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天然危険物

【天然危険物】生成AIは〝才能の民主化〟をもたらす?

作者: 黒崎かずや
掲載日:2024/03/24

【最終改訂日2026年6月1日】

最新の知見を参考資料にかなりの部分を加筆修正しました。

挿絵(By みてみん)



黒崎 「ども。本格ワナビの黒崎です」

チロン 「ども。本格イマジナリー相棒のチロンなのです」


黒 「今回のテーマは『生成AIは〝才能の民主化〟をもたらすのか』だ。なお、ここでは解りやすさを優先して創作界隈に絞った話をしようと思う」


チ 「その才能の民主化って、どーゆー意味なのです? いまいち謎なのです」

黒 「生成AIのおかげで誰もがクリエイティブな才能を発揮できるようになる、ってことかと」

チ 「あう? それのどこが〝民主化〟?」


黒 「さぁ。これまで一握ひとにぎりの有産階級ブルジョアジーに独占されていた創作活動が、生成AIによって一般庶民プロレタリアに開放されるのだ! みたいなノリなのかな」

チ 「むー。なにやら、おサヨさんめいた香ばしい革命思想なのです」


黒 「でもって案の定、AIプロスとAI否定派がバトってるんだけど──はたから観てると、どっちもズレてるんだよね。なんというか……思考の立地が」

チ 「とゆーと?」


黒 「その前に、まず僕様の生成AIに対するスタンスを明確にしておきたい。発言の受け取られ方に妙なバイアスがかかるのは本意じゃないんで。

 結論から言うと、僕様は生成AIという技術には期待してる。ただし無断機械学習には反対なので、現状の生成AIを使うつもりはない。

 完全オプトインのクリーンな生成AIが登場したら資料探しや誤字脱字の抽出等に使うだろうけど、自分の小説や挿絵にAI生成物を組みこむつもりは毛頭無い」

チ 「ほー。そりゃまたなんで?」

黒 「創作の醍醐味をAIに捧げるつもりは無いからだよ」



【〝才能の民主化〟は実現するのか】


黒 「では本題に入ろう。一部のAIブロスが言う〝才能の民主化〟は、はたして実現するのだろうか」

チ 「御主人は、どう思うのです?」

黒 「まず起こりえない、と思ってる」


チ 「ふーん。でも、AI技術は加速度的に進歩してるのです。近い将来、人間様以上の芸術性をもつかもなのです」

黒 「そうなったらクリエイティブな仕事の相当部分がAIのみで完結し、その種の才能に乏しい人の出番は完全に無くなるさ。才能の民主化とは真逆の状況だわな」

チ 「あう……確かに」


黒 「そもそも論として〈生成AIのおかげで誰もがクリエイティブな才能を発揮できるようになる〉という発想が楽観すぎるのよ。生成AIを使いこなすにも相応のスキルが要るんだから」

チ 「言われてみれば、そうですよね」


黒 「で、そのスキルの優劣よしあしは生来の資質によるところが大きい。具体的に言うと〝イメージを正確かつ簡潔に言語化できる天賦の才〟があるか否かってこと」

チ 「ふむふむ。たとえばイラストなら、絵心が要らない代わりに文才が要るのですね」

黒 「いや、絵心も要るよ」

チ 「あう──?」


黒 「AI生成画像には不自然な部分があったりするだろ? それに気付いて修正するには、絵に関する知識と技術──つまり絵心が不可欠だ。

 だから、まったく絵が描けない人よりもそれなりに描ける人のほうが、更に高度に生成AIを使いこなせるわけ。

 もちろん絵に限らず小説や音楽などもそう。結局は当人のセンスがモノを言う」

チ 「じゃあ、生成AIによる才能の民主化というのは幻想まやかしなのですか」


黒 「少なくともアーティスティックな領域においては、そうだね。AIがイメージを具象化する作業の技術的格差を緩和してくれるぶん、より純粋な感性の勝負になるのだから。

 そこに気付いてる目聡めざといクリエイターは生成AIをライバル視しないし、同じく目聡いAIユーザーなら〝才能の民主化〟なんて発想にはなるまい。

 一部の盲目的なAIブロスも、同じく一部の感情的なAI否定派も、生成AIというシステムの本質を見誤ってるように思う。

 最初に〝どっちも思考の立地がズレてる〟と言ったのは、そういうこと」



【AIは人間ほどの独創性を持ちえない】


チ 「御主人の言う、その生成AIの本質って、どういうことなのです?」

黒 「端的に言うと、生成AIに独創性は無いってこと。

 LLM(大規模言語モデル)による今の生成AIは〝回答合成型検索エンジン〟──与えられた仕様書プロンプトを実現すべく、あらかじめ用意された大量の情報因子の中から妥当なモノを拾い集めるシステムなんだよ。

