26 これからのこと
温泉を出たサラは脱衣所でイリシアと別れると、ぽかぽかと火照った体に涼しさを感じたくなり、気持ちのいい夜風に当たるため外へ出た。
時間が時間だけに、人の気配がなくなっている寂れた村の道。
どこへともなく、当てもなく歩く。
見通しの悪い夜道における護衛役というわけではないが、風の精霊エアリンも一緒だ。
「もう、イリシアさんってば。まるで私をおもちゃみたいにして……」
年端もいかない子供みたいに頬を膨らませて言うが、なにもサラは本気で怒っているわけではない。不服があるのは事実としても、ちょっと拗ねているだけである。
イリシアからは大切に思われていることも、自分のことで心配させてしまっていることも、当然ながら彼女はちゃんとわかっているのだ。
サラにとってイリシアの存在は尊敬する先輩であると同時に、強くて凛々しい、憧れの人間像でもある。そして何より一人の友人としてサラのことを理解してくれるからこそ、緊張感は隠せずとも唯一甘えることのできる大切な人物であった。
だから、サラはイリシアのことで不満に思うことなど一つもない。
うっかり怒らせてしまったときは怖いと思うくらいで、本当に慕っていたのだ。
「イリシア先輩にはもう迷惑をかけたくないな……」
うつむいたまま呟いて、ひとたびそう決意すれば心機一転を願う。
いつまでも地面ばかり見てはいられないと思ったサラはゆっくりと夜空を見上げた。
あまたもの星がきらめいている空。その輝きに彼女は心を洗われて、美しく澄んだ気持ちになって力強く歩き出した。
ところがしばらく夜道を歩いて、そろそろ引き返そうと思ったときだ。
「タイヘン!」
静寂を打ち破るがごとく、突如としてエアリンが叫んだのである。
「ど、どうしたの? 何が大変なの?」
「モエテル! ナニカ、モエテルヨ!」
慌てふためき、緊急事態を伝えるようにサラの顔の周りをバタバタと飛び回るエアリン。
何を感じているのか彼女にはわからないが、ただ事ではない様子だ。
「どこかで何かが燃えているって? わかるの、エアリン? だったら私を案内して。すぐに、お願い!」
「ウン! ホラ、コッチ!」
そう言うと、迷いなくエアリンはどこかへ向かって一直線に飛び始めた。
おそらくエアリンは風の精霊だからこそ、うっすらとした煙の臭いを含んだ風の流れを敏感に感じ取って、遠く離れた場所で何かが燃えていることを察知したのだろう。
心に漠然とした不安を抱いたまま、とにかくサラは精霊を追いかけた。
その後、エアリンに導かれたサラが現場にたどり着いたとき、その見慣れた薬屋は炎上していた。
「アイーシャさん、アイーシャおばさん!」
むき出しの炎は壁や柱といった木材を容赦なく燃やしており、すでに半分ほど崩れた屋根からは、黒一色ではなく美しい七色の煙が立ち上っていた。
どう見ても一般的な火事によって発生する普通の煙ではない。たくさんの特殊な薬の効力を無効化しながら焼却処分するとき、その特殊な反応によって、このような美しい虹色の煙が出ることがあるのだ。
強いものから弱いものまで様々な効果を持っている魔法の薬は、ただ処分するだけでも注意が必要なものである。危険な魔法薬を何種類も扱っているアイーシャの薬屋では、売れ残って不要になった大量の魔法薬を安全に処分する必要があった。
おそらく今回も正しい処分方法に則って魔法薬の在庫を一斉に焼却処分していたのだろうが、それにしても薬屋ごと炎上しているのは不可解である。しかし七色の煙が出ているということは、これが偶然の自然発火や不届き者による放火でもなく、正しく作法を知っている何者かが意図的に火を付けたものであるということを表している。
かろうじて形をとどめていた扉を蹴破るようにしてサラが開け放つと、すでに室内の大部分に炎が走っていた。
