2.
四回生になったころ、大学に噂が流れた。五月に入ったばかりだった。
「加奈が……不倫?」
「高木ならアリだなって思ったよ。派手だし」
大地の知り合い。有本さんとか言った。その人が、何だかいやらしいにやにや笑いを浮かべてそう言った。
「噂になってる」
大地が言った。有本さんが笑った。
「すっげえ騒ぎだったもんな。大学にまで乗り込んで来たんだぜえ、不倫相手の女房」
楽しそうに言う。なに、この人。あたしの友だちの事なのに。それを知ってるはずなのに。
それなのに、面白がって言うの? テレビドラマ見てるみたいに。
「珠子、もうあいつに近づくな」
大地が怖い顔で言う。あたしは首を振った。
「だって加奈は……」
「良いから! 珠子の評判まで悪くなるぞ」
「そんなの、関係ない! あたしの友だちなのよ!」
怒鳴りつけると大地は目を丸くして、それから怒った。
「俺の言う事が聞けないのか!?」
「聞けるわけないでしょうっ! 都合が悪くなったからって、友だち捨てるような真似、あたし、したくない! 噂だって、本人に確認しないまま鵜呑みになんてできないわ。あたしは、あたしのしたいようにやる!」
言い捨てて、あたしは大地の前を去った。後ろで有本さんが、「怖ぇ女~」と、笑いながら言っているのが聞こえた。
講義を全部すっぽかして、加奈を訪ねた。加奈は古びたアパートに下宿している。会ってくれないかもと思って、携帯で連絡を取る。コール音が続くばかりで、すぐに留守電になった。何度かそれを繰り返してから、あたしは「珠子よ。今からそっちに行くから!」と留守録に吹き込み、メールでも同じ内容を送り、加奈の下宿に向かった。
チャイムを押す。反応がない。
もう一度、チャイムを押して、声をかける。
「加奈、いるの? あたしよ、珠子よ」
やっぱり反応がない。でも、人の気配はする。
「加奈。いるんでしょ。開けて」
声をかけると、がちゃ、と音を立てて扉が開いた。いつもスタイリッシュに決めていた加奈が、ぼさぼさの髪と化粧気のない疲れた顔をして、あたしを見ていた。
「なんで来たの」
「入れて」
「あたしは、なんで来たのかって尋いてるの」
「友だちだからに決まってるでしょ。あんたの話を聞きにきたの」
きっぱりと言うと、加奈はあたしを睨んだ。かまわずあたしは、加奈を押し退けると中に入った。
「ちょっと、珠子……」
「食べてるの? 何か」
「どうだって良いでしょ」
「良い事ないわよ、自分の顔見てみなさいよ。むくんで隈までできてるじゃない。前にごはん、食べたのはいつ?」
「いつだって良いでしょ」
「良くないってば! お腹に何か入れておかないと、いざって時に踏ん張れないわよ。台所、借りるから!」
まくしたてて、あたしは上着を脱いだ。冷蔵庫を開けて中を物色する。野菜の切れ端と卵が一個あった。味噌が少し。隅にあるのはちりめんじゃこ?
