RIIZE「Get A Guitar」の魅力と、その「物足りなさ」の正体
Yumiki Erino - RIIZE "Get A Guitar"【Yumiki Erino Guitar video】を聴いて、ああいい曲だと思ったんだけど、このノリはアメリカ人が歌わないと本当の魅力が出てこないなと感じたので書いてみました。
アイドルにこの能力は求めてませんので傷ついた人がいたらごめんなさい。
RIIZEのデビュー曲「Get A Guitar」を聴いて、「なんだか惜しい…」「もっと良くなるはずなのに」と感じたことはありませんか? 特に、リズム感のある洋楽が好きな方なら、「もしあの人が歌ったら」「もしあのバンドが演奏したら」と想像したことがあるかもしれません。
実は、この感覚、かなり的を射ています。「Get A Guitar」は非常にポテンシャルの高い楽曲であるにもかかわらず、その魅力を最大限に引き出すのが難しい、ある構造的な理由が存在するのです。
この曲の核心:「ノリ」と「グルーヴ」で成立する音楽
「Get A Guitar」は、一般的なK-POPのヒット曲とは少し異なる音楽的アプローチを持っています。
基盤はリズム: 16ビートを基調とした、グルーヴ感のあるギターリフとドラムが楽曲全体を牽引します。
「間」が命: 裏拍や、音と音の間の「タメ」や「ハネ」といった、細かなリズムのニュアンスが非常に重要です。
シンプルで抜け感のあるメロディ: 耳馴染みの良いメロディですが、過度に主張せず、リズムの空間を活かす設計です。
エッジを抑えたボーカル: ボーカルは比較的フラットにミックスされており、楽曲全体のグルーヴを邪魔しないようエッジが抑えられています。
つまり、この曲は「メロディで感動させる曲」というよりも、「ノリとグルーヴで聴き手を引き込む曲」なのです。だからこそ、細かなリズムのニュアンスや表現力を自然に引き出せるパフォーマーでないと、楽曲が持つ本来の魅力が十分に伝わりにくいという特徴があります。
なぜ「リズム感ある外国人」が合うのか?
「もしリズム感あるシンガーやバンドがやったら…」という想像は、特にブラックミュージックの伝統に根差したアーティストをイメージしているのではないでしょうか。そこには明確な理由があります。
理由①:リズムの身体的理解
ブラックミュージックのアーティストは、幼少期からリズムの裏を感じ取り、音楽に反映させることを自然に習得していることが少なくありません。「音と音の間の“間”をどう使うか」に長けており、この曲のリズム的余白を、単なる空白ではなく“グルーヴ”として生かすことができます。
理由②:声質と表現力のマッチ
この曲に必要なのは、シャウトやパワー一辺倒の歌唱ではありません。むしろ、ネオソウルやR&Bシンガーのように、細かいビブラート、アドリブ的なフェイク(装飾的な歌い回し)、語尾の処理などで、メロディに豊かなニュアンスと生命力を吹き込む歌唱力です。
韓国アイドルが「物足りない」と感じられる構造的理由
では、なぜRIIZEのような素晴らしい韓国のアイドルグループが歌うと、一部で「物足りない」と感じられるのでしょうか。
ボーカル教育の方向性: K-POPのアイドル養成は、高音域の安定性、正確なピッチ、そして声量といった要素を重視する傾向があります。リズムの細かな「タメ」や「ハネ」、グルーヴを身体で表現するニュアンスは、相対的に後回しになることがあります。
声のニュアンス表現: フレーズごとのリズム的なニュアンスが弱いと、聴き手には歌唱が平板に聞こえ、曲本来のリズムの奥行きが伝わりにくくなります。
パフォーマンスとの兼ね合い: K-POPはステージパフォーマンス全体の視覚的な魅力も非常に重要です。そのため、歌唱がダンスやグループ全体の調和に合わせられることで、音楽本来の表現の自由度が制約されることも考えられます。
これらの要因が重なることで、「音楽的にはカッコいいのに、ボーカルや演奏がその魅力を最大限に引き出しきれていない」と感じるリスナーが出てくるのです。
もし「理想のGet A Guitar」があったら?
もし、この「Get A Guitar」を、リズムとグルーヴを肌で知るアーティストが演奏し、歌ったとしたら…想像してみましょう。
ギター: 本格的なR&Bファンクギタリストが、ただコードを弾くだけでなく、その裏にあるリズムを身体で感じながらバッキング。
ボーカル: H.E.Rやアンダーソン・パーク(Anderson .Paak)のようなネオソウル・R&B系のシンガーが、歌詞の一言一言にグルーヴと感情を乗せる。
ドラム: 16ビートの重みと軽快さを自在に操る、ジャズファンク出身のようなドラマー。
その結果は…まるで別物の楽曲に生まれ変わるはずです。単なる「K-POPアイドル曲」というジャンルを超え、「本物の音楽作品」として、その立体感とグルーヴが飛躍的に跳ね上がり、聴く者の身体を自然と揺らすような魅力が最大限に引き出されることでしょう。
結論:音楽の本質を捉えている
「Get A Guitar」は、聴き手の**“歌いこなす能力”と“リズムの解釈力”**によって、その楽曲価値が大きく左右されるタイプの曲です。
だからこそ、形式的に「歌が上手い」人が歌っても「平坦」に聞こえることがあり、一方で、リズムと表現力に長けたシンガーが歌えば、その曲はまさに「グルーヴィーで最高の楽曲」へと化ける可能性を秘めているのです。
この感覚は、この曲が持つポテンシャルと、それを引き出すための本質的な要素を正確に言い当てています。




