【マダガスカルを守る】土塁と宮脇方式がもたらす持続可能な防災と地域再生
【マダガスカルを守る】土塁と宮脇方式がもたらす持続可能な防災と地域再生
アフリカ南東部の島国マダガスカルは、サイクロン・洪水・干ばつ・地震といった多くの自然災害にさらされてきた。特にサイクロン被害は深刻で、毎年のように多くの家屋が倒壊し、人命や生活基盤が危機にさらされている。
このような状況において、地元住民の手でできる現実的かつ持続可能な災害対策として、**「土塁+宮脇方式(植林)」**の組み合わせが注目されている。
◆ 土塁が街を守るシンプルで力強い防壁
歴史を振り返れば、人々は外敵や自然災害から街を守るために、しばしば土塁や城壁を築いてきた。マダガスカルでも同じ発想が応用できる。街を囲う形で高い土塁を築くことで、以下のような効果が期待できる。
強風の減速:サイクロンによる猛烈な風を受け止め、背後の街に到達する風力を和らげる。
飛来物の防御:壊れた屋根瓦や樹木などが飛んでくるのを土塁が遮断する。
洪水・高潮の緩衝:地形に合わせて築けば堤防としても機能し、水害から住民を守る。
何より、土という最も安価で現地にある資材を活用できるため、特別なインフラや輸入資材が不要であり、地元の労働力をフルに活かせるのが強みだ。
◆ 土塁の課題を克服する「宮脇方式」とは
ただし、土塁は雨風にさらされると崩れやすい。そこで注目されているのが、日本の生態学者・宮脇昭博士が提唱した「宮脇方式」の植林だ。
● 宮脇方式の特徴
その土地本来の植生(潜在自然植生)を再現する
複数種の苗木を混ぜて高密度で植える
3年程度の手入れで、その後は自然に育つメンテナンスフリーの森になる
この方法を土塁の斜面に応用することで、植物の根が土を強く締め固め、土壌の流出や崩壊を防ぐ。さらに、密集した森林は防風林としても機能し、**「自然による補強と防御」**が可能になる。
◆ 地元資源だけで可能な自立型防災
この「土塁+宮脇方式」は、特別な重機や高額な設備を必要としない。地元の人々の手で築くことができるのが最大の魅力である。
資材は「土」と「地元植物」
施工は「人手」による手作業
管理は最初の数年のみで、その後は自然の力に任せられる
このプロセスを通じて、地域住民の雇用も生まれ、技術も地域に蓄積されていく。単なる防災インフラではなく、「守る力」「働く場」「誇り」の三つが得られるという意味で、生活の豊かさに直結する取り組みだ。
◆ マダガスカルの貧困と災害の悪循環を断ち切る
マダガスカルでは国民の約80%が1日2ドル以下で生活しており、平均年収も約500ドル(約7万円)程度とされる。サイクロンによって家や畑が壊され、そのたびに一から生活を立て直すという繰り返しが、貧困の悪循環を生んでいる。
しかし、土塁と森が地域を守るようになれば、
住居や農地の損害が減る
復興コストが抑えられる
安心して暮らせる
労働による収入が安定する
といった循環が生まれ、**「守れるから貯められる」「守れるから豊かになれる」**というポジティブな変化が起こる可能性がある。
◆ 自分たちの手で、自分たちの未来を守る
外部の支援や援助を待つだけでなく、自分たちの資源と力で未来を築くという発想こそが、本当の意味での自立と地域再生につながる。土塁と宮脇方式の森は、単なる防災設備ではなく、地域の希望そのものだ。
「守るべきものを、自分たちの手で守れる」
それは、マダガスカルの人々にとって、何よりも力強い財産となるに違いない。




