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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

微乳な聖女様だって癒されたいの!~王国認定『チッパイ聖女』なんて言わせない?!そんなよくある?休暇の過ごし方~

作者: 猫舌の神

「うっうぅぅっ、そこっ、そこぉ‒‒‒‒‒‒」

「今回もコリコリですねぇ、お忙しかったんですか?」


「うん、そっ、そこ。あぁあぁぁ。そうなのよ、ちょっと聞いてくれる?実はね、10日間のうち、7日も歩かされて、もうクタクタなのよぅ」


「そんなにですか?お疲れさますぅ!」

「しかもねぇ、崖みたいなトコも登らされたし、もう散々だったわっ!」


「崖も登ったんですか?じゃあ、モモの後ろがこんなに張ってらっしゃるのは、その疲れからなんですね!」


「あぁっ、ヤッパリ分かっちゃう?さすがプロね、スゴイわ!」

「ありがとうございます。それで今日は延長されておきますか?」


「そうね、30分延長で腰を多めにしてちょうだいねぇ!」

「はい、分かりましたぁ!」


 私の名前は、クリスティーナ。これでも王国認定の聖女なの。

聖女なのに巷では≪王国認定『チッパイ聖女』≫なんて陰口をたたく人達もいるみたいね。


 誰がチッパイよ!スレンダーぐらいにしなさいよ。ベッタンコも駄目ね。

百歩譲って微乳なら‒‒‒‒‒‒許せるかい!


 とにかく、その聖女がドコにいるかって?いま私は、王都でイチ、ニを争うほどの大人気王国式マッサージ店にきているの。


 聖女様(・・・)が、そんなところへ行って騒ぎにならないのかって?

もちろん、聖女だと名乗れば大騒ぎになるけれど、今の私はお忍びなのよ。


 だから来店する時は、いつもの聖女服じゃなく一般女性が着るような服で来店しているわ。それにスッピンで髪もボサボサにしておけばバレる事なんかゼッタイにないわよ。


 普段はね、勇者パーティーの一員として世界中を旅してまわってるんだけど、ときどき王都にもどって休暇をまんきつしているの。


 そうしないと、私が病んでしまうわよ。聖女の仕事は、勇者パーティーのメンバーや傷ついている一般の人たちを癒しているわ。


 それって結構つかれるのよね。魔力うんぬんもあるけれど、イチバンは気疲れなのよ。聖女たるもの癒してアタリマエなところがあるから、癒しの魔法をゼッタイ失敗できないの。


 だから魔法をかける時は、いつもヒヤヒヤものよ。

 それに加えて、勇者パーティーの目的地がほとんど遠いところばかりだから、王都からの行きかえりだけで1か月以上というのもザラにあるわ。


 特に山道どころか、けもの道なんかも歩いたりするから足から腰にかけて、いつも筋肉パンパンよ。われながら、よく歩けてると思うわ。褒めてあげたい。


 そんな事を考えながら、いつも指名している店員に脚のモモから腰にかけての筋肉をほぐしてもらいながら、ふと今回の魔族軍討伐のさいに、勇者たちから言われたことを思いだして、歯ぎしりをしてしまった。


 その時は、ちょうど魔族軍の幹部をうち果たしたあとだった。勇者は、なにを

思ったのか、私に『幹部を倒した御ほうびとして、イッパツやらせろ!』なんて事をぬかしやがった。


 私は、たまらず『ふざけるな!ゲス野郎!!』って、言い返してやったわ。そんな言葉も居にかえさずに、下卑た顔つきでせまってくる始末だった。


 それなのに、そんな状況なのに他のパーティーメンバーは助けてくれるどころか、

『1回ぐらいは、いいんじゃないの?』

『別に減るもんじゃないし』

『胸の大小は気にするな。アナこそ命!』

 などとふざけた事を言いだすヤツら。


 ホントッ、頭のなかは、どうなってるのよ。脳みそにウジでも湧いているのかしら?

それともウジで脳みそが出来ているのかしら?と、そんな事さえ考えてしまったわ。


 それだけじゃなく、あの勇者は基本的にクズだわ!よく男の甲斐性として昔から言われているのは、“飲む、打つ、買う”が定番だと聞いている。


 だけど、あの勇者の“打つ”は意味がまったく違ったのよ。実は今回の遠征の帰りに立ち寄った街の宿で見てしまったの。


 どうしても決めなきゃならない相談事があって、勇者の部屋にノックして入ろうとしたんだけど、返事がなかったの。それで気になって扉を開けて中に入ったらアイツ椅子に座ってたの。


 私は、その姿をみて思わず悲鳴をあげそうになったわ。

だって、アイツ‒‒‒‒‒‒口からだらしなく、よだれを垂らしながら、開いた目は白目をむいていたの。


 そして、脇にあったテーブルの上には、針がついた金属の筒が、無造作におかれていたのよ。私の直感として感じたのは、“クスリを打っていた”んだと思う。


 それを見た私は、アブナイと感じて直ぐに部屋をでていったのよ。そして、その夜は一睡もできないままベッドの中でフトンをかぶって震えながら夜を明かしたのよ。

次の日の朝、アイツと顔をあわせる事が怖かったけど、アイツは何も覚えていなかった。


 あの時は、きっと本当の意味でイッてしまってたのね。だから一昨日、王都に帰ってきて直ぐに教会へいき、次回からは聖女を代わってもらうように、強く訴えたわ。

その結果はどうなるか分からない。今は教会の判断を待つしかないの。


 それに後もう一つ。気になる事があるの。実は、王家から王子さまとの結婚話がきているの。

普通であれば玉の輿として、その結婚話にのっかる事が一番の正解。そうなんだけど、あの王子。


 ものすごい“ヘ・ン・タ・イ”王子なの、これが。

 前回の討伐から帰ったあとでお城に呼ばれたの。それも王子の応接室に。帰ってすぐの登城だったから気乗りしなかったわ。おもい足取りで、なんとか行ったわよ。


 ところが、応接室のソファに座るなり、『このコップにキミの唾をナミナミ入れてくれ!』なんて言ってきたの。私、全身の毛が逆立ったぐらいの恐怖をおぼえたわよ!さすがに、速攻でお断りしたわ。


 だけど、それだけじゃなかったわ。断られたことを気にするわけでもなく、今度は私が履いているクツで王子の『顔をふんで欲しい!』と、これまたトリハダものの変態発言が飛び出したの。


 もうそれを聞いたら我慢できなくなって、応接室を飛び出してしまったわ。その夜は王子の発言が原因で、私は文字通りヤミからヤミに葬られると覚悟をしながら夜を明かしたの。


 でも、その後、数日たってもナニもおこらなかった。

念のため、教会をつうじて探りを入れてもらったけど、王子や王家の反応は意外だったわよ。


 だって『気にするな、いつもの事だ!』だったから。オイオイッl


 とその瞬間。

「ハァ~イ、お時間となりました。お疲れさまでした」

「ヘェッ?もう時間?」


「ええ、お客さん。施術を受けてるあいだずっと、寝息をもらしてましたよ!」

「ウソォ、ホントッ?」


「はい、本当です。今回もご利用ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております、聖女様!」

「ゲフッ!」



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