なんとか基礎的な骨組みが残っているものの、そう長くはもつまい。
急がなければ完全に倒壊する。
「アイーシャさん!」
息苦しいほどに煙が充満する室内へ慎重に足を踏み込んで必死に目を凝らすと、奥のほうに倒れている人影が見えた。この薬屋の店主にして、エイクの祖母でもあるアイーシャだ。
かすかに息が残っているのは奇跡的だったかもしれない。
だが、ごうごうと燃え盛る炎の勢いから判断すると時間的な猶予はない。
思わず駆け寄ろうとしたサラだったが、それを邪魔するように激しい火の手が噴き出してきて行く手を阻んだ。
あまりの熱さに足が動かず歯がゆい思いをしたものの、このままでは近づくことができそうにない。彼女が使えるのは光の魔法であって、水や火の魔法ではないのだ。
「エアリン、お願い!」
「ヤッテミル!」
こんな時こそ自分の出番だと、気張って答えたエアリンは行動が早かった。
小さな体で精一杯の風を起こすと、精霊の能力によって操られた風が周囲の炎や熱をほとんど完璧に制御して、炎上する薬屋の内部に一直線の道を作り出したのだ。
「アイーシャさん、今行きます!」
エアリンによって作られた建物の奥へと続く安全な道をサラは一足に駆け抜けた。
そして床に倒れていたアイーシャの体を抱きかかえると、ただちに火の手から逃れるべく、急いで外へと引き返す。
激しく炎上する薬屋から無事に抜け出すことの出来たサラは緊張の糸が切れたのか、外に出た瞬間、その場に倒れてゲホゲホと咳き込んだ。
それでもなんとかアイーシャを助け出すことができたのだ。
するとギリギリのタイミングで限界を迎えたのか、サラたちの背後で薬屋が爆音を響かせながら崩壊した。その衝撃で周囲に煙が噴き出して、火の粉よりも大きな火の塊が無数に飛び散るが、幸いにもサラたちの身に危険は及ばなかった。
「大丈夫ですか、しっかりしてください!」
「う、うう……」
安全な場所まで離れた後、サラが懸命に呼びかけ続けていると、意識を失っていたアイーシャがようやく目を覚ました。
「アイーシャさん!」
「あ、あら、ひょっとしてサラちゃんかい? もしかして、あなたが私を助けてくれたの? まさか……そんな、ごめんね。こんな私を助ける必要なんてなかったのにねぇ……」
「助ける必要がなかったなんて、そんなこと言わないでください!」
彼女の言葉を打ち消すようにサラは言ったが、アイーシャは首を横に振った。
「本当に助けてもらう必要なんてなかったんだよ。だって、これは自分で火を放ったんだからね……」
「そんな……自分で火を放ったなんて!」
衝撃的な告白にサラは驚いたが、うすうす勘付いていたのも事実だった。
なにしろ狭い村のことだ。誰かが隠そうとしても噂が広まるのは早い。
もしも今回のデビルスネーク騒動の首謀者が彼女の孫であるエイクであったと知ってしまったとき、そして彼が死んでしまったことを知ったとき、あの心優しいアイーシャはどう考えるのだろうと、実を言えばサラはずっと心配していたのだ。
お互いに恋心を通じ合わせるほどエイクと親交のあったサラは、その祖母であるアイーシャとも少なからず親交があり、ただの顔見知り以上の深いつながりがあった。
そのため、他の何よりも孫の存在こそが一番に大事だった彼女の心の弱さだって知っている。
何がそうさせたのか、脱力したようにアイーシャは薄く笑った。
「だけど、しょうがないんだよ。あのエイクがしでかしてしまったこと、もうサラちゃんも知っているんだろう? あの子が犯してしまった過ちのことを」
「それは……っ!」
「いいよ、いいんだよ。サラちゃんは責任を感じなくったって」
そう言って、切なそうに眉を曇らせたアイーシャは深くため息を漏らした。
