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僕の名前は健太。27歳の普通のサラリーマンだ。毎日同じようなルーチンを繰り返しているけれど、最近、心の中にひとつの特別な感情が芽生えてしまった。それは、同僚の翔太への片思いだ。

翔太は僕の職場で一番の人気者。明るくて、誰にでも優しい性格は、周りの人たちを惹きつける魅力がある。彼はちょっと背が高く、スポーティな体型をしていて、いつも清潔感のある服装をしている。笑顔が素敵で、話しかけるとその笑顔が一層輝くのを見ているだけで、心が温かくなる。

初めて彼と会ったのは、入社してすぐの頃だった。研修のグループワークで、隣に座ったのが翔太だった。最初は少し緊張したけれど、彼の自然な笑顔と柔らかい声にすぐにリラックスできた。仕事の話だけでなく、趣味のことや映画の話まで、気がつけば時間があっという間に過ぎていた。

それからというもの、僕は翔太と話すのが楽しみになった。昼休みや仕事帰りに彼と一緒に食事をする機会も増えた。彼は、いつも明るい話題を提供してくれて、ついつい笑ってしまう。そんな彼を見ていると、どんどん心が惹かれていくのを感じた。

ただ、僕は翔太のことをただの友達以上に想っていることを自覚していた。彼の笑顔や仕草、そして何気ない言葉にドキドキしてしまう。特に、彼が他の誰かと楽しそうに話しているのを見ると、胸が締め付けられるような切なさを感じる。そんな時、僕の気持ちがただの友愛ではないことがはっきりする。

ある日、会社の飲み会で翔太と隣同士になった。酒も進み、少しリラックスした雰囲気の中で、翔太が「健太、最近どう?」と話しかけてくれた。僕は緊張しながらも、自分の近況を話した。彼も仕事のことやプライベートのことを話してくれ、楽しい時間が過ぎていった。飲みすぎて酔っ払ったのか、彼が少し近づいてきた瞬間、心臓がドキリとした。

「健太は、どんな人がタイプなの?」と翔太が冗談交じりに聞いてきた。その問いに、僕は心の中で「翔太だよ」と叫びたい気持ちになったが、口から出た言葉は「普通の人かな」としか言えなかった。その瞬間、自分の心がもどかしく感じた。彼には、きっとそんなことを期待しても無駄だろう。

それから数日、僕は彼のことを考えずにはいられなかった。仕事中も、ふとした瞬間に翔太の笑顔が頭をよぎり、思わず頬が緩んでしまう。けれど、僕の気持ちを彼に伝える勇気は持てなかった。彼は明らかに異性愛者で、僕の気持ちを知ったらどう思うのだろう。友達としての関係が壊れることが怖かった。

そんなある日、会社のプロジェクトが大詰めを迎え、チームで一緒に頑張る時間が増えた。翔太と共に過ごす時間は増えたが、逆に僕の気持ちを隠すのが難しくなっていった。彼の視線やちょっとした仕草に、ドキドキしてしまう自分がいた。

そのプロジェクトが無事成功した日の夜、翔太が「お疲れ様、健太。今日は祝おうか」と言って、飲みに誘ってくれた。二人で居酒屋に入った。お互いの頑張りを讃え合い、ビールを酌み交わしながら、楽しいひと時が続いた。

その時、ふと翔太が真剣な顔になり、「健太は、最近何か悩んでることとかある?」と聞いてきた。心の中で「翔太のことが好きだ」と叫びたかったが、言葉にする勇気はなかった。代わりに「特にはないよ、ただ仕事が忙しいだけ」と答えた。彼は頷いて、また明るい話題に戻してくれた。その瞬間、僕の心が少し痛んだ。

結局、その夜も何も言えなかった。でも、翔太と過ごした時間は本当に幸せだった。僕は彼を思う気持ちが強くなる一方で、何もできない自分に苛立ちを感じる日々が続いている。

これからどうするべきか、いつも考えている。でも、翔太との友情を失いたくない気持ちも大きい。もしかしたら、この片思いは一生の中で大切な思い出として残るのかもしれない。そんなことを考えながら、僕はこれからも翔太を見守っていくことに決めた。彼の笑顔がある限り、それだけで僕は幸せなのだから。


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