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第24話 軍議

「……今日はこれで、終了です。任務ではないのに、わざわざありがとうございました」

「いえ、供給がわたしの仕事ですので!」

「では、テントまで戻りましょうか」

「あ、あの! ひとついいですか……?」


 立ち上がってまたものすごいスピードで歩いていってしまう前に、オリバーさんに問いかける。端整な顔の双眸がこちらを見つめる。こんな小さなわがままを言ってもいいのだろうか。不安になるけど、少し打ち解けた今なら彼も聞いてくれる。そう信じて彼の顔を真っすぐ見つめ返す。


「……オリバーさん、」

「はい?」

「歩くの、早すぎませんか……?」

「は?」

「戦場ではみんなあのくらいのスピードで歩くのかもしれませんが、わたしは戦場に不慣れなうえに、足の長さの差もあって毎回小走りで追いつくのがやっとで……」

「……全く配慮できていませんでした。たしかに、私が到着して数秒遅れて貴女が来ることが多かったですね。反省します」


 顎に手を当てて今日までの行動を思い出しながらそう言う彼にホッとする。わがままだ、郷に入っては郷に従え、と言われなくてよかった……。けれど、申し訳なさそうにするオリバーさんに少し心が痛む。彼が悪いわけではないから。


「以後、隣を歩くようにします。考えてみれば、その方が護衛もしやすいですしね」

「え! と、隣でなくても、ゆっくり歩いて頂ければ大丈夫です……!」

「いえ、隣で貴女をしっかりとお守りします」

「そ、そうですか……。ありがとうございます?」

「命令ですので」

「あ! いたいた! グレースちゃんも軍議、参加しろってさ!」


 やっぱり頑固な人だなぁと思っていたら、医療テントにディエゴさんが顔を覗かせてそう告げる。軍議? わたしが参加したところで何の役にも立たないと思うけど、呼ばれているなら従うしかない。3人で一番大きなテントへと向かった。


「おお、来たか来たか! これから始めるところだ。……それで、偵察部隊、どうなっている?」

「敵方の兵に少し動きがありました。おそらく、明日……」

「ふむ……。この配置なら間違いなさそうだな。明日、戦いが再開する想定で今日中に準備をしっかりしておけ!」


 軍議に出ている隊員たちが声を揃えて返事をする。慌ただしく動き始めたことで改めてここは戦場なのだと実感する。とうとう戦いが始まるのね……。思わずごくりと息を呑む。


「グレースさん、君の活躍も期待しているからな」

「は、はい! 精一杯頑張ります……!」


 少し声が震えているのが自分でもわかった。医療テントの位置なら、そうそう危険な状況になることはない。だけど、万が一戦況が変わって、もし、この戦いで死んでしまったら。最悪な結末を考えてしまって身体がぞくりとする。


「……大丈夫です。この隊は強いので」

「オリバーさん……」


 わたしの感情を読み取ったのか、隣にいたオリバーさんが優しく、けれど芯を持って声をかけてくれた。そうだ、この国は強いんだ。だから、きっと、大丈夫。

 それでも明日が来るのを恐れながらベッドで眠りについた。

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