1話 突然の呼び出し
本作の主人公である朝元一輝は何の変哲もないクラスでは陰キャの高校2年生である。一輝は自宅から1番近い西城高校に通っている。
放課後。一輝はいつものように昇降口で靴箱を開けた。
すると、中には一輝の靴以外に、半分に折り畳まれた紙があった。
一輝は気になり、紙を取り出し、中身を確認した。
『好きという気持ちを伝えたいから、体育館裏に来て欲しい」
紙には女の子っぽい丸文字でそういった内容が記載されていた。
「え!?まじで!!!」
一輝は周囲関係なしで、大きな声をあげてしまった。
「まじか!これって絶対に告白があるやつだよな!!」
紙を強く握りながら、片方の手でガッツポーズを作る。
一輝にとってラブレターはおろか、異性に呼び出されるのも初めてである。そのため、みっともないことに興奮が隠せていない。
「こうしてはいられない。もう、待ってるかもしれないから。早く行かないと!」
一輝は教科書やノートが詰められたリュックサックを背負った状態で靴を履き、足早に体育館裏に向かった。
「ごめんね。待たせたかな?」
一輝が体育館裏に到着すると紺のブレザーに黒のスカートを身に付けた女子生徒がいた。
「もしかして、松本さん?」
松本比奈。それが体育館裏で佇んでいた女子生徒の名前だ。
松本は黒のロングヘアにブラックの瞳、日本人特有の黄色の肌をした整った顔をした女子生徒だ。
松本は一輝と同じクラスであり、カーストが高く、男女の両方から人気がある。
「よくきてくれたわね。ありがとう」
松本は妖艶な笑みを浮かべた。異性を惑わせる独特なものだった。
「い、いや。当然のことをしたまでだよ」
一輝は自身を呼び出した人物がクラスでも人気者な松本だと認識すると、先ほどよりも興奮度が増した。心臓の音は未だかつてないほどなかっており、身体も尋常ではないほど熱かった。
「優しいのね。いきなりだけど、本題に入るわ」
松本は1度、言葉を区切った。
松本はちらちらと視線を泳がした後、決意を決めたかのように真剣表情を作った。
「朝元君。君のことが好きなの。だから、もしよければ付き合ってくれないかしら」
松本のわずかに恥ずかしさを帯びた声が人気の無い体育館の周辺に行き渡った。
一輝は松本の告白を聞き、心がお花畑になった。顔はどんどんにやけ顔になり、胸中はもう舞い上がった状態に変貌した。
「うん!喜んで!!」
一輝は迷った素振りも見せずに、告白を了承した。一輝は決して松本の告白を疑わなかった。
「はいはいはい!ちょっと待って〜〜!待ってよ〜〜」
ご機嫌な声色で一輝の後方から3人ほどの男子生徒がいきなり出現した。
その先頭に立つのはクラスで絶大な人気を誇る男子生徒。片山賢治であった。
⭐️⭐️⭐️
この小説は作者の欲望が多く詰まったものです。こういった経験をしたら面白いのではないかと思い、書きました!!