19 村の青年たち
現状、リンドル自警団は団長であるエイクだけを残して解散していた。
長き伝統と実績を残してきたリンドル防衛のための武装組織であるが、その隊長に一切の妥協を許さないエイクが就任してからというもの、彼の厳しさに耐えられなくなった若き団員たちが相次いで脱退したためである。
いつの時代からかリンドル生まれの優秀な魔法使いは都会に憧れ、一人前に成長すると自分の能力に見合った環境を求めて村を出て行くようになった。そんな時代の影響もあるだろうが、リンドル自警団を組織していた若者の中に魔法を得意とする者は多くなかった。
もともと人口も少なく平和な村だ。のんびりと暮らす人々の間で、危機意識が急速に失われつつあったのも事実なのだろう。
十年前にリンドルで発生した事件、つまりデビルスネーク襲来の時を振り返って判断すれば、当時のリンドル自警団はまるで役に立たなかったといってもいい。あの怪物を退治したのは村に常駐していた自警団ではなく、村の騒ぎを聞きつけてベアマークから派遣された騎士団だった。
しかも対処に当たった当時の騎士団は非常に優秀であったため、かえって一つのミスを犯す。
不完全体だったデビルスネークを素早く退治すると、その怪物についての情報が悪用されぬように秘匿するため、すべての村人の記憶を封印する大規模な魔術を施してしまったのだ。
それは村人たちの心に芽生えつつあった危機管理の精神を見事に消し去り、村の平和な歴史しか思い出さない安易な人々を大量に生み出したのである。
それは間違いなく、自警団の衰退に結びついた。
――村の平和を守るのも、街の騎士に任せればいい。
それが、今の村人に広まっていた暗黙の了解であったのだ。
もちろんベアマークの騎士団としても無策ではなく、定期的にリンドルを巡回して治安を守っている。
しかしながら、高度魔法化都市計画を推し進めるベアマークの治安維持を優先するためか、昨今は寂れつつある農村リンドルへの巡回を軽視する傾向が騎士団にはあった。
ここ数年はより顕著で、そのためリンドルからの連絡を聞きつけた街の騎士が到着するまでは時間がかかるようになっている。
それまでは村の平和を村人たちが自らの手で守らなければならない。
いかに襲い掛かってくる敵が強大であろうと、そうするより他に防衛の手段は残されていないのだから。
「くそっ、この化物め!」
先頭に立った一人の青年は毒づくものの、そう言ったそばから体勢を崩して足を踏み外した。
かといって、彼は怪物から直接的に攻撃を受けたわけではない。
森を抜けて村を目指すデビルスネークの移動に伴って発生する地響きが、臆病風に吹かれていた彼の足元をふらつかせたのだ。
「て、撤退しましょう!」
「馬鹿を言えっ! まだ何もしていないうちから逃げ出せるものか!」
「ですが今の我々では勝ち目がありません! 足止めさえも不可能でしょう!」
「そんなことわかってる! わかっているが逃げられねぇ! だから俺たちはもう一度、こうして臨時のリンドル自警団として立ち上がったんだろうが!」
臨時の自警団として集まった仲間たちから当面のリーダーを任された彼は、自分では勇ましいことを叫んだつもりだったが、その声は頼りないほどに弱々しく震えていた。それっぽく構えた剣も錆び始めている。
ただし、それも無理はないことなのだろう。
なにしろ一度は自警団を脱退した彼らだ。
本音を言えば、明らかに訓練不足の彼らには手に余る事態であり、規格外の怪物を相手にして一体どう戦えばいいのかもわからないのだ。
「とにかく隊列を組んで魔物の動きを止めるぞ! おそらく街には連絡がいっているはずだ! 騎士団の到着まで持ちこたえられればいい!」
「りょ、了解ぃ!」