「あの子は昔から優しい子だったんだよ。人一倍の正義感に溢れていて、誰よりも勇敢だったんだよ。なのに、それがこんなことになって……。守れなかったのは私のせいだものねぇ……。こうして村のみんなにも迷惑をかけてしまったことだしねえ……」
――だから、私が死んでお詫びするんだよ。
そんなことを認めるわけにはいかなかった。
許せるはずがなかった。
自らの意志で死を決断した彼女の悲壮な覚悟が悲しくて、何も出来ない自分が悔しくて、そして何よりも罪悪感に苦しめられているアイーシャのことを助けてあげたくて、必死に声を絞り出したサラは懸命に訴えかける。
「お願いです! エイクさんのためにも、どうか死なないでください! 村を守ろうとした彼の意思を受け継ぐ覚悟こそが、亡くなったエイクさんへの供養になるだけじゃなく、村の皆さんへの罪滅ぼしにもなるはずです! だから、だから……!」
「サラちゃん……」
「生きて、そして、ずっと見守っていてください! きっと私が、私が……!」
それ以上は言葉にできなかった。
上手く言語化できない様々な感情が溢れて、サラは涙をこらえるのが精一杯だった。
そんなサラの悲痛な姿を見たアイーシャは、このまま泣き崩れてしまう前にと、よろめいた彼女を支えるようにして強く抱きしめる。
「ごめんなさいね、ありがとうね。エイクのことを、こんなにも想ってくれて……」
このとき、サラとアイーシャの二人は同じことを思ったのだろう。
あの優しかったエイクとの思い出を守るには、自分たち二人が強く生きていくしかないのだと。
問題がすべてなくなったわけではないにせよ、ひとまず落ち着きを取り戻したリンドルを後にしたアレスタたち。
何事もなくベアマークに帰り着いてから、早くも数日が経過した。
しばらくの間は騎士としての仕事が立て込んでいたようで、普段以上に慌しく動き回っていたサラだったが、最近になってようやく落ち着いてきたらしい。
細々とした用事の合間を縫って、ギルドに詰めていたアレスタたちのもとへ報告に訪れた。
「ベアマークに潜伏していた他の主義者は一人残らず逮捕されました。これでしばらくは安全かと思われます」
「そうですか、それはよかった。ひとまず安心ですね」
「はい。ぜひ安心していただければ。もちろん、念のためしばらく警戒態勢は続きますが、それも騎士の仕事ですから。我々にお任せください」
そう言ってサラは力強く自身の胸に手を当てた。
使命感に燃えているのか、どことなく誇らしげな様子だ。
これにはアレスタも苦笑を隠せなかったが、一応は念を押しておくことにする。
「その言葉は頼もしいですけれど、街を守る責務がある騎士だからって無理はしないでくださいね。休めるときにはちゃんと休むことも必要ですから」
「……そうですね。肝に銘じておきます」
「でもサラさん、どうか安心してください。これから先、何か重大な事件などがあった場合には、俺たちもギルドとして全面的に協力していくつもりですから。きっと役に立ってみせますよ」
「はい。皆様のご活躍には私も期待しています」
今回の騒動を受けて色々と思うところのあったアレスタとイリシアは、彼女が来る前に今後のギルド経営について話し合っていた。
結果として二人は、これからのギルドは単なる街の便利屋というだけではなく、むしろ率先して悪に立ち向かうべきだとの、どちらかといえば積極的な方針を打ち立てたのである。
当然ながら依頼料との兼ね合いはあるのだが、どうしても事務的で後手に回りがちな騎士団とは別種の、小規模であるがゆえに小回りのきく組織として、街の人々の不安を解消するために役立てればいいと考えたのだ。
それを知ってか知らずか、安心した表情で礼を言ったサラは頭を下げた。
「それでは失礼いたします」
「ええ、またいつでもいらっしゃってください」
そうしてサラがギルドを去った瞬間である。
椅子から立ち上がって彼女を見送っていたアレスタのもとへ、ふらふらとした足取りで浮かない顔のニックが歩き寄ってきた。
