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第14話 お嬢様からの看病のお誘い


 体育の授業が終わると同時に、俺はひっそりと教室に戻った。静稀のことで遊馬が責め立てて来ると思っていたからだ。


 しかし予想外なことが起きた。

 どうやら遊馬の彼女である利愛が、やきもちをしたらしく遊馬をずっと責め立てていた。


 その光景を見ていたクラスメイト。

 周りからは「ざまぁ」や「いい気味だ」といった、冷ややかな声が上がっている。


 行き過ぎた態度を煙たがられていたということになる。静稀は何だかんだで男子に人気があった。

 嫌われてもいないので、当然のことかもしれない。


 同じクラスには同ランク仲間がいて、その辺が助かってる。

 このことを何となく知らせたくなったので、放課後に俺の方から静稀に会いに行くことにした。


 今までは消極的だった。

 でも体育館裏でのことがあってからこのままじゃ駄目だと思い始めた。


 その思いで勢い任せに隣のクラスに乗り込んだ。


「えっ? 帰った?」


 放課後になってすぐに隣のクラスにお邪魔したら、すぐに見つけられるはずの彼女の姿が無かった。意気込んで来たのに何とも拍子抜けだ。


「近野さんなら早退しましたけど、何も聞いて無いんですか?」

「何を?」

「体育で無理して汗かいて、それで具合悪くしてたみたいです」

「――え、そんな!?」


 遊馬に回し蹴りした時にはすでに具合悪くしていたのか。とてもそうは見えなかったし、そんな感じじゃなかったのに全く気付けなかった。


「あ、それで、近野さんから頼まれてて……これ!」

「んん?」


 隣クラスの女子からメモを手渡された。どうやら俺が来ることも想定済みだったみたいだ。

 メモに書かれていたのは――


【――君のことだ。きっと来てくれるよね? 放課後、コンビニ前に待たせてあるから乗りたまえ】


(な、なるほど。これは、看病への誘いってことだよな)


 コンビニ前に待たせているのは、きっとあの乗り心地の良くない速すぎる車。何から何まで先のことまで考えているなんて、俺の行動全てが読まれているのではなかろうか。


 しかし指名を受けてしまったので、教室を出てコンビニに急ぐことにした。


「……来てくれたね、輝くん」

「だ、大丈夫?」

「汗をかきすぎて冷えてしまったんだけど、体が熱いままでだるくなっちゃった。風邪とかじゃなくて、いつものことなんだけどね」

「いつものこと? それって……」

「運動音痴じゃないけど、体力は昔から無くてね。汗かきだから水分取らなきゃだけど、忘れていたんだ。どうしてか分かるかな?」


 これはまたしてもナゾナゾなのだろうか。解けたからどうなるものでも無いとはいえ、まるきり正解が分からない。


「ご、ごめん、全然分からない」

「君だよ。君のせいなんだよ。輝くん」

「へっ?」

「頬にキス……あれをして冷静でいられると思った?」


 俺と違っててっきり慣れた感じに見えていたのに、あの時からずっと緊張が続いていたのだろうか。こっちにして見れば頬への感触がいつまでも残っていて、忘れようにも忘れられないのに。


「い、いられるわけがない。俺は静稀がてっきり……」

「安心したまえ。人へしたのは君が初めてだから! 動物相手には慣れていたんだけどね」

「動物……?」

「ん、というわけで……輝くん。そろそろしてもらいたいんだけど、いいかな?」

「えーと?」


 静稀はどこかの姫様が眠るような優雅なベッドに横になっている。そのすぐ横には、手触りが良すぎる上質なシルクタオルが置かれていて、何となく恐れ多い。


「タオルを使って君に拭いて欲しいんだけど、やって欲しいな。難しいかな?」


 そう言えば看病をして欲しいというメモだった。汗を拭くくらいなら大して難しくも無いし、断る理由にはならない。


 静稀の顔を見ると、彼女が言うほど汗を掻いているようには見えない。少しだけ青ざめた顔をしていて、どっちかというと温かくしてあげた方がいい感じだ。


「――ということは」

「まずは首筋からお願いするよ。いいかな?」

「……は、はい」

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