14話 昼休み
キーンコーンカーンコーン。
4時間目終了のチャイムが教室内に鳴り響く。
教室は弾けたように騒がしくなり、教員は1言だけ述べて退出してしまった。
騒がしい中、教室の戸が開け放たれた。前方と後方の両方が開放された。
前方からは羽矢が、後方から莉菜が入室した。2人共、片手に弁当箱を持っていた。
「やぁ!朝元!!」
「かずくん!!おつかれ!!」
羽矢と莉菜がほぼ同時に一輝に声を掛けた。
「どうしたんだ?2人共」
一輝は2人に目を行き届けてから、疑問を投げ掛けた。
教室内は相変わらず、羽矢と莉菜の登場に反応し、騒がしい。
その中でも、片山は苛立ちを隠さずにした。一方、松本は片山にびくびくとおびえている様子だった。
「あぁ。朝元と一緒に昼ご飯を食べようと思ってな。なぁ莉菜?」
「うん!私もだよ」
莉菜は羽矢に同意する。
「それはいいけど。どこで食べる予定なの?」
一輝は騒がしい周囲を気に掛けて、見渡す。何人かの生徒と目が合った。
「私はどこでも構わないぞ」
「私も」
羽矢と莉菜共に同意見を口にした。
「そうか。2人共、同じなわけね。じゃあ、俺が決めてもいい。ここでは目立つから屋上で食べない?」
一輝は羽矢と莉菜を交互に見た後、そのような提案をする。
「「あぁ〜〜」」
羽矢と莉菜は周囲の状況を理解し、何度か頭を縦に動かした。
「わかった!じゃあそうしようよ!」
莉菜の声に羽矢も反応し、首肯する。
「よし!じゃあ行くか!!」
羽矢の声を合図に、一輝は立ち上がる。
そして、3人は周囲に多大な注目を浴びながら、教室を退出した。一輝のクラスメイト達は、3人から目を放すことができなかった。
一輝達は談笑をしながら、階段を上がり、屋上に到着した。
「ここに座るか!」
一輝達は屋上に設置された長イスに並んで座った。
一輝は弁当箱を開けた。
「うわぁ〜。美味しそうだね〜〜」
莉菜は一輝の弁当を視認し、感嘆の声を漏らした。
弁当は2段式であり、1つにはおかずにたこさんウィンナー、卵焼き、ひじき、マヨネーズの掛かったブロッコリーがあった。もう1つには、白飯が詰められており、上には海苔でおにぃという文字が存在した。
「これ、美月ちゃんが作ったやつだよね?」
莉菜は興味津々に問い掛けた。
「あぁ。俺の弁当はいつも美月が作っているからな」
一輝は気持ちが篭った弁当を見つめながら、返答した。
「なんだ。朝元は妹に弁当を作ってもらっているのか!」
羽矢は馬鹿にした口調で、一輝を茶化した。
「そういう増本はどうなんだ?」
一輝はじろりと視線を走らせた。
「私か、もちろん母親に作ってもらってるぞ」
羽矢は得意げに胸をはった。それが原因で、羽矢の豊満な胸がより強調された。
「なんだよ!!!増本も俺と同じじゃねぇか!!」
一輝は思わず、勢いよくツッコミを入れた。
「まぁまぁ、とにかく早く食べようじゃないか!」
羽矢は一輝を軽くスルーして、弁当箱を開いた。
「そうだね!早くしないと昼休み終わっちゃうし」
莉菜が羽矢に賛同する。
「おい!増本!!スルーするなよ!」
一輝は口元を尖らせ、不満を口にする。
だが、一輝はすぐに状況を察し、不満を1言で留めた。
それから、3人同時に昼食を食べる前の挨拶をした。
「いただきます」っと。
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