バイト辞めて潜るか…
ダンジョン入り口前に戻ってくると、足元にはたくさんの魔石がある。
「よし、成功したか。 あの、それじゃあこれ全部換金してもらってもいいか?」
ギルドの窓口のお姉さんに声をかけると
お姉さんは、頭の上にハテナマークを浮かべる。
「えっと?」
「だから、これ全部だ。 いちいち戻ってくるのが面倒だったから、魔法陣と一緒にそのまま戻ってくることにしたんだ…いやあ、成功してよかったよかった」
「はい?」
「というわけで、換金してもらってもいいか?」
「は、はい!」
そういうわけで、ギルドのお姉さんは魔法で魔石を浮かせると、
しっかり換金機へと流していく。
「えっと、全部で12万ゴールド…です」
「そうか、ありがとう」
そういうと俺は金を受け取って、
今日はもう、装備の手入れでもすることにする。
というか、そろそろ下の階層に潜ってみても良くはないだろうか?
そのまま武器屋による。
「おやおや、今日会うのは2回目だね。」
「ああ、とりあえずそうだな…爆裂弾30発と、拡散弾1000発、通常弾9999発だな…それから武器はやっぱりこれが最高なのか?」
「おやおや、そんなに死に急がなくてもいいんじゃないか?」
「はは、ちょっと儲かったからな、そのお礼みたいなものだ。 それよりこの武器の威力が俺の攻撃力に比べて弱くなって来たからな、作業には困らないんだが、一応聞いておこうと思ってな」
「ほう、これ以上の武器が欲しいとな? それ以上はモンスターの素材を加工することで作るしかない」
「なるほど。 弾丸はどうだ?」
「弾丸は変わらんが、装備する武器によってその性質が変化する。 同じ通常弾でも、属性が付与されたり…な」
「なるほど…それならこれからは素材を換金だけってわけにもいかないってことだな…」
「坊や、一体ここ数日で病気にでもなっちまったのかい?」
「いや、そんなことはないぞ。 ついに俺の時代が来たってだけの話さ」
「やれやれ、それが気狂いってやつさ」
「違いない。 まあでも、このまま初級ダンジョンを攻略するためにはそれが必要なのさ」
「まあ、せいぜい気をつけることだね」
会計を済ませると、
早速家に帰ることにする。
まあ、結構たくさん稼いだわけだが、
やっぱり弾代は結構高いな。
しかし、14万稼ぎ、6万ゴールドを使ったとして、
利益は8万ゴールド…
バイトしてるのがバカらしくなる金額ではある。
よし、このままバイト辞めて潜るか
…
「というわけで、バイトを辞めることにした」
次の日、エリカにそういうと、
怒られた。
「バカじゃないの? 日雇いで不安定な仕事じゃない!
まあ、確かにまともに働いてるよりは稼げるかもしれないけど、でもいつ死ぬかわからないのよ?」
「ああそうだな。 でも俺はこっちに集中したいんだ。もし飽きたりとかしたら、また仕事を探すよ。 どうせ学歴もない俺じゃ似たような仕事につくだけなんだからな」
「ノエル…」
「はは、エリカは女子学生だし、その生き方が普通さ」
「普通…ね」
「そう、俺は失うものもないしな…価値のなかったものが、何を失っても困らない…
まあ、金使うイベントもないんだから、俺一人ならいつだって立て直せるしな」
「ノエル…」
「ああ、とりあえずこれからはほら、客としてここの常連になるからさ、
今度は客としてこの店を支えていくよ。 というわけで、ポーション100個、万能薬100個、帰還魔法陣500個だ。 ははっ、今日が半額最終日だしな、たくさん買いだめしておくさ」
「現金なやつ。 それじゃあノエル、また顔見せなさいよ」
「ああ、まあ、シフト入ってる間は働かせてもらうよ。 今月までだから、あんまり長くはないけどな」
ぶっちゃけ、俺の計画では、すぐにアイテムが尽きて買い足しにくることになると思うけど、
この空気をぶち壊すわけには、いかないだろうな。
もちろんこの期間だって時間を無駄にするつもりはない。
むしろこの期間こそ、魔石を稼いでおく期間だろう。
「ああ、ノエル」
「エル、久しぶりだな」
「そういえば、冒険者として続いてるんだってね…1日で1000個以上の魔石を換金したって噂を聞いてるわよ」
「俺も早くエルのように中級冒険者になりたいな」
「ふふっ、待ってるよ。 それよりノエルはどんなパーティに所属しているの?」
「ん、一人だが?」
「えっ」
「ほら、それよりポーション200個と万能薬10個、ほら準備できたぞ」
そう言ってエルに渡す。
「あ、えと…うん、ありがとう」
そんなにソロで攻略する冒険者が珍しいんだろうか、
俺はそんなに冒険者に詳しくないからな。
「それじゃあほら、中級ダンジョン攻略、頑張ってくれ」
「あ、うん」
それから1週間ほど、ダブルワークで魔石を稼いでいたわけだが、
数は余裕で3000個はある。
しかし、武器屋によるとこいつらの武器を加工して使うくらいなら、
そのまま今のボウガンを使ってた方がよっぽど強いらしい。
バイト最終日
「ねえ、ノエル…その、元気でね」
「ああ」
「その、絶対に死ぬんじゃないわよ」
「わかってる…どうせそのうち顔を出すことになるさ」
エリカとの別れ?を済ませた後、
俺は早速武器屋へと向かった。