表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/39

もっと早くに欲しかった


「ただいまあ」



帰還魔法陣で早速帰ってくる。



いつも通り、床には山盛りのフェンリルの魔石だ。



「お姉さん、これ、換金頼むわ」



「ええと…ってこれ、全部フェンリルの魔石じゃないですか! 一応大型モンスターですし、仮に1日潜ったくらいでこれだけの量を倒すのは不可能ですよ!」



「まあな、小技ってやつだ」



レベリングの基本は敵を呼ぶことだ、エンカウントを増やす、敵の復活の速度を上げる、

敵に気づかれやすくする…とにかくそう言った小技を使うと、劇的にモンスターを倒すペースは上がるってもんさ。



「フェンリルベビーとは危険度が段違いです。 なんせフェンリルは8階層に出現する魔物…それがこんなに大量か」



「とにかく、早く換金してくれ。 返さなきゃいけない金があるんだ」



「は、はいっ」



そう言っていつも通り魔法で魔石を換金機へと送り込んでいく。



フェンリルベビーが1つ10ゴールド程度だとして、フェンリルは1つ100ゴールドだろうか?



ふむ…そうだとすれば…




「…ひゃく、180万ゴールド…になります」



「ああ、そうか」




これでとりあえず金は返せそうだな…

それから寝よう…



そう思い、かなり重量のある金貨を受け取ろうとしたその時、



「おい、おまえ、この前フェンリルベビーを狩りまくってたやつだろ? たかだが下級ダンジョンのモンスター倒しまくってるくらいであんまり調子乗るなよ?」



いかつい男に腕を掴まれる。



まったく、こっちはお前が酒を飲んで遊んでいる間にも

レベリングで忙しいってのに…



「ああ、すまない。 今話してる時間はないんだ」



そう言って俺が離れようとした瞬間、男が殴りかかってくるのが見える。



「だから、冒険者舐めてんじゃねーぞ!!」



「きゃあああ!」



受付のお姉さんが叫ぶ…が、攻撃が遅すぎる。


俺はその拳をひらりとかわした。



「ふう、だいぶ攻撃が見えるようになってきたみたいだな」



俺はそういうと、武器屋のおばさんの店へと急ぐのだった。




「おい、あのグルッジって男、上級冒険者だよな?」



「いや、でも、あいつはまだ初級冒険者だぞ?」



「あいつ、なんであんなに強いんだ?」




そんな声が聞こえたが、俺は心の中で、

それは俺が効率厨兼レベリング中毒者だからだと答えておいた。







「あら、遅かったわね」



「ごめん。 気づけば日付が変わっていた。 それとこれ、残りの150万ゴールドだ。  フェンリル狩りを行っていてな、気づいたらこんな金額になっていた」



そう言って金の入った袋から150万ゴールド、それとお礼に10万ゴールドもつけておく。



「早すぎだよ。 っていったい何体のフェンリルを葬ってきたっていうのさ」



「そりゃもう、絶滅に追い込むほどだな」




笛を吹く、集まってくる、倒す。



この最強効率コンボを流れるようにやっているんだから、

そりゃそうだろうって話だ。



「ノエル、あんたはこの街1番の冒険者、勇者様にでもなれるんじゃないかい?」



「俺はまだ強敵と戦う準備をしてるだけなんだが」



「いいや、あんたは間違いなく、この街どころか、世界で最強の冒険者になっちまうよ」




興奮気味に話すおばさんに俺は皮肉な笑みが漏れる。



「それは勘違いだ。 もしこんなことで最強になれるのだとしたら、みんな最強になってるさ」




強いやつを探して、それを効率狩りする…

作業ゲーの経験があるやつなら、みんなやることだ。



確かに俺のパッシブガチャは最強と言っていいほど運がいいがな。




「まあ、腹も減ったしな。 今日はとりあえず飯食って、寝るよ」



「ああ、そうしな」


そうして俺は帰って飯を食って、寝た。



デポイズンで精神の疲れさえ取り除いているからか、

家に帰ってくると気が抜けて、快眠できるのだ。







そして起きて風呂に入り、飯を食い、

ダンジョンに出発する前に、道具屋に寄った。



「いらっしゃいませ〜」



「ああ、えっとその、何か冒険者のアイテムを入れておけるようなもので便利なものってありますか?」



俺がそういうと、道具屋のお姉さんが、

提案する。




「えっ、冒険者なのにリュックサックなんて古すぎですよ、

今時はこの、収納袋です。 大きさはたっぷり10000L、3000L、1000Lの3サイズです。 まあ、初心者なら1000Lで十分ですよ〜」



袋に手を突っ込んでみると、まるで異次元にでもなっているらしい。



もっと早く欲しかったな。



「10000Lをくれ!!!」



血眼になりながら問い詰める俺に対して、

お姉さんは若干、いや、かなり引き気味だったと思う。




そりゃそうだ。 



こんなにたくさん収納できて、軽いなら、

もう俺は魔石の量なんて気にしなくてもいいんだからな!!




「でもこれはお高いですよ? なんと20万ゴールドです」



「はい」



そう言って袋から20万ゴールドを出すと、

さっさと握らせる。



まあ、今日の稼ぎも結局ほとんどなくなってしまったわけだが、

今の俺に重要なのは、金よりもステータスの方だから、心配ない。



これで1箇所で戦わなくてもいいし、

アイテム整理も必要なくなったわけだしな。




「え、あ…ありがとうございました〜」





よし、早速全部入れて、

出発するぞおおおお!!!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