この場に集った彼らは一時的に再結成されただけの、いわば急場しのぎの自警団である。
本来ならば正式なリーダーであるエイクにこそ非常時に対する期待と責任は集められていたが、肝心のエイクがどこにも見当たらなかった。
そのため暫定的に元自警団のメンバーが集合して、慌てふためきつつもデビルスネークの対処に当たることになったのだ。
戦うために必要な訓練や準備を一切していなかったのだから無理もないが、普通の魔物とは段違いに強力な怪物であるデビルスネークが相手では、再結集された自警団はうまく機能することもできず、まるで歯が立たない。
体力的にも精神的にも戦士としては未熟であり、まったく勝ち目のない戦いを前にして統率らしきものがとられていたことは奇跡的である。文句を言いつつも逃げ出す人間が一人も見当たらなかったのは、訓練されることなく育まれてきた彼らの郷土愛のなせるわざであろう。
あるいは破れかぶれの蛮勇か、もしくは単純に無我夢中だっただけかもしれないが。
しかし正しい引き際を知らない素人の戦闘集団は、時として無慈悲な全滅を招き寄せる。威勢だけではどうしようもない相手を迎えたとき、ごり押し以外の作戦を臨機応変に打ち立てることが出来ないのである。
「うわぁぁぁ!」
不幸な犠牲者が一人、デビルスネークの気まぐれによって選ばれた。
八つあるデビルスネークの顔のうちで一番端にあった首が伸びてくると、それとは別の首に気を取られていた一人の若者を狙って大口が開かれたのだ。
「く、くそったれ! 離せ! この怪物め!」
怪物の巨大な口に上半身をすっぽり飲み込まれた彼は懸命に抵抗を始めた。
鋭いキバによって体をがっちりと挟まれた青年は首の動きとともに地面から高く持ち上げられたが、そこで古めかしい剣を握りなおすと、一世一代の力を込めてデビルスネークの口の内側に突き立ててねじ込む。
せめてもの反撃だ。
ところが奮闘する青年の横から別の首が迫り、むき出しだった彼の下半身を襲った。二つのヘビ頭が彼の体を頭と足の両側からくわえると、ためらいなく上下に引きちぎった。
わずかな瞬間の出来事だ。
だらりと大量の血をたらした青年の上半身と下半身が、それぞれ別々の首に飲み込まれる。
命ある一人の人間を、デビルスネークはいとも簡単に捕食してしまったのだ。
「ひいいっ!」
何年も一緒に暮らしてきた村の仲間が食べられてしまった衝撃はあまりに大きく、彼の仲間たちは悲惨な光景を直視していられなかった。これが戦闘の最中だということも忘れて、ただ呆然と立ち尽くす者も多かった。中には失禁する者もいただろう。
あまりにも無防備である。
一時のリーダーとして選ばれていた青年は、これでは第二の犠牲者が出るのも時間の問題だと直感した。それと同時に、この切迫した状況においては彼の判断が全員の命運を左右するのだとも確信した。
責任が重くのしかかる。
とりあえず、混乱した状況を打破するためにも指示を出すことだ。
実際のところ具体的な方策など何一つ思い当たらなかったのだが、この場では何も言わないことこそが最も危険であると結論付けたのである。
統率のとれていない集団ほど危険なものはない。
嘘や虚勢でも構わないから、とりあえず組織としてのまとまりがほしかった。
「敵の前で腰を抜かすな! 急いで体勢を立て直すぞ!」
「立て直す、ですって? こんな状況から、どうやってですか!」
自警団の仲間たちは素直に従ってくれるものとばかり思っていた彼だったが、とっさに返ってきた声は戸惑いを伝えるものであり、不安と恐怖に震えていた。その声色は複雑で、リーダーの素質がないと彼を非難しているかのようでさえあった。
これにはさすがにうろたえた彼としても、自分の頭で考えようとしない団員に向かって文句の一つくらい言い返してやりたくなったが、今は仲間割れしている場合ではない。