物陰から二人の会話を盗むように聞いていたニックは、どうやら妹であるサラのことを心配しているようだ。
「サラの奴、相当まいっているみたいだったな。ああして気丈そうに振舞ってはいるけれど、血のつながった妹のことだから僕にはわかるよ。うん、よくわかる。あいつは強い人間じゃないんだ。泣き虫で、臆病で、けれどとっても優しい、誰よりも責任感のある子だから……」
そこまで言って、ニックは困ったように深いため息を漏らす。
「なんだか無理をしているみたいで心配だなぁ」
お気楽で知られるさすがのニックも、自分の妹のことになると不安や心配を隠せない。いつになく声も沈んでおり、自分のことのように気をもんでいるのがよくわかる。
もちろん、平気そうに見えてもサラが無理をしているかもしれないと不安視するニックの意見にはおおむね同意だったので、いかにもな困り顔のニックと一緒になって、アレスタも彼女への心配をあらわにした。
「俺だってサラさんのことが心配だけど、こればかりは治癒魔法で簡単に解決できることじゃないからね。時間はかかるかもしれないけれど、ゆっくりでもいいんだ。彼女が苦しんでいるなら、俺たちが力になってあげようよ」
「そうだね。……ねえ、アレスタ。僕は自分で自分が頼りにならないことを自覚しているんだ。だから僕は君のこと、友達や仲間として本気で頼りにしているよ」
「うん、俺にできることは善処する。だけどニックも頑張ってよ。俺だって友達や仲間として信頼しているんだ」
アレスタはそう言ったが、苦笑するニックはやっぱり頼りにならなそうだった。
リンドルに出現したデビルスネークに関係する一連の騒動が一段落したころ、いつもの日常に戻ったアレスタとイリシアは予定を合わせて二人で一緒に外出した。
目的地はイリシアの父、カイナが眠る病室である。
「テレシィ、頼めるかな?」
「ウン!」
アレスタの頼みを受けた肩代わり妖精は嫌な顔一つせず、もちろんとばかり元気いっぱいに答えた。
そして病室のベッドで眠ったまま目を覚まさないカイナの胸元へと座り込むようにして羽を休める。
それからいつものように不可視の扉を開いて精神果樹園の中へ入ったのか、テレシィの姿が消えた。
どうやらそれで準備が出来たらしい。
「それじゃあ、いきますよ」
「お願いします」
緊張したイリシアが答えるのを聞いて、ゆっくりと呼吸を整えて己の精神果樹園を開いたアレスタは治癒魔法を使用する態勢に入った。
もちろん今ここで治癒魔法を使う対象はカイナである。
原因不明の病状により十年もの年月にわたって眠り続けているカイナのため、ようやく自分以外の人間にも使えるようになった治癒魔法を試してみることにしたのだ。
なぜテレシィを介すると治癒魔法が他人にも効力を発揮するのか、その原理がアレスタにもよくわかっていないのもあって、ちゃんと成功するのかどうかは不明だ。
だが、挑戦してみる前から諦めてしまうのは情けない。
どうか目を覚ましてほしいと、心から父の回復を願ったイリシアは手を組んで見守る。
「どうか、どうか……」
だが、神妙なる彼女の願いも天には届かない。
いくら待ってみてもカイナの反応はなく、治癒魔法の効果は得られなかった。
「ゴメン。ダメミタイ……」
「……やっぱり駄目だったか」
目を閉じたままでいるカイナの精神果樹園を抜け出して姿を現したテレシィは首を左右に振り、手応えのなかったアレスタは落胆する。
まだまだ未熟なアレスタの治癒魔法はテレシィの手助けがあっても完璧な治癒能力をもたず、眠り続けているカイナの病気を治すほどの強い効力はないらしい。
「すみません、イリシアさん。どうやら俺の治癒魔法ではカイナさんを助けられないみたいですね……」
「いえ、謝らないでください」