大地のお弁当作りで、料理の腕が上がっていたのがありがたい。疲れているようだし、消化の良いもの。
「お米は……あるわね。雑炊にするか」
とりあえず、ある材料を使って雑炊を作った。コトコト煮込む。すぐに、良い香りが漂った。
「食べて。さめないうちに」
出来上がった雑炊を器に入れて、匙と一緒に差し出す。加奈は何も言わずに、じっとそれを見た。
それから匙を手に取った。
一口、食べた。ゆっくり咀嚼する。飲み込んだ。
二口。
三口めで、いきなり泣きだした。
加奈のそんな姿は初めてで、あたしはおろおろした。何も言えなくて、焦った。
「まずかった?」
「そ、じゃな……」
「食べられない?」
「食べる。ぜんぶ」
そう言うと、加奈はまた食べ始めた。さっきより、スピードが上がっていた。
「落ち着いて。舌、やけどするよ。ゆっくりね」
「うん」
「お鍋にまだ残っているから。お代わりもあるよ」
「うん」
ぐすぐす泣きながら、加奈はあたしの作った雑炊を食べた。最後まで。
「不倫は、本当の事よ」
お茶を淹れてあげると、加奈はそれを飲んだ。加奈の好きなダージリンが見当たらなかったので、普通の安いティーバッグ。スーパーで良く見かけるやつ。疲れているだろうと思って、ミルクと砂糖を入れて甘くしてあげた。加奈はそれをゆっくり飲んで、しばらく静かだった。それからぽつりと言った。
「うち、父親いなくて。年上の男性にあたし、弱くてね。奥さんも子どももいるのに、つい、ずるずると」
それが相手の奥さんに、バレたのだそうだ。
「そしたら、……あたしが誘惑したって。奥さんに言ったみたい」
「なにソレ。サイテー」
「ほんと、サイテー。あいつ、離婚するって言ってたくせに。いざとなったら、あたしを切りやがった……」
バイト先で、知り合ったのだそうだ。先に声をかけてきたのは向こうだと、加奈は言った。
「最初は娘の話とか。そんな事ばかり。それであたしも、なんか安心しちゃったのかな。何度か会って話して、そしたら」
いつの間にか男女の関係に。
「それでも、……楽しかった。一緒に出かけて、歩いているだけで。待ち合わせして、喫茶店でコーヒー飲んで。イルミネーションも見に行った。一緒に。馬鹿みたいに浮かれて」
あの時、とあたしは思った。加奈を見たと思ったのは間違いじゃなかったんだ。それじゃ、あの時一緒にいた男の人が?
「何か買ってあげようって言われたけど。あたし、あいつの負担になりたくなかったから。いつも、いらないって言った。欲しいものは、自分で買うって。それでも、……それでも、大変な時は。支えに行くつもりだった。面倒な事になったら、ちゃんと身を引くつもりでもいた。でも。でもね。本気だって言った。離婚するって、あたしと一緒になるって、……嘘だって思った。だってね。あいつ、あたしの事何にも聞かなかった。実家がどこにあるのか、とか。誕生日がいつか、とか。全然聞かなかった。いつも、あたしがあいつの話を聞くだけ。あたしは都合の良い女だった。それだけ。あいつにとってのあたしは単に、それだけ。嘘だってわかってた。わかってたのに……!」
大学に、自主退学を勧められたわ、と加奈は笑った。
「奥さんが、毎日大学に電話かけてきて、あたしを退学にしろって怒鳴ってるんだって。あいつ、あたしがストーカーしてた、すごく迷惑だったって、奥さんに言ったのよ!」
サイテー。加奈は繰り返した。
「サイテー。最低男。自分は安全な所にいて、悪いのは全部あたし。あたしが望んだのは、綺麗なアクセサリーや服じゃない。一緒にコーヒー飲んで、一緒に並んで歩いて、イルミネーション見に行こうって、……あたしから願ったのはそれだけよ。なのに、しつこく付きまとわれて、被害を受けたみたいな言い方……っ! あたしがいつ! 離婚してくれって頼んだ!? 言い出したのはあんたの方でしょうっ!」
