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【完結】ヴェノリュシオン ~ 違法研究所を摘発したら、実験体にされていた遺伝子組み換えされた子供を育てることになりました ~   作者: 廿楽 亜久
第12話 潜入

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04

 S08によって、勢いよく殴り飛ばされた扉とG45。

 聴覚を強化していないS08でなくても、遠くに聞こえた扉が叩きつけられた音とG45の怒鳴り声に、ご満悦とばかりのT19の後ろで、O12はありえない物を見るように前方を見ていた。


「先にやる内容は言え」

「マジでできると思ってなかったしぃ? ゴリラ遺伝子でも入ってんの?」

「俺に入ってるなら、お前にも入ってるだろ」

「初期型と一緒にしないでくんない? ねぇ? O」

「え、うん」


 同意を得られたと、T19はS08へ文句を口にしながら、扉が無くなった研究所の中に入ると、廊下に座り込む怯えた顔の研究員がいた。


「あ、ちょうどいいとこに、かわいそーなお姉さん、みっけ」

「ヒッ……」


 まるで何も起きていなかったかのような無垢な笑顔で、T19は研究員の前に屈んだ。


 その頃、正面玄関から繋がる、一番奥の廊下まで辿り着いたG45は、ひとしきりS08とT19への恨み言を吐き終えると、視界に見えた重厚な扉を見上げた。

 似たような扉を、以前にも見たことがある。


 決して近づいてはいけないと言われていた扉で、そこから出ていく人を追いかけて行こうとした奴らは、みんな殺された。

 自分たちと同じような奴らを閉じ込めておく施設。


 つまり、P03が攫われて、閉じ込められるなら、この先だ。


 考えが至れば、行動は速かった。

 前回と同じように、その扉を力任せに、こじ開ける。


「ウラァァァアアァァアァアッッ!!!!」


 正面玄関よりもずっと重い扉を、両手でこじ開ければ、扉の前に倒れている楸がいた。


「楸!?」

「じ、ぃ……?」


 G45はすぐに楸をその場から引きずり出すと、楸を壁際に寝かせ、楸を守るように一緒に飛んできた扉を壁に立てかけ、自分は扉の向こうへ戻ってしまった。

 毒ガスが撒かれているであろう区画へ向かおうとするG45を、止めようと声を上げるようにも、絞りも出せない声。


「――――」


 動けない体に、楸は手を伸ばすのも諦め、目を閉じれば、自分の身を隠していたはずの扉が退かされる音と差し込む光。

 瞼を震わせ、目を開けてれば、扉を退かした相手の影が目に入る。

 子供のような、小さな姿。


「役立たず」


 S08だった。


 足を持って、引きずるように部屋に放り込まれれば、そこにはT19とO12の姿もあった。


「お、意外に生きてた」


 いまだに痺れて動かない体を遠慮なく叩くT19に、楸は何も言えずに、視線だけでO12へ助けを求めれば、目があった末に、鼻で笑われた。


「役立たずはほっといて、とっととGに合流するぞ」


 言い方はともかく、S08の言葉は、楸も同意できる。

 置き去りにはしてほしくないが、あの毒ガスが撒かれた場所へ行ってしまったG45を助けに行かなければいけない。


「ヤダよ。お前らと違って、僕らはか弱いの」


 だが、T19は否定すると、あろうことかS08だけを行かせようとし始めた。


「てか、お前らの毒耐性高すぎるんだよ。先に、ガス止めてからにしてよね」

「…………なら、早くやって、合流しろ」


 それだけ言い残すと、S08は部屋を出て行った。

 残されたT19は、閉じた扉を唖然と見つめていたが、


「…………ハァ!? 何言ってんの? 前とは状況違うんだから、できるわけないだろ!」


 扉の向こうで、聞こえてるであろうS08に向かって叫んだ。


「何アイツ!? 言えばできると思ってんの!? バカなの!?」

「できないならしょうがないって……」

「あの脳筋バカ共に、できないって思われんの腹立つんだけど!? やってくるわ!」


 S08に続き、苛立ったように部屋を出て行ったT19に、楸は視線だけO12へやった。


「Tって、案外チョロい?」

「…………後でチクっとく」

「ちょっ……!? Oちゃん。氷砂糖あげるから、見逃して」


 警報が鳴りやまない研究所内で、楸は、銃を入口に向けたまま、待機するO12を見つめていた。


「前もこんな感じだったの?」


 ヴェノム研究所の詳しい話は聞いていない。

 だが、先程の言動から、緊急処理の経験はありそうだ。


 あるとすれば、ヴェノム研究所が潰れたその瞬間だろう。


「…………知るか」

「そっかぁ」


 この部屋にガスは撒かれていないのか、少しずつ呂律も回復してきている。

 既に潜入も何もなくなっているが、おそらく牧野もこうなることは想像の上だろう。


 ならば諦めて、G45とS08が、P03を見つけ出してくれるのを待つのが一番だ。


「…………ヤッベェ。寝そう。置いてかないでね」


 O12の冷たい視線が、楸に突き刺さった。


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