自分から「体勢を立て直す」と命じた以上、どのように陣形を取るのかを説明する必要もある。でなければ誰も彼の命令に従いようがないのだから。
「ええい、二列横隊だ! 半円形になって、奴を取り囲め!」
「了解!」
身を守るための手段を持たない小魚も、自分が襲われたとなれば大量の群れになって大型の魚に対抗する。一匹では立ち向かえなかったとしても、集団の力は場合によって個体差の壁を乗り越えるのだ。
おびえながらではあったものの、孤立することを避けた彼らは指示に従って隊列を組んだ。一人ひとりの内心が逃げ腰であろうと、結局のところ彼らはこのままデビルスネークを突破させるつもりなどないのだ。
ところが、ここで問題が発生する。彼らの新たなる陣形を見て闘争本能が刺激されたのか、不気味にうごめき始めたデビルスネークがゆっくりと前進を再開したのである。
妨害する彼らを威圧するかのごとく、八つの首が順繰りに雄たけびを上げた。
デビルスネークを中心として巨大な爆発があったのかと疑うほどの声。
大地と大気をまとめて揺らす、おぞましい咆哮である。
勇敢にも自警団として自主的に再結集した彼らではあるが、個人に目を向ければ普段はあきれるほど温厚な村人たちであり、小さなヴォルフを相手にしても逃げ出しかねない戦闘の初心者なのだ。
これには一人の例外なく尻込みせざるを得なかった。
戦って勝てる相手ではない。ほぼ全員が逃げることを考えた。
「む、無理です! やはり不可能です! このままでは全滅です! ひとまず安全な場所まで撤退しましょう!」
「ばっ、馬鹿やろう! ここで俺たちが引いたら村はおしまいだぞ!」
「おい隊長! それはわかるが、だからどうした! この際、村が終わっちまったって関係ねぇ! どっかの町で新しく生活を始めればいいさ! こんな田舎の村なんかなくなったって、やっぱ命のほうが大事だ!」
「な、なんてことを……! ああ、しかし俺も本心を言えば怖い! 恐ろしいのだ! リーダーの役目など重すぎて……。ここにエイクさえいれば……!」
たくさんの人間を集めても太刀打ちできない歯がゆさや、己の弱さを悔いるようにきつく唇を噛み締めながら、ゆっくりと怪物から距離をとって後ずさりつつ、リーダーを任された青年は頭をひねった。
何か方法はないか、と。
けれど必死になって打開策を考える彼にしても、客観的に見れば自分たちが敗色濃厚であることは否定しようがなかった。せめて全滅までの時間をいかに長引かせられるか、それだけが問題であった。
そもそも彼らは素人の寄せ集めなのだから、まさか怪物相手に勝てるとも思ってはいない。街の騎士が到着するまでの時間を少しでも稼げれば十分な戦果だった。
「ええい、あと少しだけだ! 少しだけ頑張れれば、それでいい!」
「……ああ、もう! 少しだけ、ですからね!」
この絶望的な状況でいったい何が彼らを奮い立たせたのか、おそらく彼ら自身にもわからなかったことだろう。ひょっとすると死を覚悟するほど精神的に追い詰められたからこそ、かえって火事場の馬鹿力に目覚めたのかもしれない。
先ほどは弱気になって逃げ出そうと叫んだ若者も、今となってはそれ以上騒がず、圧倒的なデビルスネークの姿に威圧されつつも退こうとはしなかった。そんな彼は自分の勇ましさを自分でも不思議に思っていたが、実のところ半ばやけくそなのだろう。
窮鼠猫を噛むとはよく言ったものだ。
対して、獲物の品定めするように彼らを見比べていたデビルスネーク。八つの首を空に向けて遠吠えすると、そのすべてを震わせる。あたかも地の底から響いてくるような不気味さに満ちた怪物の唸り声は、再び彼らの心を恐怖で揺さぶった。
