級ダンジョンの冒険者から高額で買い取ったものじゃ…」



「上級冒険者!!!」



その言葉だけでこの杖が欲しくなって、ステータスを確認してみる。



ミスリルの杖…魔法攻撃力+180  氷属性強化+5%



「氷属性強化? 買った!」



「はは、お前ならそういうと思ったよ…この杖は200万ゴールドだよ」



表示された金額に尻込みしてしまう…

手持ちが少し足りないのだ。



予算50万ゴールドでさえ、割とギリギリだったのだから…

まあ、それでも一週間ほど潜れば買える金額か…



「流石に高すぎる……ごめん、流石にそこまでは出せないな」



「それなら、ツケでどうだ?」



ツケ…それならば俺はこの杖で効率化した上で、稼ぎができるから、

返済はもっと早くなるだろう。



だからこれは得買うべきだ。



「いいのか?  それならとりあえず50万ゴールド払う、あとの150万は…毎日払いにくるさ」



「商談成立だね。あんた、名前はなんて言うんだい?」


「ノエルだが…」



「ノエル、私はアンタを信じるよ。 金は分割で払ってくれればいいさ。 1回1万ゴールドなら200回払いさ」



「いや、これでだいぶ効率化できるだろうからな…たぶん早く払い切れると思うぞ」



「さあ、口だけじゃなくて、実際に金を見せな! 今回は特別に魔力の上がるアクセサリーも追加しておいてやるよ



「よしきた、それじゃあ、行ってくる!」



「くたばるんじゃないよ!!!」




そう言われて俺は飛び出した。



それにしても150万ゴールドか…今までの稼ぎだとキツイだろうな。



ふう、それじゃあこの狩場も今日でおしまいか…



ダンジョン1階層を歩きながら、

自分の庭になった狩場を後にする。



そりゃそうだ。



なあに、2階でちょっとでも苦戦するようならすぐに戻ってくればいいだけのことだ!



そう言って俺は、下に行く魔法陣に乗る。



はあ、そして次はどんな階層なんだろうか。


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