15話 イライラ
「あぁ〜。まじで最近、学校でイライラさせられるわぁ〜」
放課後、片山は松本と共に部活に向かいながら、不満を口にする。松本は片山と並んで歩く。
「どうしたの?もしかして、あの陰キャの朝元に関すること?」
松本はおそるおそる聞いた様子だった。その証拠に松本の表情は硬いものだった。
「ちっ。そうだよ」
片山は視線を松本に向ける素振りも示さず、気怠げに答える。
「そ、そうなのね。あのさ、もう朝元を気にしない方がいいんじゃない?賢治がわざわざ苦しむ必要はないよ」
「うるせぇ!苦しんでなんかいねぇよ!!」
突如、片山は松本の右頬を叩いた。
「キャッ!?」
松本は短い悲鳴をあげ、地面にお尻を落とした。
「い、いたぃ・・。どうして・・・」
松本は右頬を押さえながら、唖然とした顔を示す。信じられないといった目をしていた。
「わかったような口きくんじゃねぇよ!あぁ〜。気分悪りぃ〜。もう、今日は付いてくんな。俺は1人で部活に行く」
片山はふんーっと鼻を鳴らすと、松本を見下してから前進した。
「・・・」
松本は静かに片山の後ろ姿を見つめることしかできなかった。どんどん片山の背中が松本から距離を作っていく。
そんな最中、男女の会話が松本の鼓膜を刺激した。
松本は声のした方向にゆっくりと視線を走らせた。
すると、一輝、羽矢、莉菜が楽しそうに他愛もない会話をしていた。皆が時折、笑顔を見せ、盛り上がっている。
松本は瞳を潤ませながら、羨ましそうにその光景を目から放さなかった。しかし、しばらくすると、その光景は松本の視界から姿を消した。
⭐️⭐️⭐️
読んでくださった方、ありがとうございます。今回は短めで申し訳ありません。