加奈はひきつったような笑い声をあげた。
「警察に訴えるって、奥さん、息巻いてるんだって。だから大学の方は、あたしに退学してほしいの。あいつはそんな奥さんをなだめてるんだってさ。未来ある若者だからとか何とか言って……はっ! 白々しい。自分に火の粉がかからないよう、うまく立ち回ってるだけじゃない。本当に警察沙汰になったら、自分の嘘がバレるからっ!」
優しい振りをして、自分の評価は悪くならないように確保してる。
「小さい男。馬鹿みたいに小さい。今じゃ、電話もつながらないのよ。サイテー。でももっとサイテーなのは、あたし。あたしよ」
笑って加奈は言った。でもその笑い声は、悲鳴みたいに聞こえた。
「まだあいつが好き」
真っ赤な目で、涙をあふれさせて、加奈は言った。
「最低よ、あたし。まだどこかで願ってる。あいつが嘘つきで、あたしを切り捨てたのは事実で。それはわかってる。わかってるのに。
まだ、どこかで。あたしを選んでくれるんじゃないかって。変な期待してる。あるはずないのに。そんな事、あるはずないのに……!」
あたしには、何もできない。
何もできなかった。
だから、加奈の愚痴を、叫びを、ただ側で聞いていた。
他にできる事は何もなかったから。
加奈は泣いて、泣いて、泣いた。その内疲れて眠ってしまったので、あたしは毛布を持ってきて、加奈の肩にかけてあげた。
食べるもののない部屋の中を思い出して、春菜に電話した。
「春菜? 今良い?」
『珠子ちゃん? どうしたの?』
「今、加奈のとこ。お願いしても良いかな」
『加奈ちゃんって……なんかすごい噂になってるよ? 大丈夫?』
「ごはん、食べてないみたいだったから、食べさせたの。今眠ってる。でもね、食べる物、あんまりないのよ。悪いんだけど、食材買って来てくれない?」
一瞬、沈黙があった。
『あの、ごめんね、珠子ちゃん』
何だかためらいがちに、春菜は言った。
『今、出られないの、春菜。加奈ちゃんの事は心配だけど……うち、今お客さん来てて』
なにそれ。友だちの大変な時なのに。一瞬、そう思ったが、すぐにその思いを押し殺した。春菜はお嬢さまだった。家の関係のお客で、断れないのかもしれない。
「そうなの? わかった。じゃ、また連絡する」
『うん……ごめんね、珠子ちゃん』
「謝らなくて良いから。加奈が復活したら、いつも通りに声かけてあげて」
『うん』
すまなそうに謝る春菜に笑ってそう言うと、あたしは携帯を切った。
(どうしよう。食材を買いに行きたいけど……鍵をかけないで出たら、不用心だし)
ふと思いついて、家に電話した。事情を説明すると、母は友だちの側にいてやれ、と言った。評判がなんだ、友だちの方が大事だろう、と。本当に、うちの母は豪胆だ。
『泊まって行きなさいよ。ああ、それともその子、うちに連れてくる? たくさん料理してやるわよ?』
「そう? うん。その方が良いかも。あたしの部屋に泊めたら良いしね。わかった。起きたら連れて行く」
そう言って、あたしは電話を切った。加奈の方を見ると、すごく疲れた顔をして寝ていた。
何だか、小さく見えた。
外を見る。もう暗くなっていた。
五月とは言え、夜は冷える。こんな中、一人にはさせられない。
あたしは、うん、とうなずくと、加奈を起こした。
「加奈。起きて」
ゆすると、ぼんやりした顔で目を覚ました。
「珠子……」
「ね、もう六時過ぎてる。遅いから……」
「ああ。ごめんね。あんた、帰らないと」
「そうじゃないの。あんたも来るのよ、うちに」
「はあ?」
加奈は、なに言ってるんだ、という顔をした。でもあたしは強引に、腕を取って引っ張った。
「冷蔵庫の中、空っぽで何にもないんだもの。立って! お母さんが美味しいもの作って待ってるの。うちでごはん食べよ。お風呂にも入らないと」