またしても臆病風が吹き荒れそうになったところを、しかし彼らは懸命に持ちこたえた。
お互いに顔を見合わせる。無言のまま奮闘を誓い合う。
そして、この場に居合わせた全員が悲壮の覚悟を決めかけたときだ。
彼らの後方から、無謀な突撃を呼び止める叫び声が聞こえてきた。
「待たせたな、大丈夫か!」
「おお、待っていたぞ!」
振り返って答える彼の声は明るく弾んでいた。
無理もない。なにしろエイクを探して薬屋へ向かった青年が戻ってきたのだ。
ところが、どういうわけか期待していたエイクの姿はない。全身に汗を浮かべている彼の背後には、なぜか涼しげな表情を見せるブラハムだけが控えていた。
と、そのブラハムの姿を見つけた瞬間、それまでデビルスネークに漂っていた凶暴な闘志が失われていく。
事情を知らない彼らにとっては不思議な反応だったが、薬によって主従関係にあったブラハムの到着とともにデビルスネークの動きが止まったのだ。
予期せず会話をする余裕が生まれたことを知ってか知らずか、再結成された自警団の臨時リーダーを務めていた青年が慌てて問いかけた。
「おい、そんなことよりエイクはどうしたっ? 俺たち自警団はここにいるんだぞ、肝心のリーダーがいなくちゃ話にならないじゃないか!」
「だめだ、エイクは家にもいなかった! エイクの代わりにブラハムさんを連れてきたが、あいつはどこかに消えた!」
「くそっ、あの役立たず! いつも威張り散らしていたくせに、いざって時に村を見捨てやがったのか! まさか一人で先に逃げ出したのかよ!」
すると周りで会話を聞いていた他の青年たちからも、次々と怨嗟の声が漏れる。
「なんだよそれ、エイクの野郎! 俺たちを馬鹿にすんなよな!」
「こんな大変な村の一大事に自警団リーダーが姿をくらますなんて! 無責任にもほどがあるぜ!」
非日常の権化たるデビルスネークへの恐怖や絶望感から発生したに違いないストレスが発端となって、姿なきエイクに対する非難の連鎖が広がっていく。
――こうなったのは何もかもエイクが悪い。
――本物の自警団リーダーにこそ、すべての責任と原因がある。
ここに至って再燃したエイクに対する憎悪や嫉妬。
それはあらゆる責任転嫁であり、精神的に追い込められた彼らにとっては現実逃避の手段だった。
かつて無責任な理由で自警団を脱退した彼らが今さらになって正義感を出し、この場にいないエイクを槍玉にあげてスケープゴートにしようとしているのだ。
最初は低くて聞こえないほどの、しかしやがて堪えきれなくなったのか、最後には愉快に高らかな調子をもって、それまで黙って聞いていたブラハムが笑い声を上げた。
遠慮なくエイクを罵り合っていた彼らも、突如として聞こえてきたブラハムの不可解な哄笑には驚きを隠せない。
「ど、どうされました? 何がおかしいのですか?」
「君たちはいい、しばらく下がっていろ。ここは私に任せてくれたまえ」
「は、はい……」
半ば問答無用といった様子で、冷笑をたたえたブラハムは彼らを下がらせる。
たった一人で前に出ると、すでに落ち着きを取り戻していた怪物のもとへと歩み寄っていく。
それを見守る彼らからすれば、とても頼もしい姿として映ったことだろう。
「すごい、あの化け物がおとなしくなっている……。さすが魔法学者、さすが自警団顧問だ」
「ああ、本当だな。これならエイクなんて最初から必要なかった。ブラハムさんさえいてくれれば、きっと村は安泰だ」
「ブラハムさん、そのまま怪物を退治してください! お願いします!」
いつの間にか逃げるように安全圏まで退いていた彼らは一斉に声を上げ、単身で怪物に立ち向かったブラハムに一方的な期待を寄せる。
だがブラハムは彼らの声援を無視して、至近距離から向かい合って対話するかのようにデビルスネークの前で立ち止まった。