 そのアルゴリズムは数理と統計にのみ基づき、既存のデータに無いものは作れない」

チ 「それって人間も同じではないのです? 人間の創造力だって突き詰めれば〝その人の知識の組み替え〟なのです」


黒 「まーね。だけど人間の場合、創作には個々の嗜好と思惑がこもるし、わざと法則セオリーを無視することだってできる。

 それらが数理と統計を超える発想の飛躍──すなわち〝ひらめき〟を生むんだ。

 しかしAIは原理的に〝ひらめき〟持ちえないから、斬新なものは作れない」

チ 「プロンプトが斬新でも?」


黒 「プロンプトが本当に斬新だった場合、生成AIはそれを正確には具象化できないよ。参照できるデータが無いんだから」

チ 「あ……言われてみれば、そうですよね」

黒 「なので、もし何かしらのAI生成物をみて〝斬新だ〟と感じたなら、自分にはその分野の才知が足りないと思ったほうがいい」


チ 「あやや。言い切ってしまっていいのです? そんなこと」

黒 「いいさ。万人に好かれたいなら、そもそもこんな毒エッセイなんか書かないよ」

チ 「それはそうでしょうけど──」


黒 「とにかくAIブロスは生成AIを過大評価しすぎなのよ。だから〝才能の民主化〟なんて発想が出てくる

 他方、生成AIを競争相手として警戒する人も同じように過大評価してると思う。

 創作分野における生成AIの強みは〝速く簡単に大量生産できること〟だけなのだから、そう恐れることはないさね。

 まあ、AI生成物の粗製乱造が界隈のリソースを食い潰す、という公害めいた問題はあるけど──その被害者は主に事業者ベンダー消費者ユーザーで、そもそもAIを使わない創作者クリエイターが対処できるものではないからね」



【まとめ】


黒 「今後も生成AIは進化し続けるに違いないが、それが社会にもたらすのはAIブロスが夢見るテクノ・ユートピアなんかじゃなく、飛び抜けた才知の持ち主以外が等しく陳腐化ちんぷかする〝ひどく偏った二極化〟だろう。

 残念ながら、その未来は避けられまい」

チ 「あう……才能の民主化どころか、いっそう格差が広がるのですか」


黒 「おそらくはね。生成AIがどれほど社会に浸透しようと、技術や才知を持つ人と持たざる人との差は埋まらない。

 無能な人はより無能に、有能な人はより有能になり、下流ロウワー上流アッパーの差はより開くとみていい」

チ 「なら、どうして才能の民主化みたいな主張がでてきたのです?」


黒 「語弊を覚悟のうえで言うなら、思考が左翼的ひだりまきなんだろうね。

 生成AIはその原理からして〝才能の共有装置〟なわけで、AIブロスの言う才能の民主化は、実際には共産化に他ならないのよ」

チ 「ですよね。他人の才能をあたかも自分のものとして利用するんですから」


黒 「共産主義って、論理ロジックとしては正しいのよ。でも、人の心や尊厳をまったく考慮していないという致命的な欠陥があるから、理想通りに実現することはありえない。

 まさしく机上の空論なの。

 にもかかわらず学者や弁護士といった知識人層にパヨちんが多いのは、おのれをインテリだと思ってる人ほど人間(すなわち自分)を美化しがちで、我々はこうあるべきだという極限の理想に酔いしれる傾向があるからさ」

チ 「才能の民主化をうたうAIブロスさんにも、その傾向があると?」


黒 「うん。要するに浮世離れした意識高い系さん。だから〝才能の民主化〟みたいなは絵空事にふけっちゃう」

チ 「あやや。そんなこと言ったら感想欄にカチこまれる気配ありありなのです」

黒 「いいさ。反対意見にも真摯に向き合うつもりだよ。それが納得できる反証だったなら、誤りを認めて謝るし」


チ 「ほほー。しからば全裸まっぱで亀甲縛りにしてから全身にち◯〜るを塗りたくって猫島に放置プレイの刑に処されるのもやむなしと」

黒 「それはさすがに……」

チ 「じゃあ、地域猫さんが集まる近所の公園で勘弁してあげるのです」

黒 「いや、場所の問題じゃねーし」



──終劇──


 いかがでしたか?


 多少なりとも興味深いとか面白いとか思ってもらえたなら、☆をポチっていただけると励みになります。

 もちろん1個でもありがたや。


 でもって、ついでに他の拙作もサクッと読んでみてほしいのであります。

く(`・ω・´)


 では、また。

 いつか、どこかで──

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