「嫌よ、あたし。外に出るの」
「駄目! もう決定」
「だって……嫌よ。あたし、すごい顔してる」
「夜だから、わからないわ。ほら、コート着て。鍵はどこ?」
まくしたて、腕を引っ張り、加奈を引きずり起こすと、無理やり春物のコートを着せた。フードつきのやつを頭にかぶせてやる。
「財布はどこ? 忘れ物ないわね。ポットの電源と、ガスの元栓と……電気消すわよ。鍵、しめて」
あたしに言われて加奈は、黙々と動いた。もう頭があんまり動いていないようだ。
それからあたしは加奈を、家に連れて行った。加奈はぼんやりした感じで歩いて、電車に乗って、家の玄関で迎えてくれた母に頭を下げた。
「まず、お風呂入りなさい。沸かしてあるから」
母は加奈を見てにっこりすると、そう言った。あたしは加奈を風呂場に連れて行くと、着替えを持っていった。
「このタオル使って。あたしので悪いけど、着替え、置いておくから。ゆっくり入ってね」
声をかける。返事はなかった。
食事は消化の良いものを、とあたしが言ってあったので、母は生姜とネギと鶏肉で、あつあつのスープを作っていた。ビタミンたっぷりのフルーツサラダのボウルが横に並ぶ。
「ほら。食べなさい」
「いただきます……」
何だか呆然とした感じでお風呂から上がってきた加奈は、そう言うと、食べ始めた。
その夜は、あたしの部屋で一緒に眠った。次の日、あたしは大学を休んで加奈と話をした。加奈は昨日よりは落ち着いていて、少し笑えるようになっていた。
三日目、さすがに休めなくてあたしは、大学に行った。加奈は家に残った。帰ってみると、加奈はお母さんを手伝って夕食の支度をしていた。あたしより手際がよかった。
「ちょっと。あたしより上手じゃない」
「母子家庭だったって言ったでしょ? 母が働いている間、ずっと料理してきてたのよ、あたし」
笑って加奈が言った。
その夜、おしゃべりしよう、と加奈が言った。安いワインとお菓子を山ほど持ってきた。昼間、買い物に出た時に買い込んだらしい。
「良い家ね、珠子の家は」
「そう?」
「お母さん、なんか憧れる」
「ええ!? 駄目よ! うちの母みたいになったら!」
「どうして? 安心できるわ。あのお母さんの側にいたら、背伸びしてるの馬鹿らしくなるし」
「背伸び、してたの?」
「うん。してたかも。……あたし、いつも一人でがんばらないとって思ってたし」
「そっか」
「母に迷惑かけられないから。何でも自分でって……でも。突っ張るのも疲れる」
安いワインで乾杯した。
「一度、実家に戻る」
「そう」
「母に全部話す。大学、辞めるかどうかはそれから決める」
「そっか……」
「珠子は辞めたら駄目よ」
「んん?」
「あんたはちゃんと生きて、堂々と歩いて」
「それは、加奈もよ。堂々と歩くのよ」
「あたしは……駄目よ」
「駄目じゃない! 加奈は、優しくてかっこ良いんだもの。一度ぐらいちょっと間違えたって、それが何よ。堂々とできる資格あるよ!」
「なにそれ」
「突っ張ってようがどうだろうが! 加奈は優しい! それでかっこ良いの!」
「どっちもあたしじゃないわよ。第一、優しいって何よ」
「初めて会った時、加奈は、教室わからなくて、迷ってるあたしに声かけてくれた。知らない人間が困っているのに、手を差し伸べてくれた。そんな優しさ持ってる加奈は、すごいかっこ良いとあたし、思った」
そう言うと、やめてよ、と言って加奈は赤くなった。
「あれは、たまたまよ」
「たまたまでも、普通は勇気なくて、そんな事できない。加奈はね。優しくて強いの。加奈が知らなくても、あたしがそれ知ってる」
言い切って、ワインをコップに注いだ。
「ちょっと、珠子酔っぱらってるの?」
「酔ってなーいー。加奈、あたし、加奈が大好きだかんね?」
「酔ってるよ、この子……」
