18話 妹は隣で寝たい
「おにぃ・・・」
23時。美月が上下黄色のパジャマを着て、一輝の部屋に控えめに入った。
「どうした?美月。一緒に寝たいのか?」
一輝は美月の心を推量し、疑問を投げ掛けた。
「・・・うん・・・」
美月は黙って頷き、一輝の自室のドアを閉めた。
「わかった。ほら、一緒に寝ようか!」
一輝はスマホを閉じ、ベッドに向かった。美月も倣ってベッドに足を運ぶ。
「電気消すぞー」
一輝はベッドに寝転がりながら、リモコンを使って部屋の電気を落とした。
「おにぃの隣はやっぱり落ち着く・・・」
美月は隣で寝ながら、一輝の身体に抱きついた。その証拠に、美月の両腕は一輝の左腕に巻き付いている。
「今日はおにぃ、羽矢さん、莉奈さんとゲームできて楽しかった。でも、楽しかったからこそ、疲れちゃった」
美月は抱きつきながら、こてんっと一輝の左肩に頭を置いた。それが起因して、フローラルなシャンプーの匂いが一輝の鼻腔をくすぐった。
『同じシャンプー使ってるんだよな?』
一輝は思わずそのようなつまらない疑問を覚えた。しかし、自身から発せられないほど、美月の髪からは良い匂いがあった。
「むっ・・どうしたの?おにぃ。さっきの私の話聞いてた?」
美月は頬を膨らませ、不満げな顔を示した。
「あぁ、そんなことはないよ。聞いてたよ」
一輝はあからさまに取り乱した様子を形成した。
「本当に?おにぃ、怪しい・・・」
美月はジト目を向けた。
「ほ、本当だって」
一輝は目を泳がせながらも、嘘をついた。実際は、美月の髪から発せられる匂いに意識を奪われ、話を聞いていなかった。
「・・・わかった。私、もう体力の限界、寝る。だから、頭撫でて・・。優しくお願い」
美月は上目遣いでおねだりした。美月の瞳はわずかに潤んでいた。
「ああ。いいよ」
一輝は空いてる右手を用いて、美月の頭を撫でる。
「ふ、ふわぁ・・」
美月は口を半開き、心底安堵したような表情を作った。
「このまま、続けて撫で続けて」
「あいよ」
一輝は手を止めずに、頭を撫でる。手を動かす度に、美月の顔がトロける。
「はぁ〜〜。これは私をダメにする」
美月は1度目を開け、再びゆっくりと目を閉じた。
最終的に、一輝は熟睡するまで美月の頭を撫で続けた。
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