11話 いきなり自宅に訪問
「おにぃ!おにぃ!起きて!!」
美月が自室のベッドで寝る一輝を揺する。2時間前まで、美月も隣で熟睡していた。
「うぅ〜ん。後、10分寝かせて」
一輝は重い目を瞑りながら、寝返りを打つ。
「ちょっと!おにぃ!!ダメだよ!!莉菜さんが家に来てるから起きて!!!」
美月は諦めずに、先ほどよりも強く一輝の身体を揺すった。
「えっ。莉菜が・・・」
一輝は驚きで目を醒まし、勢い良くベッドから起き上がった。
「なんで莉菜が?」
一輝はベットから降り、床に足を着ける。
「理由については聞いてないから、わからない」
美月は左右に頭を振った。
「とにかく、待たせてるのは確かだな。ありがとう美月!起こしてくれて!!」
一輝はお礼を述べた後、駆け足で自室を飛び出す。
「えへへ。起こしただけなのに、おにぃに朝からお礼言われた〜」
美月は嬉しそうに頬を緩ませた。美月の周囲からは幸せオーラが噴出している。
「あっ!かずくん!!おはよう!!!」
一輝が急いでどたどたと階段を降り切ると、ソファに座る制服姿の莉菜に元気よく挨拶をされた。
「お、おう。おはよう」
一輝は突然の挨拶に対応できず、歯切れが悪い返答をする。
「どうして?朝に俺の自宅を訪れたんだ?」
一輝は当然の疑問を口にする。上下青のパジャマ姿で。
「えぇ!?それ聞いちゃうの?」
莉菜は不思議そうな顔を露わにした。莉菜にとっては想定外の問いだったのだろう。
「それはね。今日、私がかずくんと一緒に登校したいからだよ」
莉菜は「まぁ、明日も一緒に登校するつもりだけど」と言葉を付け加える。
「なるほど。それにしてもいきなりだな。正直、びっくりした」
一輝は本音を吐露した。
「それはごめんね。先に連絡しとけばよかったね」
莉菜は申し訳なそうに両手を合わせた。
「今度からでいいから、事前に連絡してくれよ」
一輝は頭をぽりぽりと掻く。
「は〜い」
莉菜は軽いトーンで返事をした。幼馴染という関係性だから、可能なやり取りである。
「それと、俺、起きたばかりだから、学校の準備以前に朝食も取ってないんだ。だから、しばらく待たせるかもしれないけど大丈夫?」
「うん。大丈夫。それと、テーブルに美月ちゃんが用意してくれた朝食があるよ」
莉菜はキッチン近くのテーブルを指差した。確かに、一輝用の朝食が用意されていた。
その後、一輝は朝食を素早く平らげた。
「ごちそうさまでした」
一輝はぴったりと両手を合わせた。
「ねぇねぇ。おにぃ。ご飯作ったご褒美として頭撫でて」
美月が自身の頭を指差しながら、おねだりをする。
「うん。いいよ!」
一輝はおねだりを受け入れ、美月の頭を優しく撫でる。
「えへへ。きもちいぃ〜。落ち着く〜〜」
美月は情けない笑顔を浮かべる。
「相変わらず、かずくんと美月ちゃんはラブラブだね〜」
莉菜は意味深な表情で一輝に視線を送った。
「当然です!だって、兄弟なんですから!!」
美月は一輝に頭を撫でられながら、えっへんと胸を張り、腰に両手を添える。
「おっと。そろそろいいか。早く準備しないといけないからな」
一輝は美月の頭から手を離した。
「あっ・・・」
美月はあからさまに名残惜しそうな顔を示した。
「莉奈!すぐに準備するから、あとちょい待ってくれ!」
一輝は騒がしくどたどたと階段を駆け上がり、2、3分ほどでリビングに降りてきた。一輝はパジャマではなく制服を着ていた。
「よし。荷物もリュックサックに全部入ってオッケー。美月、戸締まりよろしくな」
一輝は美月の返事を耳にした後、莉菜と一緒に自宅を出発した。
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