依然として静かに眠ったままでいる父親の顔を見つめ続けていたイリシアは、そこで初めてアレスタに向き直る。
自然と二人は至近距離で見つめ合う格好になった。
「私、アレスタさんには感謝していますから」
そう言ったイリシアはすでに過去への妄執を振り切ったようであり、とても穏やかな表情をしていた。
もう二人の間に以前のような気まずい沈黙はない。
義理や建前などではなく、心から出たに違いない彼女の言葉が嬉しかったのか、安心したアレスタは微笑みを返した。
「ありがとうございます。けれど、それは俺もですよ」
それから、そろって病院を出た二人がギルドの入り口まで戻ってきたときのことだった。
アレスタの少し前を歩いていたイリシアがギルドの扉の前で立ち止まり、なにやら意を決したように振り返ったのだ。
「お願いします、アレスタさん。これからは私の都合のためだけではなく、ギルドの一員として、それから……ぜひ、あなたのためにも、どうか私をここにいさせてください。私はギルドの、あなたの力になりたいのです」
腰を折るようにして、深々と頭を下げるイリシア。
まるで他人行儀だ。
イリシアはアレスタに向かって頭を下げたまま、いかにも律儀な彼女らしい丁寧な口調で、さらに続けてこう言った。
「どうか私を、あなたにとって本当の仲間にしてください」
おそらくこれは、イリシアにとって大事なことなのだろう。
騎士団に所属していた名残もあって、不誠実さを許せない生真面目な彼女のことだ。
このままギルドの中へ入ってしまう前に、すれ違いが原因で一度は微妙な距離感となっていたアレスタとの関係について、ひとまずは彼女なりの決着を付けたいのだろう。
「そうですね、イリシアさん。そう言ってもらえて俺も嬉しいですよ。だけど、俺から一つだけ条件があるんです」
「……条件、ですか?」
すんなりとは受け入れてもらえず、一体どういうことだろうかとイリシアは顔を曇らせる。
あまり深刻に受け取られることのないようにと、慌てて手を振ったアレスタは笑って答える。
「心配しないでください、とっても簡単なことですから。お願いだからイリシアさん、もう俺に向かって敬語を使うのはやめてほしいんです。これからは対等な関係でいきましょう。それだけが俺からの条件です」
「……うん、わかった。でも、アレスタさん……いや、アレスタもそうして?」
そう言って、どこか照れ臭そうに頷いた彼女は穏やかに微笑んだ。
まだまだ遠慮がちではあったものの、それでもイリシアはアレスタに向かって真っ直ぐに右手を伸ばす。
「これからも一緒にがんばろうね、アレスタ」
お互いに照れつつも、ここは顔をそらすような場面ではないと、きちんと向き合ったアレスタとイリシアはお互いに握手を交わした。
強制力を持った契約ではない。
これは仲間として結ぶ一つの約束だ。
けれど強い絆となるだろう。
握り合った彼女の手は柔らかくて、暖かくて、いかにも年頃の少女といった繊細な感触だったけれど、このとき握り締めたイリシアの右手は、アレスタにとって他の何よりも頼もしく感じられた。
――これからも俺は君のため、そして苦しむ人々を救うために、今の自分にできる精一杯のことを努力していきたい。
彼女の手を握っていると、アレスタには自然とそう思えた。
「そうだね、イリシア。これからも大変なことはたくさんあるだろうけど、あきらめずに二人で一緒にがんばろう。君とならやっていける気がするよ」
この世界の誰もがみな、自分と自分以外の誰かのために、いつだって精一杯に生きているのだと思いたい。
人々はお互いに助け合って生きているはずなのだ。
そう思えたなら、自分も同じようにするだけだから。
これからも誰かの力となっていきたい。なれるように努力するのだ。
そう思うアレスタだった。
第二章 君のために <完>




