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36 楓の教室にて

「よっ!楓」

楓が教室に入ると、大雅が元気に挨拶をしてきた。

「ああ、今日も元気そうだな。そう言えば部活は決めたのか?」

「ん?まだ決めかねているんだけど、体を動かす系がいいんだよなー」

「HSSなら空いているぞ」すかさず売り込む楓。

「いやいやいや」

「嫌なのか?」

「あー。HSSが嫌じゃないんだけどさ、俺としては高校生になったし見聞を広めたいのよ」

「ほう」

「だからな。こう、部活をしてそこで仲良くなったマネージャーとの恋とかをしてみたいとかさ!」

いつの時代のテンプレートだろうか、と思いながらも。そういうシチュエーションが現実でも絶滅していないので、憧れとして大雅が持っているのは不思議ではない。

「へー。梶君はモテたいんだ」

そんな男同士の馬鹿話に入って来たのはちせだった。その瞳には物珍しそうな光が浮かんでいる。

「そ、そりゃあなぁ。楓もそうだろう」

「まあ、モテるまではいかなくても、好きな子と付き合えるなら憧れるな」

いきなり話題を振るな!と思ったが楓も正直に答える。

「へえ、そんなものなのね。ウチは厳しいから、親が決めた婚約者候補とばかり会わされて嫌なのよね」

「えっ。もしかして小鳥遊の家って名家?」

「まあ、そうなるかな。うちはまあ繊維の会社から始まって、今は対来訪者用の装備関連も手掛けているのよ。だから、親はそういう関係の相手とくっつけたがるのよね。兄と弟が1人ずついるんだから、あたしくらいはほっといてくれてもいいのに」

そう整った相貌を少し歪めるちせ。

「それでもすげーな…。そう言えば、俺達ってあまりお互いの話もしてなかったな」

「確かにな・・・」それに思いついた楓が教室の入り口を見ると、ラーニャとアリシアが入ってくる所だった。

少しぽーっとした雰囲気のラーニャと、小柄なのでまだ中学生にも見えるアリシアの組み合わせは不思議とマッチしている。

「ラーニャさん、アリシアさんおはよう」

ちせ気さくに声を掛けると、荷物を置いた2人が3人のところにやってくる。

「おはよぉ。何を話していたの?」とラーニャ。

「そう言えば、俺達はよく話すのにお互いの事はなかなか知らなかったなって話」

「確かに、ですね」眼鏡を少し直ながらアリシアが答える。

「そうだ!1度このメンバーで集まって、色々と親睦を深めないか?どうかな?」

前のめり気味に提案をする大雅へそれぞれの反応は悪くないようだ。

「俺は賛成だな、クラスメイトだし話せる範囲でお互いを知りたいな」と楓が後押しをする。

「私はいいわよ」

「あたしも」

「・・大丈夫」

そう3人が同意をしたところで、ちせが話題を広げる。

「如月君は、お姉さんと妹さんも居たよね。一緒に話すのはどう?」

「ああ、多分喜ぶとおもうよ」

「決まりね。放課後に通学路沿いの喫茶店で集まらない?気になるところがあるのよね」

「賛成―」

「俺も大丈夫だと思うよ。場所だけ教えてくれないか?姉と妹には連絡しておく」

「わかったわ」

「クラスメイトとお茶会・・・ふふ」

それぞれが反応を返した時、予鈴が鳴ったのでそれぞれの席に戻ったのだった。

(お茶会か…。そう言えばそんな事はあまりやってきていなかったな)

幼少時からの父の厳しい訓練や剣の修行、そして来訪者との戦いでそういった子供や学生らしい事をしていなかった楓。

地元を出てから、そういう経験をしていたと思われる友人を持った影響で、そういった事への興味が出てきている事を意識し始めた楓だった。

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