普通に赤字です
「帰還魔法陣、展開!」
帰還魔法陣が白く光ると、ダンジョンの入り口へと戻って来ていた。
ぶっちゃけ、バイト終わりから遊びで潜ってみたのに、
外はもう明るくなっていた。
時計を確認すると、午前9時を回っていた。
「はあああああ、楽し過ぎる!!!」
正直、このまま魔石を売り払ってもう一度ダンジョンに入りそうな勢いがあったが、
冷静になると、眠気が襲って来た。
「ああだめだ、とりあえず寝よう…」
そう思って、ダンジョン前にあるギルド窓口で魔石を換金する。
ボウガンは金がかかる。
つまりこれでいくらになるかは俺の冒険者人生に関わってくるという訳だ。
「さあ、これを換金してくれ」
「はい。 それでは魔石を見せてもらって」
そう言われると俺はリュックをひっくり返す。
ジャラジャラジャラ…
「これは、フェンリルベビーの魔石ですね…ですが、こんなに?」
「ああ、いくらになるんだ?」
「そうですね、フェンリルベビーはダンジョンにおいて一番弱いモンスターなので、こんなに狩る人はいないんですよ…
まあ、これだけあってもせいぜい1万ゴールドでしょうか」
「い、一万…」
だめだ、これではマイナスだな…
爆裂弾10発分にしかならない。
しかし、まあ、これだけ強い装備なんだから、
経験値を金で買ったと思うべきだろうな。
「ああ、じゃあ、交換してくれ」
「はい、では、1万ゴールドになります」
そう言って俺は、1万ゴールドを受け取った。
まあ、でもこれなら100日やれば、100万ゴールドになる。
今の俺であれば、爆裂弾に頼らなくても、
おそらくやっつけることができるだろうから…
しかしやはり将来はこの弾を出し惜しみせずにぶっ放したいものだ。
家に帰って寝る。
家は寝るための部屋と、
本が乱雑に置かれている。
まあ、こうして冒険者やってみようと思ったのも、
書店で購入した、物語の影響を受けていないと言えば、嘘になるかもしれない。
早く寝なければならない、
そして夕方には起きて、またダンジョンに潜るわけだ。
頭はほとんどそのことに支配されていたが、
疲れが溜まっていたのか、すぐに寝てしまった。