「だってさ。女なんか勉強する価値ないなんて、教授が言った時でもさ。あたし、なに言われたのかわかんなくてボーゼン状態だったのに。それはおかしいって、言ったの加奈じゃん。あれ、すごいと思った」
「田口教授の言い分がおかしいのよ。うちの大学、昔は男子が多かったらしいけど、今じゃ半分以上は女子なのに。あんな事言って」
「そーだよー、田口はへーん。加奈はかっこ良くて、あたしの憧れ~!」
くだらない、どうでも良いような事をいっぱい話した気がする。
加奈はそれから、実家に戻った。大学は結局、中退しなかった。
堂々と顔を上げて、通い続けた。
不倫相手の奥さんからの嫌がらせ電話は、それからも続いたみたいだった。加奈の電話番号がわからなくて、大学にかけ続けていたらしい。
けど、加奈がある時、ぶち切れて。相手の家に乗り込んで行って、逆にストーカー被害で訴えると言ったらしい。旦那さんの会社に出かけて、全部ぶちまけたら、噂になってクビになるかもね、と匂わせたら静かになった。
不倫相手の男とも、きっぱり別れた。何度呼び出しても電話に出ないので、会社まで出かけていって、受け付けで堂々と、「不倫相手の高木加奈が来ていると伝えて下さい」と言ったらしい。真っ青になって飛んできた男に向かって、「ちょっと甘い顔しただけで、自分のものになったみたいに思わないでよ。あんたみたいに小さい男、可哀相だから相手しただけじゃない。ダサいしウザいし話はクドイし、飽き飽きよ。これで最後だから。もうあたしの周りに付きまとわないで!」と、啖呵を切ったのだそうだ。
「すごい。加奈、かっこ良い」
あたしが言うと、照れた顔してから、「珠子のおかげ」と言った。あたし、何かしたっけ?
「まあでも、ふっ切れた」
「女を馬鹿にすると、怖いんだよって?」
「それもあるけど。手心加えちゃったんだよねえ」
「手心?」
「家庭を壊すのも嫌じゃない。子どももいるし。だから、あたしが悪者になってあげたのよ。噂にはなるだろうけど、悪い女に引っかかって気の毒~、みたいな雰囲気にはなるんじゃない? 奥さんもさ。旦那が危機に陥ってるんだったら、支える気にもなるでしょ」
そう言った加奈は、やっぱりかっこ良いと思った。すごく優しい。優しくてかっこ良い。
「好きだったのは、嘘じゃないからさあ」
「うん」
「たまに、まだ泣きそうになる」
「うん。そんな時は一緒におしゃべりしよ」
「うん。珠子、ありがとね」
「友だちだもん……でも、良く一人で乗り込んで行けたね?」
「一人じゃなかったよ」
加奈は言った。
「田口教授がついて来てくれた」
あたしは愕然となった。
「はあ!? なんで田口ぃ!?」
「教え子が困ってる時に放っておけるかって。お節介なんだか、ズレてるんだか。家に乗り込んだ時にも、会社に乗り込んだ時にも、ついて来てた。さすがに、会社の時には離れてろって言ったけど。立場が悪くなるし」
「はあ」
「話してみてわかったんだけど、あれ、単に馬鹿なだけだ」
真面目な顔で加奈が言った。いや、馬鹿って。
「女の子と付き合った事がなくて、コンプレックスみたいなの、ずーっと持ってたんだって。それでつい、女は馬鹿だーみたいに言っちゃってたみたい。言う方が馬鹿じゃんって言ったら、黙ってた。自分でも自覚あったみたい」
「はー」
「男とか女とかでくくるんじゃなくて、人間でしょ! って怒鳴っちゃったよ。まず人間で、そこに男性とか女性とかの個性があるんでしょっ! なに自分の物差しでレッテル張って分類してるんだよ、きちんと相手を人間として見なさいよっ! って言ったら、ぽかーんとしてた。お礼言われたよ、後から。目から鱗だったって。普通そんな事、不倫騒ぎ起こした学生に言う?」
本気で馬鹿だ。と加奈は言った。
田口教授に対する印象が変わったなーと、あたしは思った。