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49 深夜の神代将直と塔依代マナ

夏バテしています。皆様もマジで気を付けて下さい。

 如月美夏が、自分達の方針を決めていたその深夜。HSS本部には神代将直と塔依代マナが詰めていた。

ほとんどの団員は帰宅しており、この時点で作戦行動を行っているのは第3捜査室を主軸とした5小隊がエルフ居住区に展開している。

 もちろん、平時のHSS団員は自宅に帰ったり、寮に戻ったりと普段の生活をしている。

 聖典旅団の非合法活動から端を発したこの事態に対応するために、団長と副団長の役割として2人は学園に詰める事にしたのだった。

 事務方の要員も数名待機しているので、今日逃亡をした聖典旅団が来襲したとしても、作戦行動は十分に出来るだろう。

 既に両親には連絡をしており、2人が一緒に帰る(・・・・・・・)神代家はその事を了解済みだ。

ポーンッという音が将直のPCからして、2人がその画面を覗き込む。

「あ、如月美夏さんはあなたの提案に乗ってくれたのね」

「そうだな、正直心配だったがこれで俺達はエルフ居住区の守りに徹する事が出来る」

椅子に軽い悲鳴を上げさせながら将直は伸びをする。

「でも、特殊遊撃室は3名、戦力としては厚みが無いけど?ブレイカーギルドの協力を得られるとしても、情報や支援の面でちゃんとカバーしなければいけないと思うわ」

「もちろんそうするよ。今日1日は来訪者と聖典旅団に翻弄されたが、次はこっちからやり返す番だ。もう警察もギルドも動いている、数日中には詳細な情報が集まれば特殊遊撃室へのフォローも十分になるはずだよ。もとかも動いているしな」

その言葉に、マナは言い知れぬ不安が心をよぎる。

「どうした?」

「うん、もとかさんが心配なのよ」

「あのループする夢の話か」

「ええ」

 そう力無く答えたマナの様子を見て、将直は考え込む。

こういう表情をした時、軽く事態を考える事は失敗に繋がる事を、将直は知っていた。

「それなら栗原の作戦行動範囲とブレイカー、特殊遊撃室のそれと重なるようにしよう。マナには悪いが、不確定の状況に対して第3や第4を充てる事は難しいんだ」

「・・・そうね、仕方がないね」

「だが、何かがはっきりとしたらその時は、俺達が優先をして出撃する。それでいいか?」

もとかのために、HSSの最大戦力をぶつけるというその言葉に、マナの表情が少し明るくなる。

「ええ。ゴメンね我が儘を言っちゃって」

「気にするな。今夜はもう寝てくれ。何かあったら起こすから」

「うん、おやすみ」

 そう宝翔学園のジャージに身を包み外からの光に銀髪を光らせたマナが、団長室のすぐ近くにある仮眠室へと向かう。

その姿が廊下に消えたのを見て、将直は自分の武器を取り出して点検を始めたのだった。


 ・・・


 午前5時過ぎ、武器の準備を終わらせて、PCをつけっぱなしにしていた将直の通信機が着信を告げる。

「こちら神代です。鏑木さんどうしましたか?」

ディスプレイにはブレイカーギルドの受付をやっている、鏑木舞の名前が表示されていた。

さらに「鍵マーク」があるので、秘匿通信である事がわかる。

『朝早くにすみません。ギルドは、今回の件を緊急性の高いものと判断しました。Aランクブレイカーを中心にした部隊を標的のポイントに急行、あと4時間程度で捜査と掃討作戦に入ります。目標は、そちらからもらったモノと合わせて8カ所。そのうち重要度が高い6カ所を捜査します』

 将直の見ているPC画面の情報が更新され、新たに加わった目標座標とブレイカーの行き先が表示される。

 その6カ所は、水月瑠華が撃ち込んだ臭気弾の反応が確認された場所であり、小規模であっても武器庫や戦闘員の補充先の可能性が高く、さらに市とギルドの施設に近いため何かをされた場合の被害が多いと思われる場所だ。

「HSSとしては了解しました。残り2カ所にはウチに取り掛かってくれ…という事ですか?」

『ええ、脅威度は低いはずです』

「そのうち1カ所は再開発地域なのですが?」

『地理的な要因を鑑みての、ギルドの判断です。お願いできますか?』

 ギルドの結論はもう出ているようだ、今の時点で変更をすると無駄な犠牲が出る可能性がある。

 嘆息しつつ将直は答える。

「了解しました。残り3カ所はこちらで受け持ちます。報酬その他については、協力費として最低でも300万はもらいますよ。被害が出た場合はその補償は?」

『そちらも受け持ちます』

 ビビッという警報音が耳に聞こえる、秘匿通信の時間切れを示す音だ。

「決まりですね。1点だけ作戦開始時間は合わせますか?連携が必要だと思いますが」

『ええ。お願いします』

「了解。なるべく合わせます。よろしく」

 そう言い終えると、ブツッと通信が切れる。毎度この音は耳に悪いなと軽く渋面になりながら通信機を将直は切る。

「如月達にはメールを入れて、朝一でこっちに来てくれるように頼むかな」

 キーボードを操作して、簡単な文を如月姉弟の端末へと送る。

「作戦開始だ」

 そう力強く呟いて、マナを起こしに将直は団長室を後にしたのだった。

50話突破!と言う事で、人物関係がごっちゃになってきているのであとがきでまとめていきます。

まだ説明をしていない用語については、なるべく避けています。


・用語補足

MLP:マジックランチャープロダクトと言う魔法を効率的に使うための器物

〇〇ファウスト:いくつかある魔法系統を規定されたレベル(威力や範囲)を超えて行使できると、その系統の数とファウストを組み合わせて呼称される。


■如月楓 高1(15歳)種族:人間

・本作の主人公、低レベルの魔剣使い。

・得意な武器は太刀。魔剣の意思を感じる能力がある…が公式には認められたいない。

・ブレイカーランクはC


■如月美夏 高2(16歳)種族:エルフ

・楓の1年年上の姉。赤みがかった銀髪、紅色の瞳そして尖った耳朶を持つエルフ。

・Bランク魔法使い:情報魔法が得意で、それ以外の属性もある程度のレベルで使える

・ブレイカーランク:C

・MLPは杖型


■如月美冬 中1(12歳)

・Cランク魔法使い:水系(治癒能力あり)と光系が得意なダブルファウスト

・ブレイカーランク:E

・美夏より背がやや高く、ほっそりとした肢体をしている。

・髪の色はオレンジに近い茶髪、黒々とした瞳。

・MLPは懐中時計


HSSの団員については、次回以降追加します。

さくっと相関図を書いた方がいいかもですね。



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