「これはプレゼントだ」
そう言って彼が取り出したのは、薬屋で調達してきたばかりの魔力増強剤だ。その小さなカプセルを手元で割ると、忠犬のような態度でブラハムを見下ろしているデビルスネークに投げつけた。
薬の正体を知らない青年たちから見れば、ブラハムが投げつけたのは攻撃作用のある劇薬だと思ったことだろう。
つまりデビルスネークを退治するための行動に見えたはずだ。
しかし実際には正反対だった。
ブラハムは怪物のために魔力増強剤を与えたのである。
与えられた強力な魔力増強剤によって強制的に体内の魔力を高められたデビルスネークは、その巨大な体から四方八方へと黒々とした怪しい輝きを放ち始めた。
それは影を放つ、暗黒の光。
いかにも禍々しい闇のオーラである。
「なあ、エイク、悲しいとは思わないか。なにも彼らだけではない。君が守りたいと言った世界なんて、所詮はこの程度のものだ。魔法による不幸と不平等と疑心暗鬼。あるいは責任転嫁と差別意識。魔法を持つ者と持たざる者が同じレベルで繰り広げるくだらない見栄の張り合い……」
「ブラハムさん?」
なにやら様子がおかしいと悟ったのか、うっすらと懸念をはらんだ若者の呼びかけはしかし、すでに自分の世界に入り込みつつあるブラハムに届かなかった。
悲しげに微笑んだブラハムは切実に声を振り絞り、十六もの瞳によって彼を見詰めている、もはや従順な使い魔となったであろうデビルスネークを見上げた。
「そこからなら正しく理解できるだろう? 私が一度、きれいに世界を滅ぼそうとする意味が」
――世界は滅ぼされなければならない。
それは一つにはブラハム個人の妄執であり、また同時に、この世界から魔法を消し去るため暗躍する反魔法連盟が主張する過激な思想でもあった。
それは魔法の存在を認めた上で世界平和を望む騎士団や自警団とは決して相容れることのない、まるで救いようのない悲しい極論である。
魔法の恩恵を日々の生活に溶け込ませようとする風潮が世界的な規模で広まった現在、魔法と魔法使いの存在を全否定する反魔法連盟の主張はもはや時代錯誤であり、根絶やしにするなど到底受け入れられるものではなかった。
結果とし自己犠牲によって悪魔の怪物を召喚させられたエイクも、本来ならば反魔法連盟の過激な主張を否定する側の人間である。
「――――!」
しかし悪魔の怪物への不可逆的な変貌は、平穏を愛するエイクの優しさや希望を強引に摘み取っていた。
召喚の代償としてデビルスネークに取り込まれたエイクはその内側で懸命に何事かを叫ぼうとしたが、もはや人間として意味を持った言葉を発することはできなかった。
かろうじてエイクの理性と呼べる意識の一部が今も失われることなく続いているものの、それも弱々しくおぼろげなもので、いつ消えてしまうか……。
このままではいずれ、理性のない凶悪な怪物に成り果ててしまうだろう。
怒りとも悲しみとも受け取れるほどに曖昧で、けれど不気味な地響きが、デビルスネークを中心にして村を駆け巡った。
泣き喚いた怪物の咆哮だ。
それを不快な音ととして認識した自警団メンバーは耳をふさぎ、恐怖に胸を締め付けられる。同時に彼らはその言いようのない絶望の中で、目に闘志をともらせていくデビルスネークとブラハムの姿を交互に見比べていた。
悩み苦しむ弟子を導く師匠のような表情で、かつてエイクだったものの姿を振り返ったブラハムは、その怪物へと高らかに命じる。
「さあ、デビルスネークよ。手始めに彼らを消してしまいなさい」
淡々とした声色で残酷な命令を下したブラハムの言葉に驚愕した彼らを全滅させるのに、わずかながらに人間としての部分が残っていた心を殺してしまったデビルスネークは、もはや全力を出し切るまでもなかった。




