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3話 休み時間


 次の日。一輝は歴代最高の憂鬱な気分で学校に登校した。本当は学校を休みたかったが、ズル休みになるため自身を無理に奮い立たせて登校した。


 教室に入ると、片山が自席に座って、友人達と雑談をしていた。そして、片山は一輝を視認すると、心底馬鹿にした顔を披露した。


 昨日、片山と一緒にいた2人の男子生徒達も一輝を意図的に指差して大笑いした。周囲では、便乗して笑うクラスメイトもいた。


 松本は全く興味なさそうに誰とも話さず、席に座っていた。


 一輝は屈辱を味わい、学校に来た自分を責めた。しかし、何も言い返すことも出来ず、そういった勇気もないため、俯きながら自席に腰を下ろした。


 沈んだ心境なため、一輝はほとんど授業に集中できず、1時間目を過ごした。沈んだ気分が影響して板書の内容を書き取る手がまったく進まなかった。


 そして、授業が終わり、休み時間。教員が一方的に話す授業が終了し、一変して教室は騒がしくなった。その騒がしい声の中心は片山をリーダーとするグループである。


 片山は友人達と会話をし、笑い声や大きな声をあげている。


 一輝はその楽しそうな光景を一瞥し、さらに気分が落ちる。


 ガラーッ。


 教室の戸が勢いよく開放された。ほとんどの学生が音がした場所に目を向けた。


 そこには、ツヤがある桃色のボブヘア、緑の瞳、シミ1つない綺麗な肌などが際立つ絶世の美少女があった。女子生徒は一輝が通う西城高校規定の制服を身に纏う。


 女子生徒の名前は増本羽矢ますもと はや。西城高校でも指折りの美少女と謳われ、男子からは絶大な人気が誇る。その上、西城高校2年生の2大巨頭の1人でもある。


 学年関係なく異常な数の男子生徒から告白を受けているがすべて断っている。そのため、羽矢に告白し、玉砕した男子が西城高校内にわんさか身を置く。


 羽矢は顔を動かしながら、クラス全体を見渡す。羽矢の視界にイケメンの片山やその友人達、松本、その他のクラスメイトらなど、たくさんの生徒達が入り込む。


「あっ!いた!!」


 羽矢はこうべを垂れる一輝を発見すると、歩き始める。


「ねぇねぇ。5組の増本さんだよね?どうしたの?もしかして、俺に用かな?」


 片山がイスから腰を上げ、羽矢に立ち塞がるように素早く前に立ち、声を掛けた。片山は自信たっぷりに羽矢の瞳を上方から覗き込んだ。片山の身長の方が羽矢よりも高いため、成せる行為だった。


 ちなみに、一輝が所属するクラスは6組であり、羽矢のクラスとは隣である。


「君、入学してすぐ私に告白してきた人だよね?確か、体育館裏で告白してきたよね?悪いけど君に用はない」


 羽矢は冷たくあしらい、足早に片山の横を通り過ぎた。


「ちょ、ちょっと・・・」


 片山は羽矢からの衝撃的な言葉に困惑しながらも、なんとか引き止めようと試みた。


 しかし、羽矢は無視して一切の反応を示さなかった。


 羽矢が一輝が座る席付近に到着する。


「朝元〜。どうしたんだ?そんな気分が沈んだ顔して」


 羽矢は茶化すみたいに、こうべを垂れる一輝の背中を右手で軽く叩いた。


「うん?誰?」


 一輝は『こんなときに誰だよ』と胸中で悪態を突きながら、嫌々顔を上げた。


「え!?増本!なんでここに?」


 一輝は素っ頓狂な声を漏らし、ぱちぱちと目を瞬かせた。無意識に口も半開きになる。


「へへっ。初めてきちゃいました」


 羽矢はにへらっと破顔して、一輝にアピールするようにピースした。羽矢は先ほどの片山に対する態度とは大きく異なり、楽しそうであった。


 驚くかもしれないが、西城高校で指折りの美少女な上、学年では2大巨頭と謳われる羽矢。彼女は一輝と小学校時代からの付き合いであり、関係も長い、親友と呼ばれる間柄なのだ。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 親友なのに苗字読みなのか まぁ、いいけど [一言] 楽しみにしてます
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